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誰も知らない、高嶺の花の裏側2
第38話 〚崩れた世界〛(りあ視点)
……おかしい。
何が、どうして、
こうなった?
教室にいるのに、
誰も私を見ていない。
さっきまで、
私の言葉に頷いていたはずの視線は、
今は全部、澪の方に向いている。
——なんで。
私は、正しいことを言っただけなのに。
三軍は三軍。
目立たない側は、
目立つ側の邪魔をしちゃいけない。
それが、当たり前だったはず。
なのに。
「……」
声を出そうとしても、
喉が、ひりつく。
笑えばいい。
いつもみたいに。
でも、口角が動かない。
えまも、しおりも、みさとも、
玲央も。
誰一人、私を見ない。
まるで、
最初から“いなかった”みたいに。
——違う。
私の方が、
この教室では上だった。
可愛くて、
空気も読めて、
ちゃんと“一軍”の位置にいた。
それなのに。
澪の背中が、遠く見える。
守られて、
囲まれて、
安心した顔をしている。
胸の奥が、ぐちゃぐちゃになる。
悔しい?
……違う。
怖い。
初めて気づいた。
今まで私が立っていた場所は、
誰かを踏み台にしないと、
保てない場所だったって。
だから、
踏み台がいなくなった瞬間——
私は、落ちた。
誰も助けてくれない。
声をかけても、
視線を合わせても、
返ってくるのは、沈黙だけ。
机に座っているのに、
床が抜けたみたいな感覚。
世界が、
音もなく、崩れていく。
——恒一。
頭に浮かんだ名前に、
少しだけ、すがりたくなる。
でも、
思い出すのは、あの目。
計算しているようで、
どこか冷たい視線。
私は、
“利用する側”だったつもりなのに。
もしかして——
利用されてたのは、
私の方?
胸が、きゅっと縮む。
誰にも言えない。
謝る勇気も、
戻る場所も、
もう、ない。
昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴る。
立ち上がれない。
教室の中で、
私は一人きりだった。
——それが、
本当の孤独だと知ったのは、
この瞬間だった。