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誰も知らない、高嶺の花の裏側2
第39話 〚計画の歪み〛(恒一視点)
……違う。
こんなはずじゃなかった。
教室の端から、
俺はすべてを見ていた。
りあが、
追い詰められていく様子。
声を荒げ、
視線を失い、
最後には——孤立した。
計画では、
ああなるのは澪のはずだった。
周囲から浮いて、
居場所を失って、
頼れるのは俺だけになる。
——そのはずだったのに。
視線の中心にいるのは、
澪だ。
守られて、
囲まれて、
安心した顔で立っている。
胸の奥に、
じわりと黒いものが滲む。
……おかしい。
俺が、
状況を動かしているはずなのに。
りあを使って、
空気を操作して、
人の流れを作ってきた。
それなのに。
えま、しおり、みさと、
玲央、海翔。
全員が、
迷いなく澪の側に立った。
計算が、合わない。
人はもっと、
弱いはずだった。
多数派に流れて、
面倒な方から目を逸らす。
そういうものだと、
思っていたのに。
——守る、だと?
海翔の動きが、
やけに早かった。
迷いがなく、
感情だけで動いている。
……あれは、計算じゃない。
苛立ちが、
喉の奥に溜まる。
りあは、使えなくなった。
感情が先に出すぎる。
嫉妬、恐怖、焦り。
計画の部品としては、
もう壊れている。
「……使えない」
小さく呟いた声は、
誰にも届かない。
でも。
澪を見る。
その横で、
安心しきった顔をしている澪。
——違う。
あの顔は、
俺の前で向けるはずだった。
胸が、ざわつく。
計画が崩れたから?
……いや。
もっと、
嫌な理由がある。
俺は、
“澪が選ばれた”ことが、
許せない。
守られる側に、
自分から行ったことが。
俺の手を、
必要としなかったことが。
それは、
計算外の感情だった。
——怒り。
でも、
それ以上に。
「……奪えない未来、か」
気づいてしまった。
このままじゃ、
澪は俺の方を見ない。
だから。
計画を、
作り直す。
人を使うんじゃない。
空気を操るんでもない。
——直接、だ。
歪んだ計画が、
静かに形を変え始めていた。