言葉が足りない

佐久間は、岩本にもっと優しくして欲しい。目黒ほどとは言わないが、時々、寂しい。

岩本ーなぁ、俺って優しくない？

渡辺ー優しいと思うけど、佐久間は物足りないみたいだ。

目黒ー優しくしてるんでしょ？

岩本ーそのつもりだけど。

渡辺ー言葉が足りないんじゃないか？

岩本ーというと？

渡辺ー目黒なんか、いちいち声かけてくる。

目黒ーだって、気になるじゃん。

岩本ー束縛してるみたいで、佐久間は嫌じゃないかな？

渡辺ーばかだなぁ、その束縛がいいんじゃないか。

岩本ー何で？

渡辺ーお前に、強く愛されてるって思うだろ？

岩本ー佐久間はそれがいいの？

目黒ー多分ね。

岩本の考えを遥かに超える。

きっと目黒は束縛して、渡辺はそれがいいんだ。もっと、佐久間に愛してる気持ちを分かってもらわないと、心細い思いをしてるってことだろう。

岩本ー今日、晩ご飯食べにおいで。

佐久間ーあの、いいの？

岩本ーもっと一緒にいたいから、晩ご飯食べてゆっくりしよう？

佐久間ー帰れるの？

岩本ー帰りたい？

佐久間ーううん、一緒にいたい。

岩本ーちゃんと猫ちゃんの世話しておいでよ？

佐久間ーうん！

岩本の家。

岩本は佐久間が来るまで、考える。

いっぱい愛してあげたい。

不安にさせたことだろう。寂しい思いをしただろう。

言葉が足りない。きっと、足りないんだろう。

佐久間ー照？

岩本ー来たか？

佐久間ー難しい顔して、何かあれば帰るけど？

岩本ー違う、大介が不安にならないには何をしてやればいいかと考えてた。

佐久間ー照・・。

岩本ー俺は言葉が足りないらしい。そのせいで、大介を不安にさせてる。

佐久間の目に涙が滲んでくる。

岩本が目尻に唇を寄せる。小さな声で、「愛してる」と言いながら。

佐久間ー照、嬉しい。

岩本ー大介、可愛いから、このまま愛していい？

佐久間ーう、うん。

岩本ーどうした？

佐久間ー何か照れる。

岩本ー急に、目黒みたいに饒舌にはなれないけど、愛してるって言える、好きだって言える。

佐久間ー照れる、やっぱり照れる。

岩本ー言わない方がいいか？

佐久間ーううん、いっぱい言って？

佐久間を抱きしめ、ベッドにゆっくり押し倒しながら、愛の言葉を耳元で囁く。クスクス笑う佐久間。

佐久間ー早く、愛して？

岩本ー激しくしていい？

佐久間ーん、嬉しいし。

佐久間ーあぁ・・んっ・・照・・。

ずっと何かを囁く岩本。佐久間の目から、涙が出てくる。

佐久間が強く岩本に抱きつく。

愛されて、愛を囁かれ、佐久間は岩本がますます好きになる。

岩本も、可愛い佐久間を改めて好きだと思う。これからは、もっと話そう。声をかけよう。

岩本ー大介、愛してる。

佐久間ーんっ・・俺も、大好き、愛してる。

幸せな時間は過ぎて行く。

これから、佐久間は寂しくない。

完