どうして私を愛してくれないの?
……もう何日も日を見ていない。
そう思っても、ただ虚しいだけだった。何故なら、此処からは出れない。両足を鎖に繋がれ、首には床よりも冷たい鉄の首輪。
好きでこうしているわけではないし、私が何かをして牢屋に入れられているわけでもない。……兄の頼みだ。私の兄、亀槌 海斗が血の繋がらない妹、柊谷 夢の為に身代わりとして牢屋に入っていてくれと頼まれた。私は夢の事は信用していない。けれど、御兄様の為なら牢屋に入っても、死んだっていい。それを、ずっと繰り返してきたから……。
私がそう物思いにふけっていると、奥から誰かの足音がして、その足音は私の前で止まった。
「……舞」
聞き覚えのある声。御兄様の声。
私は顔をあげ、気の毒そうな御兄様の顔を見上げる。
「……舞……こんな事を言うのはなんだが……もう一度、死んではくれないだろうか?」
……また、死ぬ。
「……どうして?」
「……夢の為だ……」
また、夢の為。そればかり……。
「……ねぇ、御兄様」
「……なんだ?」
「どうして、御兄様はいつも夢の事ばかり気にかけるの?」
「……ちゃんと、舞の事も気にかけている」
「……嘘でしょう?私が何度、貴方のその言葉を聞いて死んだと思っているの?」
「……舞……何回も死に戻りを繰り返している、と言っていたよな……?」
「……ええ」
「……なら、もう死ぬのも慣れているのだろう?」
……ふざけているの?``死ぬ事´´に``慣れ´´を覚えている?どうしてそう言うの?死ぬのは一瞬。けれど、その死ぬまでの``時´´は恐怖でしかないの。
「……やっぱり、貴方は夢しか見ていない……夢しか愛していない……」
「……そんな事は……」
「いいえ、あるわ。何故?何故、私を愛してくれないの?私の何が悪いの?私を何故嫌いなの?私なら何故死んでも構わないの?」
「…………」
「どうして貴方の眼中には夢しかいないの!?御母様や貴族、私もいるでしょう!?どうして夢ばかり見るの!?」
「ねぇ、教えて頂戴、御兄様!」
「……僕は……君より、夢の方が好きだ……」
「……………」
やっぱり、夢しか愛していないじゃない。
「……私を……愛して……死ぬだけの一瞬でもいいから……私を``家族´´として愛して……!」
「…………」
また、足音が響く。勿論、それは御兄様の足音でも、私の足音でもない。
また死ぬ時が来た。
私が処刑の係に連れられる時、御兄様の「……ごめん」と言う言葉が聞こえた。
……また私は8歳に戻る。
けれど、もう私は死にたくはない。
今までは、御兄様の為に死んできた。けれど、私が死んでも、御兄様は私を愛してはくれない。なら、私が死ぬ必要も、意味もない。……壊してしまおう、全てを。御兄様も、御兄様が大好きだったモノも全て壊してしまおう……。
コメント
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こーゆーヤンデレ、すこですわぁ……
舞ちゃん KUNKUNKUNKUNKUNKUNKUNKUNKUNKUNKUNKUNKUNKUNKUN❣