第15話
目が覚めると、体が動かなくなっていた。
隣にいる蓮を起こしたい。もうすぐ俺の限界が来るから、みんなを呼んで欲しいのに…首と口はかろうじて動く。よし…!
首だけを動かした俺は蓮の唇にキスをした。触れるだけでは気づかないと思ったから、ハムハムするキス。口を離しては、付け、吸い付くようなキスをすると、蓮の瞼が動いた。
「大…介…?」
か弱い声でも、この距離だったら聞こえるよね…
「蓮…み…んな…よんで…」短くて、普通の人だったら意味が伝わらないこの文。でも、君はすぐに理解して、電話でみんなを呼んでくれた。彼の声は震えていながらも、冷静だった。
「待ってて、大介。みんな来るから…だから…」
わかってる。わかってるよ蓮。みんなが来るまでは死なないでってことでしょ?大丈夫。俺意外としぶといし、みんなに思い伝えれるまでは死ねないから。
でも、2人っきりの時間もこれが最後…
「れ…ん…?」「どうしたの…?」
心配そうな君の声。今にでも泣きそうだ。
「俺が…死んだらさ…めめようにビデオメッセージ…とって…あるからさッ…見といてね…?約束…だよ…?」「わかった」
「あとね…蓮…大好き…俺は…蓮が最初で最後の彼氏でよかった…」「おれも…大介が彼女でよかった…」
俺にとっては初めての彼氏。でも、蓮にとっての俺は初めての彼女じゃない。そこもなんか悔しくて…もっと早くすきになっとけば良かったと後悔する。
しばらくして、バタバタと音がしだした。多分みんなが到着したんだろう…
「佐久間!/さっくん!/佐久間くん!」
息ぴったりだなぁ…笑
みんなは俺が寝ているベットの周りを囲んでくれた。蓮は俺の横で手を握っていてくれてる。
もう…時間が無い…。
「みんな…おれ…じかん…ないから…これだけは渡しておきたいの…おれの…嫁部屋…蓮なら…わかる…そこに…みんなへの思いが…詰まった手紙と…俺から取れた花…があるのッ…それに全部詰まってるから…見といてね…」
全ての思いをみんなに伝えるのが不可能な事だと知っていた俺は予めみんなに手紙を書いておいた。そして花もみんなへの思い。
あと、伝えるべきことは…
「ビデオメッセージ…みんなへの…ファンの…子への…あるから…後ですのちゅーぶに…乗せといて…あと…滝沢くんへの…手紙…渡しといて…」
誰一人、俺の話をさえぎらず聞いてくれたおかげで俺は伝えるべきことを全て伝えれた。もう…未練は…
「俺…SnowManにいて…幸せだった…みんな…俺が…いなくても…頑張れ…!お前らなら行ける…俺はお前らが最強で最高なグループッ…て知ってるからな…天獄にも…届くぐらい…素敵な歌を…歌声を…パフォーマンスを…届けろよ?」
「うぅ゛!」限界かな…
「みんなの名前…呼ぶからさ…俺に一言ちょうだい…行かないで…とかは…嫌だからね…?」
涙を流すメンバー。最後の名前を呼ぶ機会。
「ラウ…」「佐久間くん…尊敬してます…今もッ…グスッ…ずっと…」
「こーじ…」「素敵な笑顔を取られせてくれてありがと…!大好きやで!」
「ふっか…」「お疲れ様…SnowManは任せろ…」
「ひかる…」「お前の場所も…お前の彼氏も…守るから…安心しとけ…!」
「阿部ちゃん…」「佐久間とシンメで幸せだったよ…いつも俺の事笑顔にしてくれてありがとう…!」
「りょう…た…」「安らかに眠りな…なんも心配入らないから…翔太はまかせて…」
「しょ…た」「本当は…行っちゃダメって言いてぇよ…グスッ…でも、辛ぇよな…楽になれよ…グスッ」
「れん…」「これプレゼント…」
そう言って蓮がくれたのはピンクゴールドの指輪。
「大好きだよ…俺は大介の分まで生きるから…だからッ…天国でもその指輪つけてて…俺もつけてるから…赤い糸で繋がってるみたいに…それを目印にして…すぐ…見つけるから…だからッ…グスッ…」
「待っててね…」
なんだよ…最後までかっこいいとか最高の彼氏じゃん…別れたく無くなるじゃん…ずるいよ…
「ありがと…みんな…おれ…しあわせ…」
意識が飛んで行く…血の気がなくなっていき…俺の視界が花びらで覆われる…
最後は、最高の笑顔で…
俺の体をみんなの色の花が埋めた時…俺は瞳を閉じて、永遠の眠りについた。
続く
コメント
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めっちゃ泣きました。続き楽しみです……
泣けた