こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
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ご本人様方とは一切関係ありません
犯罪組織と戦うメンバーさんの、戦闘パロ のお話(番外編)です
今回はワードパレットでリクエストいただいた3つの言葉(サブタイトルになってます)を本文中に使用してのお話になります
水視点
1年に1度だけ、本部にてトーナメント式の模擬戦みたいなものが開催される。
リーダーは引率…つまり試合には参加しない。
チーム内で2名選出すると、引き連れて本部指定の場所へ赴くのが通例だ。
今年もその季節がやって来た。
優勝チームにはある程度の賞金と賞品が贈られるらしい。
その内容は僕も知らないけれど、どうせ出なきゃならないなら勝ちたいよね、とは思う。
だからうちのチームからは、りうちゃんが出るのが順当かなと思っていた。
攻守のバランスを考えたら、りうちゃんが一番適任だと思う。
だけどリーダーのないちゃんが一番に指名したのはいふくんだった。
「え!? 何でいふくん!?」
驚きの声を上げた僕に、ないちゃんは目を丸くして首を捻る。
「いふくん連れて行くくらいなら僕! 僕を連れて行ってよ!!」
右手を挙げながら立候補するように言う僕に、細い首を更に傾げるものだからピンク色の髪がさらりと横に流れた。
「別にいいけど…ほとけっち、そんなにこの模擬線に乗り気だっけ」
別に乗り気なんかじゃない。
せっかくなら勝ちたいとは思ったけれど、それは「僕が」ではない。
実際に、ないちゃんが選んだのがいふくんじゃなければ僕は絶対に立候補なんかしなかっただろうと思う。
「ほとけっちを参加させるのはいいけど、どっちにしろまろは連れて行くよ」
顎に手を押し当てて、ないちゃんは不思議そうな目をしながらもそれでもそう答えた。
僕の申し出の意味を図りかねているらしい。
その答えに、「え」と今度は僕が目を瞠る番。
「べ、別にいふくんじゃなくてもよくない!? そう、りうちゃん! 僕りうちゃんと一緒に出たい!!」
「今年から一つ規定が増えたんだよね。『2名のうち1人は、チームで一番所属歴が短い人を選出する』って」
何としても阻止しようとしていることが分かったのか、僕の言い分に苦笑いを浮かべながらないちゃんはそう言葉を継いだ。
確かにそれだとうちのチームではいふくんになる。
…それは非常に……まずくない?
だけどそれが「規定」だと言うなら、逆らうわけにはいかないしそうするだけの理由も見当たらない。
…こうなったら当日いふくんの食事に下剤でも盛って体調不良で代役を立てるとか…。
頭の片隅でそんな物騒なことを考えた僕。
そんな僕をちらりと横目で一瞥してから、それまで黙っていたいふくんが「…何考えとるか大体分かるけど、余計なことしたらしばくからな」なんて釘を刺してきた。
…怖い。
リーダーのないちゃんやサブリーダーのあにきはよく招集されるから、本部には行き慣れている。
僕のような単なるチーム要員はというと、研修やらなんやらで行くことはあるけれど、それほど足繁く通う場所ではない。
いふくんに至っては、きっとこっちの組織に戻ってきてからは本部に行くのは初めてなんじゃないだろうか。
だから、なんとか阻止したかったのに。
「…あれじゃん、あのピンク」
本部指定場所へ赴いた瞬間、僕の予想通り周囲からの囁くような言葉が耳に届いた。
…噂話とか悪口って、本人は声を潜めているつもりでも何でこんなに耳につくんだろうね。
本当に不思議だ。
「あれだっけ、噂のビッチ? 昔自分のチームのリーダーその気にさせたんだっけ?」
「しかも他のチームの男も複数食ってんじゃなかったっけ。…いや、自分を『食わせて』るんだっけ」
「俺この前聞いたけど…あいつ、そのリーダー殺したらしいじゃん…自分で自分に堕ちるように仕向けておいて、怖くねぇ?」
耳を覆いたくなるような嘘だらけの噂話が流れているのは、ずっと前から知っていた。
それをないちゃん本人が認識しているだろうことも。
きっと今までも、本部へ赴くたびに自分に関する流言は耳に届いていたに違いない。
ないちゃんが、それを気にしない性格だということも知ってる。
むしろ「こんなこと言われてんだけど、ウケる」くらい言いそう。
だけど…それを自分の好きな人に聞かれるのはまた別物だろうと思う。
自分にとって大したことないと笑い飛ばせる言葉でも、自身の悪い話をいふくんの耳に入れたくはないんじゃないかな。
幸いなことにこういう噂に興味津々なのは、組織の中でも低レベルなチームばかり。
上位のチームにはないちゃんの性格も実力も把握していて事実を知っている人もいるから、実は彼には理解者も多い。
だけどそれでも、ないちゃんの有能さへの嫉妬が混じったような心ない言葉は止むことがない。
だから、いふくんをこの模擬戦に参加させたくなかった。
いふくんだって好きな人の悪い噂を耳にするのは嫌だと思う。
現に僕だって嫌だ。
そう思っていたのに、噂話が聞こえてくる方向を振り向いてキッと睨み返したのは僕だけだった。
いふくんとないちゃんは、何も聞こえていないかのように模擬戦に対する戦略みたいなものを話し始めている。
「前にも言ったけど、自分の得意武器は禁止って決まりだから。まろ、何で出る?」
「銃かな」
「銃は得意武器じゃん」
「俺の手持ちはレーザー銃であって、実弾の入る銃とは違うし」
「そんな屁理屈通るかなぁ」
「メンバー登録では跳ねのけられへんかったやろ、大丈夫ちゃう?」
人が心配と腹立たしさで情緒をかき乱されているときに、のほほんと会話を進めないでほしい。
そう思った瞬間、またさっきの連中の一人が言葉を継ぐのが耳に届いた。
「でも誰でも相手してくれるんなら一回くらいいいかも? あの顔ならヤれなくないな、俺」
下卑た言葉に、さすがに脳内で何かが沸騰するのを感じる。
思わず一歩踏み出して、「あのさぁ…!」と声をかけようとした。
だけど、その少し腹の出かかった…脂っぽい質感の顔をにたりと歪ませている男に詰め寄ろうとした途端、襟の辺りをぐいと後ろに引かれてしまう。
「ほとけ、余計なこと言うな」
「いふくん…! だって今のはさすがにひどくない!?」
「相手するだけ時間の無駄やで、あんなん」
僕の服の後ろを掴んだ手をパッと離しながら、いふくんは肩を竦めた。
それを見ていたないちゃんが「そうそう」と頷く。
「それよりあっちで他チームの一回戦始まるから、見に行こ」
そんなことを言いながら、ほら、と言わんばかりに僕の背中をぐいと押した。
何? こんなに腹立ってるの僕だけ!?
そりゃあ恋人でも家族でもないけれど、大好きなチームメンバーのことをあんな風に言われたらさすがにカチンとくる。
今ここにいたのがいふくんじゃなくてしょうちゃんだったら、きっと僕らは2人で大暴れしていたに違いない。
「俺にだって選ぶ権利あるっつーのな。まずその顔の脂を拭いて来いって」
あはは、と笑い飛ばすないちゃんの声は、相手にも聞こえていただろうと思う。
侮辱された怒りで瞬時に真っ赤になったその男の顔を一瞥し、最後にいふくんがふっと鼻であしらうように目を細めて笑っていた。
コメント
2件
ERRORのお話多くて嬉しすぎます…💕 水さんが嫌がっていたのは青桃さんのためだったのですか…優しさに溢れてて好きです🎶 ここからどうなってしまうのかワクワクが止まらないです……!!✨✨✨
このお話大好き!!更新ありがとうございます!何と言っても戦闘パロ!この現実離れした出来事やお話がほんとに大好き、、、こんなお話が現実にあったらなぁ、、、wほんとにあったら捕まりますけど、、、wこれからも更新頑張ってください!