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こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
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ご本人様方とは一切関係ありません
犯罪組織と戦うメンバーさんの、戦闘パロ のお話(番外編)です
今回はワードパレットでリクエストいただいた3つの言葉(サブタイトルになってます)を本文中に使用してのお話になります
水視点→桃視点
本部が指定した会場は、とても広いドーム型をしている。
下は茶色い砂が敷き詰められ、ところどころに石ころなんかまで転がっていた。
屋内ではあるけれど、外に似せた環境が作られている。
割と広い場所の真ん中に、ぽつんと対戦相手2人が立たされた。
漫画や映画なんかで見る、コロシアムみたいなイメージに近いかもしれない。
睨むように対峙する2人を横目に、僕たちは2階の観客席の一部に陣取った。
3人椅子に並んで、黙然と試合を観戦する。
ないちゃんは足を組み、座席部分に左手を突くようにして少し前かがみ。
いふくんは黒い上着の袖を下のシャツごと少しだけ捲り、右手を椅子に置く。
そして足を開いて背もたれに深く座った。
首元の黒いタイを気だるげに緩めながら、会場の真ん中を首を傾けて眺めている。
そんな2人の隣で、僕も視線を前に戻した。
「Ready…」と、会場全体に響くような音量でスピーカーから合図が流れてくる。
それを皮切りに、真ん中にいた2人がそれぞれ手にした武器を構え直すのが見えた。
ビーーー!と、低い機械音が響き開始を合図する。
それと同時に2人はジャリ、と音を立てて足を地面に擦った。
武器を持った手で身構え、相手の出方を探るべくじっと目の前を見据えている。
ピリ、と緊迫した空気が会場全体を覆った。
睨み合う2人以外にも立つ物音は一切ない。
きっと今ごくりと唾でも飲み下せば、その音すらも気になってしまうだろう。
ひりつくような雰囲気の中、そこにいる全員が2人の動向を注視した。
お互いに目線で圧掛けしているのが分かる。
間合いを保ったまま、相手の実力を推し量るように睨み合っていた。
それは本人たちにとっては永遠のように長く感じる時間だったに違いない。
目線を少しでも逸らしたら…ううん、瞬き一つでもしようものなら、その瞬間に間を詰められて攻撃を受ける。
そうしたらあっさりと自分の負けが確定してしまうような…重く張り詰めた空気。
固唾を飲んで見守っていた中、やがて動きがあった。
空気が弛緩した瞬間が訪れたかと思うと、2人はほぼ同時に地面を蹴っていた。
相手の方に飛びかかるようにして、武器を手に技を繰り出す。
片方が振り下ろした拳は相手の腕に塞がれたけれど、その下で長い足が鳩尾辺りを捕えようとする。
…かと思うと、それを避けた相手が手にしたナイフで切りつける…そんな攻防戦の繰り返し。
10分くらいは、そのまま息つく間もないような戦いを見据えていただろうか。
やがてほんの小さな隙から、それまでのぎりぎりのやり取りが嘘のように呆気なく決着がついてしまった。
試合開始の時と同じ機械音が、今度は終了を合図する。
それを眺めてから、いふくんは「…行くか」と席を立ちあがった。
この後、うちのチームの戦闘も控えている。
一回戦目に出場するのはいふくん。
チームメイトは戦闘場所の一番近くでその戦いを見守ることができるため、僕とないちゃんも頷いてそんないふくんの後に続いた。
2階の観客席から降り立ったいふくんは、自分の荷物の中からハンドガンを取り出した。
手慣れた様子で弾をこめるそんな横顔に、ないちゃんは確認事項を並べるように声をかけている。
「殺したら失格だからね、まろ。怪我は仕方ないけど」
「分かっとるよ。降参させたらえぇんやろ」
答えて、ホルスターにハンドガンを戻すいふくん。
細い太腿にぴたりとそのホルスター自体をつけ直しながら、にやりと笑った。
それから着ていた上着を脱ぐと、そのままないちゃんに被せるように投げる。
「僕としては、ここでいふくんが負けても全然いいよ。次の試合の僕の出番なくなるし」
賞品は欲しかったけれど、それよりも面倒くさいことはごめんだと言わんばかりに首を竦めて冗談交じりに言った。
すると、いふくんは鼻で笑うようにして「ふん」とあしらう。
「一瞬でお前の出番まで回したるわ」
言いながら、いふくんは腕まくりしていたシャツを更に少し捲り上げた。
その時、ちょうどそれと同時に会場の向こう側の入口から3つの影が現れる。
対戦チームだ。
そちらに視線を送った僕ら3人は、多分同じタイミングで目を見開いた。
「……あいつら…っ」
思わず声を絞り出した僕の肩を、ないちゃんがぽんと叩く。
…そう、今目の前に現れたのは、さっきこの会場に来たときに下品な噂話を繰り広げていたあのチームの連中だった。
「ほとけっち、どうどうどう」
いふくんから預けられた上着を自分の肩にかけ、ないちゃんは苦笑いを浮かべている。
今にも飛び出しそうな勢いを僕から感じ取ったのか、ぐっと腕を後ろに引かれた。
……さすがの僕でも、ここであいつらに飛びかかったりはしないよ。
「じゃあ行ってくるわ」
そんな僕の様子を、いふくんは気にも留めない。
後ろ手に指をひらひらと振り、そのまま戦闘場の真ん中まですたすたと歩いて行った。
相手チームの出場者は、最後に最も下品な発言をしたあの『脂ギッシュくん』だった。
対戦相手がまさに僕らだと気づいて、顔をひきつらせているのが分かる。
それでも、逃げることなくしっかりとした足取りで中央へと歩み寄ってきた。
10メートルほど離れた指定位置で距離を取り、いふくんと対峙する。
「Ready…」
あの機械音声が試合開始合図を告げた。
先刻の一回戦のときのようにぴりとした空気が会場内に走ったのが分かる。
きっとこれからまた、しばらく相手の出方を見極めるような精神的な攻防戦が始まるんだろう。
…そう僕は思っていた。
いや、きっとここにいたギャラリーの誰もがそう感じていたと思う。
ビーーー!!と、またあの音が鳴り響く。
その刹那、だった。
相手の武器もまた、いふくんのものに似た銃だった。
腰に据えたそれにそいつが手を伸ばそうとしたけれど、いふくんの動きの方が速い。
ホルスターからハンドガンを抜いたかと思った瞬間、自分の腕を肩まで水平に持っていく。
それは瞬きをするほどのほんの一瞬だった。
そうと会場にいる全員が「認識」するまでの、コンマ何秒かの世界。
意識したときにはドンドンという乾いた音がふたつ耳に流れこんできた。
銃を構えようとしていた脂男のサイドの髪、そのうちのほんの一本を立て続けに掠めていく2発の弾丸。
一歩でも男が動いていたら、きっとその顔のどこかに風穴が開いていただろう。
「……あ…っ」
男は手にかけた銃を、持ち上げることすら叶わなかった。
一瞬でぞっと背筋が凍るような恐怖に陥れられ、腰を抜かして後ろへ一歩後ずさる。
かと思うと自分の体重を支え切れず、そのまま倒れこんだ。
へたりと尻もちをつき、恐怖に慄いた目を前方の青に向ける。
「……」
声を失い次の動作にも移ることができない男に、いふくんはゆっくりと近づいた。
一歩ずつ一歩ずつ、砂利を踏みしめるようにして擦り寄る。
「…ま、待って…」
ようやくそんな声を絞り出そうと男の唇が開いた時、いふくんがそいつのすぐ目の前にたどり着いた。
ざ、と音を立てて足を止め、少しだけその身をかがませる。
男の髪をぐいと掴んだかと思うと、ぽちゃりとした体を少し起こさせるように引き上げた。
そしてそのまま、開いた男の唇を割るようにしてハンドガンの銃口をねじ込ませる。
「…んぅん…っ」
「『一回くらいならいいかも』『あの顔ならヤれなくない』って言うたん、この口? 二度と喋れんようにしたろか」
にやっと唇を歪ませて笑ういふくんの言葉に、見守っていた僕は目を見開いた。
……なんなの、やっぱり僕より怒ってるじゃん。
そう思ってちらりと横に目線をやると、ないちゃんはくしゃりと自分の前髪を掻き上げるようにして「…あいつ…」とでも呟きたそうな呆れた顔でため息をついている。
「…んん…っ」
「何言うとんか分かれへんわ」
いやそりゃそうだよね。あんたが喋れないようにハンドガンをそいつの口に突っ込んでるんだよ。
なんてツッコミは今は成り立たないから飲み込んでおく。
殺しは禁止されているこの模擬戦で、まさか本当に永久に黙らせたりはしないだろう。
だけど目の前のいふくんからはそれと同等の圧を感じ、男の目にはだんだんと涙が溜まっていっている。
「…っ」
喋れない代わりに、男は震える手で両手を顔の横まで挙げた。それを合図にいふくんはハンドガンをすっと引く。
「はよ言えよ。こっちはお前の相手するだけ時間の無駄やねん」
解放された口内に急に冷たい空気が流れこんできた男は、いふくんの威圧的な言葉に「こ、降参する…っ」と泣き出しそうな声で告げた。
「何かっこつけてんのさ! 結局僕より怒ってたんじゃん!」
僕らが控えている方へと戻ってきたいふくんに、一番に喚くようにそう声をかけた。
…全く、僕が飛び出して行きそうだったときは偉そうにたしなめていたくせに…。
「しかもそんなばっちいもんこっちに持って帰って来ないでほしいんだけど!」
脂ギッシュくんの口内に突っ込まれたハンドガン。
先端は唾液でべとりと濡れているのが分かる。
「…あ、確かにばっちいなぁ。返すわ」
そう言って、いふくんは悪びれた様子もなく手にしていたその銃を僕の方へぐいと押しつけた。
「……は? はぁぁぁぁ!? ちょっと待って! これ僕の銃なんだが!?」
「借りたで」
「『借りたで』じゃないよ! 何勝手に使ってんの!?」
「自分の持ち武器は禁止って言われたから、しゃあないやん」
「それでも他に用意してる武器とかあったでしょうが!?」
くそー、絶対に後でないちゃんからいふくんの上着を借りて、その袖でこの銃を拭いてやる!
そう心に決めて、僕は手に残されたハンドガンを恨めしそうに見据えてしまった。
結局その模擬戦は、2回戦目でほとけっちが負けてしまった。
まぁ運悪く相手が優勝候補の一つだったから仕方がない。
善戦してくれたことは分かっているし、賞金も賞品も大して興味がなかった俺は2人を最大限労った。
家へと帰るにはもう遅い時間だったこともあり、その日は本部がホテルを用意してくれた。
一人ずつなのに割と広めの部屋が宛がわれる。
ベッドはクイーンサイズだし、枕もシーツもふかふか、負けた割に申し分ないその待遇だったけれど、今俺は目の前の男を見据えて眉を顰めている。
「やりすぎ」
びし、と、その額にチョップをかます。
俺の部屋のベッドなはずなのに我が物顔で大の字になったまろは、それを受けて「いた」と小さく声を出した。
「さすがにちょっとあのチビ脂男に同情したわ、俺」
「『チビ』が悪口に増えとるやん」
「時間かけて戦うつもりだっただろうに、一瞬で終わったもんな。…カワイソ」
恐怖に慄く人間ってあんな表情をするんだな。
今まで死の淵に立たされた人は何人も見てきた。
だけどあれほど威圧感に押しつぶされそうに顔を歪めた人間は見たことがないかもしれない。
ベッドに身を投げ出したまろの更に上に、馬乗りになるような態勢。
本部からこのホテルへと直行したばかりで、俺もまろもまだ風呂にすら入っていない。
腕まくりしたYシャツからまっすぐに伸びる手が、俺の頬にそっと触れた。
代わりに俺はというと、既に緩んでいるまろのネクタイに指をかける。
そのままぐいと引っ張ると、しゅるりとあっけなくほどけた。
「『一回くらいならいい』とか『あの顔ならヤれなくない』はないわ」
ないこの良いところは顔だけやないのに、と小さく付け足すように告げる。
「ふーん、そんなこと言って、まろが一番俺の顔好きなくせに」
冷静な声でそう返しながら、俺はまろのシャツのボタンをぷちぷちと一つずつ外していく。
露わになった鎖骨に、そっと口づけた。
細いのに俺よりも体格の良いまろ。
「華奢」と評される俺とは少し異質な、男らしい体型だ。
「…ふふ、うん、好き」
あっさりと甘い声が返ってくるから、ちゅ、ちゅと音を立てて首元に這わせていた唇を思わず離した。
顔を上げ、ぱちぱちと瞬きを繰り返す。
「やけに素直に認めるじゃん」
いつもならツンデレかってくらいの態度で「さぁどうやろうね」なんてはぐらかすくせに。
そう思うと何だかやけに気恥ずかしくなってきて、思わずまろの上から下りようとしてしまった。
だけどそれすら先を読んでいたのか、ぐいと手首の辺りを引っ張られる。
「何で逃げるん」
「いやお前が好きとか平然と言うからじゃん」
「えーないこが照れてくれるんやったら、いくらでも言うけど」
その恥ずかしがりの顔が真っ赤に染まったのを必死に隠そうとするところが好き、なんて言葉を、まるで歌うように流暢に告げられる。
「うわっ」
身を起こしたまろに手を引っ張られると、態勢が逆転するように今度は俺がシーツに沈められた。
広げた両手を縫い留めるように、大きな手にぐっと握られる。
「奉仕しようとしてくれるんも嬉しいけど、今日は俺がないこを啼かせたいかな」
艶やかな笑みを浮かべた唇が、そのまま降り注ぐようにおりてくる。
閉じた俺の足を割るようにしてまろの太腿がぐいとねじこまれたかと思うと、「…んぅ…っ」なんて、まろの言葉通りにその先を期待したかのような自分の蕩けた声が漏れた。
コメント
1件
青くん、、強すぎてw完全に私のツボにハマってしまったwもう、大爆笑、、対戦相手のネーミングセンスが面白すぎて、、、wあおばさんすごくネーミングセンスがある!羨ましい😭wハンドガンって水くんのだったんだ、、水くんこのあとその銃はどこで洗ったのかな?wこれからも応援してます!