孤立

静かな夜がやって来た。渡辺には触れないという夜。

ついこの前も、肋骨にヒビいかせて触れ合うことが出来なかった。

目黒ーまた我慢するの？

渡辺ー怪我人だし。

目黒ーうつ伏せとか俺の上とか、大丈夫じゃん。

渡辺ー体勢の問題じゃなく、怪我人相手にしようとするのが間違ってる。

目黒ーいいじゃ〜ん。

渡辺ー子供みたいなこと言わない。

目黒ー俺ずっと我慢してるし。

渡辺ー当たり前だ。

目黒ー隣りで寝てるのに。

渡辺ーじゃあ、ソファで寝る。

目黒ーダメに決まってるでしょ。

毎晩のように繰り広げられる会話。

まだ、傷が治りきってない渡辺に無体を強いる目黒。

寂しかったのも分かるし、世話にもなっている。

しかし、まだ治ってないのだ。

背中の傷に当たらないよう、目黒の膝に向かい合って座っている。

腰に手を回し駄々をこねる目黒。

体勢の問題でもあるが、汗が傷に沁みたらどうしてくれる？

それを言ったら、風呂場でと言い出しかねない。

渡辺ー大人しく寝よう？

目黒ーやだ。

渡辺ー怪我人なの！

目黒ー風呂場に行くから。

渡辺ー・・。

目黒ー汗が沁みたら痛いでしょ。

渡辺ーそこまでしてしなくても。

目黒ー翔太くん？

渡辺ー分かった分かった、分かりました！

目黒ー翔太くん、大好き。

渡辺ー・・。

ウキウキして見えるのは気のせいか？

渡辺ー凄く嬉しそうだな。

目黒ー俺よく我慢したよ。

渡辺ー怪我人って分かってるか？

目黒ーもうだいぶ良くなってきてるじゃん。

渡辺ー判断するのは俺だと思うけど？

目黒ー見た目も綺麗になってきてるし。

渡辺ー瘡蓋にもなってないし。

目黒ー綺麗に治るから大丈夫。

渡辺ーお前は医者か？

目黒ーもぅ！

渡辺を連れて風呂場に行く。

そっと上着を脱がせガーゼを取る。

熱くも冷たくもない温度の湯をかける。

渡辺がしがみつく。

目黒ーどうした？

渡辺ーお前に怪我がなくて良かった。

目黒ー皆んなのおかげ。

渡辺ー最終回まで頑張れ。

目黒ーん。

優しく身体を洗う。

渡辺ーあた・・る・・そこ・・。

目黒ーいいでしょ？

渡辺ーだめ・・ついて・・もっと・・。

目黒ーいい眺め。

渡辺ーばか・・みるな・・。

目黒ー突くよ？

渡辺ーんっ・・はっ・・でる・・。

目黒ー俺も。

渡辺ーで・・る・・はぁ・・

目黒ー飛んじゃった。

抱きしめて意識が戻るのを待つ。

目黒ー毎回飛んじゃうね。

渡辺ー我慢しないから。

目黒ー可愛い。

渡辺ーばか。

薬を塗ってガーゼを貼りテープで留める。

今日は、ちょっと身体がザワザワするらしい。

シルクのバスローブも嫌がった。

目黒ー裸で寝れないでしょ。

渡辺ーん〜ん。

目黒ー下着も着けてないし。

渡辺ーいや！

目黒ーバスローブ羽織って。

渡辺ーぶ〜。

目黒ー寝るよ？

渡辺ーバスローブだけでいい。

途中で無意識のうちに脱いだのだろう。

シーツの上にバスローブ。

その上に生まれたままの姿で寝てる。空調を上げる。

目黒ーどこ、見ればいいの。

冷えた身体に、もう1枚バスローブをかけ、身体を覆う。

朝になるとくしゃみしてる。

完