「エスター…家に帰ろう。」
抱きしめながらそう言ってくれた。声は震えていた。
私はそれを見つめ、声を絞りした。
喉が痛かった 手や声は震えていた
その2文字を出すのに全部の力を使った。
「私の名前、リストに書いたんでしょ、」
「パパが私を売ったんでしょ…」
パパは何も言わない
でも、抱きしめる力がちょっとだけ弱くなった。
「ねぇ、パパ、どうして私がこんな運命なんだろうね」
風が吹いた。
その瞬間私は耐えられなかった。
震える手が無意識に動いた。
声が出るより早く。体が勝手に、
パパに抱きついていた。
泣きながらパパの背中を叩く、
「嫌い 」「大嫌い」「嫌い」
と何度も繰り返す。でも、離れなかった。
パパは優しく抱きしめてくれた、
そのぬくもりに泣いた
裏切られたはずの腕の中で、
唯一心がほどける感覚があった。
しばらくパパの腕の中にた、私の涙でパパの服は濡れていた。
体の中の水分を使い切るほど泣いたと思う。しばらく泣き終わるまでパパはまっててくれた、
「パパ…ナチスの方に行っちゃいや…」
その言葉が出た時、パパは苦しそうな顔をした。
「あの制服着ないで…」「私の事守るって言ったよね、でもあの制服を着ている限り、パパは誰かを壊す側にいるの、」
数分の間、いや、数秒かもしれない。
沈黙が落ちた。
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