テラーノベル
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カチカチと、深夜の自室に小気味悪いマウスのクリック音が響く。 AMPTAKxCOLORSの活動が本格化してから、俺――ぷりっつの生活は、動画編集と配信、そしてレッスンで埋め尽くされていた。やりがいはあるし、楽しい。けれど、人間である以上、体力的にも精神的にも限界が近づく夜はある。
💚「はぁ……。今日の動画、マジで終わらん気がしてきたわ……」
画面のインジケーターを睨みつけながら、大きくため息をついて背もたれに体重を預けた。目の奥がチカチカして、肩は石のように凝り固まっている。 その時だった。
🩵「ぷりちゃーーん!! 差し入れ持ってきちゃた!」
ノックもそこそこに、部屋のドアが勢いよく開く。現れたのは、グループのムードメーカーであり、いつも元気いっぱいのちぐさだった。
💚「うおっ!? びっくりした、ちぐさかよ。ノックくらいしろや!」
🩵「えへへ、ごめんごめん! ほら、これあげる。ぷりちゃんの好きなカフェラテと、チョコブラー!」 ちぐさは手際よく、俺のデスクの空いたスペースにコンビニの袋を置いた。ちょうど糖分を欲していたタイミングだ。俺は「お、マジ? サンキュ」と、差し出された冷たいカフェラテのストローを咥えた。甘さが疲れた身体に染み渡っていく。
🩵「ぷりちゃん、最近ずっと部屋にこもってたでしょ? 顔色がちょっと疲れてるなーって思ったんだよね」
💚「あー……そんなに顔に出てた? バレてたか」
🩵「メンバーのことは何でもお見通しですっ!」 ちぐさは、まるでひまわりが咲いたような、いつもの眩しい笑顔を浮かべた。 その笑顔を見れば、大抵の疲れは吹き飛ぶ――はずだった。 けれど、俺はちぐさのその顔をじっと見つめながら、胸の奥に小さな引っかかりを覚えた。
(……なんか、いつもと違う気がする)
一見すると、いつもの元気なちぐさだ。でも、笑った時の目の奥が、ほんの少しだけ強張っているように見えた。声のトーンも、いつもよりほんの少しだけ高い。
💚「なぁちぐさ、お前は疲れたりせんの? いつもそんな元気に動き回ってさ」
何気なさを装って、俺は問いかけてみた。 ちぐさは一瞬、本当に一瞬だけ動きを止めたが、すぐにまたクシャッと笑ってみせる。
🩵「んー? 疲れる時もあるよ? でもね、こうやってぷりちゃんに喜んでもらえると、僕まで元気になっちゃうんだ。それにさ……」
ちぐさは、自分の胸に手を当てて、少しだけ真面目なトーンで続けた。
🩵「僕が暗い顔してたら、リスナーさんもメンバーも心配しちゃうでしょ? だから、僕はみんなを笑顔にするために、いーっぱいの笑顔でいたいんだ!」 その言葉は、アイドルとして、表現者として、100点満点の答えだった。 だけど、満点すぎて、逆に胸が苦しくなる。 みんなを笑顔にするために、自分は笑顔でい続けなきゃいけない。 それは裏を返せば、「辛くても、暗い顔をしてはいけない」という、ちぐさ自身への呪縛のように聞こえた。
💚「……そっか」 俺はそれ以上、深く踏み込むことができなかった。 「無理すんな」と言うのは簡単だ。だけど、ちぐさがファンのため、グループのために張っている意地を、生半可な気持ちで否定したくはなかった。
🩵「ぷりちゃん? どうしたの、じっと見つめて。俺の顔に何か付いてる?」
💚「いや、何でもない。……ありがとな、差し入れ。おかげで後半戦も頑張れそうだわ」
🩵「うん! 無理は禁物だけど、応援してるからね! じゃあ、俺は自分の作業に戻るね」 ちぐさはパタパタと手を振って、嵐のように部屋を去っていった。 静まり返った部屋で、俺はデスクの上のチョコブラウニーを見つめる。 あいつは強い。だけど、あいつだって一人の人間だ。 いつかあの笑顔が、ポキリと折れてしまわないだろうか。 俺の心には、どんよりとした曇り空のような、小さな不安が広がり始めていた。
コメント
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第1話、めちゃくちゃ刺さりました…!😭💕 ぷりっつの視点から見たちぐさの笑顔の裏側、あの「みんなを笑顔にするために笑顔でいる」って言葉、めっちゃアイドルとして正しいけど、逆に胸がギュッてなったよ…。ぷりっつが「ポキリと折れるんじゃないか」って不安がる気持ち、すごくわかる。 元気なキャラほど実は疲れてるって描写、リアルすぎて泣ける。二人の距離感と、それでも踏み込めないもどかしさが良すぎた…!続きが気になる〜!🥺🌸
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枢空 乃希@今だけ低浮
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