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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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昼起きて、服を脱ぎながらリビングへ行く。空(ソラ)ちゃんが足にまとわりついてくる。

「なんじゃぁ〜」

空(ソラ)ちゃんを抱き上げる。

「かわゆいなぁ〜」

父は変わらず朝から仕事。

母も今日は早めのシフトらしく、作り置きのお昼ご飯が電子レンジに入れてあった。

ボサボサの髪をかき分けるように頭皮をポリポリ掻いたり

下着のパンツの中に手を突っ込み、お尻をボリボリ掻きながらお風呂へ向かう。

体を洗って髪を洗う。髪は色が抜けないように

3日に1回のペースで洗い、髪を洗う3回目で色を入れている。シャワーを髪にあてる。

ボサボサの髪が一気にまとまり、重さが出る。白いお風呂の床に濃いピンクの水が流れる。

シャンプーを1プッシュ。汚い話だが3日に1回だとシャンプー1回目では全然泡立たない。

コンディショナーかと思ってしまうほど。

しかし泡立たないのに色は落ちる。シャワーで1回、泡立っていないシャンプーを洗い流す。

先程よりも濃い、今度は赤い水が流れていく。勘違いかもしれないが、私が髪を赤く染めてから

綺麗な白だったお風呂場の床がほんのりピンクに染まった気がする。

2回目のシャンプー。今度は泡立つ。シャンプーは頭の前側

頭頂部、こめかみから耳の裏側らへん、両サイド、そして後ろ、5プッシュは使う。

そして泡タイプのボディーソープでピアスホールも洗浄する。もちろんへそピも。

茶色いバスタオルで体を拭いて髪をわしゃわしゃーっとする。

髪を赤く染めて、初めて髪を洗った後

白いバスタオルで髪を拭いたら、白いバスタオルが濃いピンクに染まった過去があるため

ホン・キオーテで茶色いバスタオルに買い替えたのだ。部屋着のTシャツだけを着て

濡れた髪をバスタオルでターバンのように包み、部屋着のパンツを持ってリビングへ行く。

部屋着のパンツのポケットからスマホを抜き取り

部屋着のパンツをダイニングテーブルのイスの背もたれにかける。

スマホをダイニングテーブルの上に置いて

電子レンジから母が作ってくれたお昼ご飯を出し、ラップをゴミ箱に捨てる。

食器棚から自分のグラスを取り、氷を入れて四ツ葉サイダーを注ぎ

その場で飲む。炭酸の刺激が口から喉に伝わる。

「っ…はぁ〜…うまっ」

もう一度注ぎ直し、ダイニングテーブルへ戻る。

テレビをつけ、nyAmaZon プライムで同席酒場を見ながらお昼ご飯を食べる。

「ご馳走様でした」

しっかり手を合わせてしっかり言う。食器を洗って水切り台へ。そしてギターの練習。

正直曲をしっかり弾けるまでは、コードを確認しながら弾いているときはそんなに楽しくない。

でも「お、ここ弾けてきた」とか

「だいぶ曲としてまとまってきた」とかいうときに楽しくなる。楽しくなると練習も加速する。

そして細部に拘り始める。一旦一通り弾いてみた後でスマホを手に取る。

画面をつける。夕雪星(ゆせせ)から個人LIMEが来ていた。


夕雪星(ゆせせ)「さか姉、どこで歌ってんの?」


「さか姉って」

と笑いながら夕雪星(ゆせせ)とのトーク画面へ飛び、返信を打ち込む。


「真新宿。これだけしか教えません」


送信ボタンをタップする。歳が近い夕雪星(ゆせせ)と知り合えて

「さか姉」と呼ばれて、ひさしぶりに友達ができて嬉しかった。

「さて、続き続き」

引き続きギターの練習。母が帰ってくる直前まで引き続け、直前で部屋に逃げ戻った。

父と母と夜ご飯を食べ、部屋に戻り、着替えてギターケースの上からポンポンと軽く叩き

「今日も頼んだぞ、相棒」

と言ってギターケースを担ぎ、家を出る。電車に揺られ、真新宿で降りる。

前はたまに私がよく歌わせてもらっている場所で他の人が演奏していたことがあるが、今はほぼない。

あそこはあの人の場所、みたいになったのだろうか。とりあえずギターケースやスピーカー

マイクやマイクスタンドが入っているバッグを下ろし、スピーカーやマイクスタンドなどの設置を始める。

そしてギターケースを開いてギターを取り出し、肩にかける。

機材の設置からマイクの前に立つまで、ここまでが1番緊張する。

「えぇ〜、こんばんは、Sakaです。

ほぼ毎日のようにここで歌わせていただいております。今日も歌いにまいりました。

ご通行中の皆さま、お騒がせします。へたくそですが良かった聞いてやってください」

そして歌わせていただく曲のアーティスト様の名前、曲名を言って一息ついて

ギターをトントンとしてリズムをとってからギターを弾き出す。

ギターの音色が響き出せば、不思議なもので雑踏などは遠く聞こえる。

完全に音楽の世界、自分の世界に入ることができる。歌い出せばなおさら。

自分の声、歌い方、自分が響かすギターの音色

自分の容姿までもが客観的に映し出され、美化されカッコよく感じる。

赤い髪が揺れ、ピアスが光る。声も歌い方もギターの弾き方も

歌っている自分のなにもかもがカッコよく感じ、どんどん自分に酔っていく。

歌と歌の繋ぎで多少、自分への酔いは軽減されるが、歌が始まればまた自分に酔える。

どんどん自分の中で真新宿の路上から小さなライブハウス

伐々木(ホホギ)体育館、東京武道館、国立競技場、日本ドームと景色がどんどん変わっているように感じる。

みんながペンライト、サイリウムを振っているような感覚。最高。気持ちいい。

終電近くまで歌い上げ、ありがたいことに投げ銭をしてくださる方も数名いて

その方々にももちろん、聞いてくださった皆様にもお礼を

「ありが…と…」

言っている最中に気づいた。ピンクと黄色の派手な髪がいるということに。

あんな派手な髪色そういない。いやいや、でも別人かも。ん?姫カット?あれぇ〜?

「うございました」

頭を下げて、ありがたいことに拍手をいただく。

頭を上げて、マイクのスイッチを切って…顔が見えた。そうだ。夕雪星(ゆせせ)だ。近づいてくる。

「おっすー紗歌姉ー」

「おっすーってなにしてん」

「ん?いや別に。紗歌姉の歌聴きにきた」

「マジ?それだけのために?」

「まあね。どこかなぁ〜って探してたらいた。なんか手伝う?」

「あ、いいいい。ありがと。お気持ちだけで。七幡山帰る?」

「そのつもり」

「じゃっ…よいしょっと…ちょっとー待っててーください」

「りょーかい」

いただいたお金を財布に入れ、機材をまとめ、ギターをしまい

「んじゃ、帰るか」

と真新宿の駅まで歩く。

「持とうか?」

「いいよ。重いし」

「スピーカー?」

「そう」

「じゃあ重いわけだ」

「ま、いいやつじゃないから、そんなだけどね。他にマイクとかスタンドとかが入ってるから」

「にしてもカッコよかったわぁ〜」

「やめてけれ」

「いや、マジで」

「マジで?」

「マジでカッコよかった」

知り合いからこうも真っ直ぐに褒められると、恥ずかしさと嬉しさが致死量で襲ってくる。

「ありがとう…ございます」

「みんなに教えればいいのに」

「恥ずいんだって」

「まー…そうか」

「じゃあ夕雪星(ゆせせ)の小説読めるとこ教え」

「ません」

「おい。割り込むなよ」

「恥ずいもん」

「恥ずいんじゃん」

「私の世界観、別にカッコよくないし」

「じゃあジャンルだけ」

「えぇ〜」

「ラブコメかファンタジーか、バトルものかミステリーか、サスペンス。さあ、どれ」

「ラブコメです」

「ラブコメ!いいねぇ〜キュンキュンする?」

「さあ?私は好きだけど」

「読みてぇ〜」

「探してください」

「無理じゃね?ペンネームもわからん、作品タイトルもわからん中で

この無数にある小説の中でピンポイントで夕雪星(ゆせせ)を探すのはさすがに無理じゃね?」

「だね」

と笑う夕雪星(ゆせせ)。真新宿から電車に乗って七幡山駅で降りる。

毎回、歌い終わってすぐイヤホンで音楽を聴いていつものファミレスまで行くのだが

今回は夕雪星(ゆせせ)と一緒。新鮮味がある。

「え、マジで私の歌聴きにくるためだけに真新宿行ったの?」

「え、うん。そうだけど」

「暇かよ」

「失礼な。バイトはしてるし、常に小説のネタになりそうな…っていうか

日常に感じる些細なことにも目向けてるんです」

「さようですか」

「さようです。てか紗歌姉こそ作詞作曲進んでんの?」

「進んでーない」

「ないんかい」

「いや、ね。ムズイんよ?作詞作曲って」

「まあ、簡単ではないだろうね」

「メロディー考えて、そこに合う歌詞考えて」

「あ、メロディー先行型なんだ?」

「んん〜…どっちとも言えん。いい歌詞思い付いたら歌詞先行だけど

歌詞先行でその歌詞に合うメロディー考えるほうがムズイかな」

「そーなんだ」

「夕雪星(ゆせせ)は?」

「なにが?メロディー先行型か歌詞先行型か?」

「ないでしょ、メロディー」

「ないね」

「どんな感じでストーリーって思い付くの?」

「あぁ〜…んん〜…あぁ〜…」

「そんな?」

「いや、これカッコつけとかそーゆーのじゃなくて、マジでパッっとアイデア出てくる」

「へぇ〜」

「でも歌そうでしょ。パッっといいの出るときあるでしょ」

「まあ、あるね」

「そんな感じ。本筋がバンッって決まって、そっからキャラクター考えて

キャラクターの設定の肉付け、ストーリーの肉付けしてく感じ」

「へぇ〜。大変そう」

「んん〜、それこそ簡単じゃないけど、好きだからね。あんま大変とは感じない。

ネタ出ないときは「あぁ〜!」ってなるけど」

「それは歌も小説も同じか」

「同じ同じ。紗歌姉だって歌好きでしょ?」

「好き」

「大変とは感じないでしょ?」

「いや?大変だね」

「大変だったぁ〜」

2人で笑う。公園を通りファミレス「ガスイド」に入る。

夕雪星(ゆせせ)は一旦中を見てから

「あ、1名で。あとから1人来ます」

と言い、私も私で

「あ、1名で」

と言い、店員さんの不思議そうな顔を他所に空いている席へと行った。

重い荷物と相棒を下ろし、背筋を反らせてバキボキッっという音をさせて

元の姿勢に戻ったタイミングでベルボタン押す。

ドリンクバーのみを頼んで、飲み物を取りに行く。夕雪星(ゆせせ)と一緒になる。

「ゆめちゃんまだなのね」

「そうね。というより紗歌姉の歌聴いてたから私がはやいってのもある」

「なるほど?」

と言いながら飲み物を注いでいると噂をすれば。

夢芽灯(ゆめあ)ちゃんご来店。と思ったら隣には李冒艿(りもに)さんがいた。

「おぉ、噂をすればなんとやら」

「ね」

2人に手を振る。2人が気づいて手を振りかえしてくる。

夢芽灯(ゆめあ)ちゃんは夕雪星(ゆせせ)と同じテーブルで

李冒艿(りもに)さんは別のテーブルへと行った。しかしみんなテーブルは近く固まった。

同じように李冒艿(りもに)さんも夢芽灯(ゆめあ)ちゃんもドリンクバーを頼んで

夕雪星(ゆせせ)と私が戻るときにすれ違った。

李冒艿(りもに)さんも夢芽灯(ゆめあ)ちゃんもドリンクバーから帰ってきた。

「夕雪星(ゆせせ)ちゃん、今日早くない?」

「あぁ、紗歌(サカ)姉の歌聴きに行ってたから」

「マジで?」

「マジで」

「マジで!?」

割と大きな李冒艿(りもに)さんの声が聞こえる。

「うるさっ」

「え、夕雪星(ゆせせ)ちゃん、紗歌(サカ)の歌聴けたの!?」

「聴けましたよ。てか割とすぐ見つかりましたよ」

「マジ!?」

「とかいいつつ、りもさん、探してないっしょ」

「え?いや、そんなことないよぉ〜」

「嘘へたぇ〜」

「いや、寝て起きて飯食ってテレビ見て、バイト行ったり行かなかったり、んでネタ考えて。

正味探してないよね」

「ま、そんなことだろうと思いましたよ」

「聴きたくないわけじゃないんよ!ここで歌ってくれるなら全然聞くし」

「歌うかぁ〜。迷惑でしょ」

「いんじゃない?人いないし」

「そーゆー問題じゃなくない?モラルの問題じゃない?」

「たしかに」

「ほら。ゆめちゃんは常識人。私も常識人」

「李冒艿(りもに)さんと夕雪星(ゆせせ)は非常識人」

「失礼な。社会のレールからは外れてるけど常識はあるわい」

「右に同じく」

「社会のレールから外れてるのは私もだなぁ〜」

夢芽灯(ゆめあ)ちゃんが向こう側に寄る。

「おいでぇ〜ゆめちゃん〜ようこそ社会不適合者のグループへぇ〜」

「ようこそぉ〜」

「悪いお姉さんたちだ。と言いつつも私も社会のレールからは外れてるからなぁ〜。

私もなかまに入れてくれい!」

無事社会不適合者のパーティーが組まれた。その後も自分のすることに集中したり

みんなで駄弁ったり、飲み物を取りに行ったりしていると

あっという間にファミレスの窓の外の空が白み始め、運利月(ウリツ)さんが合流して

李冒艿(りもに)さんの飲み物を飲み、各々が各々の会計を済ませ、外に出た。

清々しい空気。家族で旅行へ行ったときの匂いを思い出す。

泊まった朝、はやくに起きてしまったとき、父と弟がこっそり部屋を出るところで

「どこか行くの?」

と聞くと朝風呂へ行くということだったので一緒についていった。

早朝の綺麗な空を見ながら入った露天風呂を思い出す。少し胸が締め付けられる。

運利月(ウリツ)さんのタバコに付き合うため公園へ。

家族で旅行へ行ったときの匂いを運利月(ウリツ)さんのタバコの匂いが台無しにする。

しかしそのお陰で締め付けられていた胸が幾分か楽になる。

運利月(ウリツ)さんのタバコが短くなるまで他愛もない話をして盛り上がり

運利月(ウリツ)さんがタバコを携帯灰皿に押し入れたところで解散。

みんなそれぞれの帰路へついた。私はいつも通り音楽と共に。

こんな生活がもう染みついた。きっと私は本当に音楽がないと生きていけないし

音楽がなければ、きっと今頃、運利月(ウリツ)さんや李冒艿(りもに)さん

夕雪星(ゆせせ)や夢芽灯(ゆめあ)ちゃんに会って仲良くなるなんて未来なく、きっと…。

なんて思いながら、音楽に感謝して家に帰る。

こっそり玄関の扉の鍵を開け、忍び込み、こっそりと自分の部屋へ戻る。機材を下ろし、ギターも下ろす。

「お疲れい」

ギターケースの上からギターをポンポンッっとする。

服を脱ぎ、そこら辺に放って部屋着に着替える。ベッドに倒れ込む。

「あぁ〜あ」

なにもない天井を見る。ふとした瞬間で自分の人生を思ってしまう。

可愛い弟がいなくなって、大好きだった父もいなくなったも同然。ふと命を諦めたくなる。

しかし母の顔、妹の顔、そしてそこに運利月(ウリツ)さん、李冒艿(りもに)さん

夕雪星(ゆせせ)、夢芽灯(ゆめあ)ちゃん、社会不適合者グループの顔も思い浮かぶ。

「はぁ〜あ。生きますよ。はいはい」

仕方ない、みたいな感じで天井へ吐き出す。スマホでMyPipeを開く。

音楽集団としてもゲーム実況集団としても活躍する「NSSP」さんの新着動画を見る。

4人メンバー全員が仲良くて、中学生、もしくは小学生の昼休みのような

とにかく見ていて、そして会話を聞いているだけで思わず口角が上がってしまう。

元気をもらえる。鼻から深呼吸のように息を吐き出す。「NSSP」さんの新着動画を見終え

ワールド メイド ブロックス、略称「ワメブロ」の再生リストを1から再生する。

「スポーーーーーン!!」

「元気やな、さっくん」

思わず笑う。各メンバーの自己紹介が始まる。

「まろあ先生、相変わらずテンション低いなぁ〜」

もう何回も見ている。しかし何度でも笑える。何度でも癒される。何度でも救われる。

心が苦しいとき、何度も救われた。感謝しながらイヤホンで動画の音声を聞いているとスッっと眠っていた。

シャットアウト!!

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