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(『俺』って……完全にスイッチはいってる)
瞳から、柔らかさが消えて、ぎらついた瞳で見下ろされる。思わず、お腹がキュンとなってしまい、この間の疑似痴漢シチュエーションのことを思い出した。あの時は、ただ下半身を触られただけだけど、今日は最後までされるんだろうなって、俺は思わず固唾を飲み込む。だって、逃げられないって悟ってしまったから。
「ねえ、朝音さん」
「な、に」
「そんなに、堅くならないで。『俺』がリードするから、朝音さんは前みたいに、『俺』に全部委ねてくれればいいから」
するりと細い指で、頬を撫でられぴくんとらしくもなく、身体が反応してしまう。それどころか、触られたところから、広がっていくように熱が伝染していく。
ゆず君は、そんな俺を見てくすりと笑った。
「あっ、待って」
「何で、止めるの。朝音さん」
「きっ、すは……ダメ。ゆず君、好きな子とするものだよ。キスは……恋人同士、とかで、するもの」
と、キスしてこようとしたゆず君の口を両手で塞いで、俺は消えるようにいった。
だって、ゆず君にとってこれは演技の一貫で、必要なことかも知れないし、そういうシチュエーション、台本を用意していたのかもだけど。それだけは、ダメな気がした。だって、俺達、好き同士でも何でもないから。
(ゆず君って大胆だけど、自分を大事にしてないっていうか、自分がないっていうか……)
大事にして欲しいし、好きな人とキスはして欲しいなと思った。そう考えたら、胸がちくっとしたような気がしたが、俺は気付かないフリをして首を横に振った。そうして、暫くしてから「分かりました」と小さく呟いて、ゆず君は離れていく。
「じゃあ、他は好きにさせてくださいね?」
なんて、言って、今度は首筋に唇を這わせてくる。ぬるりとした感触にびくりとすれば、そのままちゅっちゅーと吸われて、ちりりとした痛みが走る。そして、また別の場所にも同じように吸い付かれて、俺は声が出そうになるのを抑えた。
「ゆ、ゆず君本当に初めて!?」
「はい、初めてですけど」
「慣れすぎじゃない!?」
「まあまあ、感じてくれれば、いいんで。朝音さん、お口チャックで。あ、喘ぐのは全然大丈夫なので、寧ろそこは聞かせて下さいね?」
そういって、ゆず君は、どんどん行為を進めていってしまう。
正直、ゆず君が慣れているせいもあって、気持ちよくなってきてしまっていて、このままではまずいと思いながらも、どうすることもできない。
それに、何よりゆず君がカッコよすぎてドキドキが止まらないのだ。いつものあざと可愛さからのギャップと言うだろうか。本当に初めてとは思えないくらい、俺の身体を
這う手が全て俺の身体を悦ばせた。
俺だって、女の子が好きなはずなのに、ゆず君の手で感じてしまっている。こんなの初めての経験なのに。これが俗に言う……あや君が欲口にしてる、受けの才能……なのか。
(いやいやいや、全然そんな才能いらないけど!?)
と、頭の中で否定しながら、でも、確かに俺はこの状況に興奮していた。
「朝音さん、乳首立ってますよ? 可愛い」
「へ! んんっ!」
「ふふ、ここ弱いんですね」
「んぅ、ぁ、ゆずく」
片方を摘ままれて、ぐりぐりと潰されながらもう片方を舐められれば、俺はたまらず甘い吐息を漏らしてしまう。すると、ゆず君は嬉しそうな顔をして、更に激しく攻めたててきた。そんなところ、抓まれたことなんて無いのに、こんなに感じるなんて知らなかった。
「あ、あ、あ、ゆず君だめぇ」
「朝音さん可愛いです。でも、もっと見ていたいですけど、今度はしたの方触りますね」
何処か面倒くさそうに、でも興奮もしながら、といった感じにゆず君は俺のパンツを脱がして、足を大きく開かせてしまう。そうすれば、もう何も隠せなくて、恥ずかしくて死にそうだ。
そんな俺のことなんてお構いなしに、ゆず君は俺のモノを掴んできた。そうして、ゆっくりと上下に擦られてしまえば、俺のソコはすぐに熱を持ち始めてしまった。けれど、パッと手を離して、ゆず君はいじわるげに笑う。
「まあ、初めてで、こっちなしでイクのは無理かも知れませんが、何事もやってみなきゃ分かんないので」
そう二パッと笑って言うと何処から取りだしたのか、ローションを俺の下半身にかけ始めた。
ひんやりと冷たい感覚がして、思わず身震いしていれば、ゆず君はそれを塗り込むように指でなぞってくる。そうして、ゆず君の細くて綺麗な指が俺の中に入ってきた。
「何処でしたっけ、前立腺……何処か知りません?」
「何処か知りませんって、知るわけ……んあっ!?」
「おっ、ビンゴ」
「ゆっぅ、ゆず君……むーどは」
「まあ、この際無くても平気ですよ。僕も興奮してるんで」
俺の前立腺を探し当てたことで、何故か上機嫌になったらしいゆず君はそこばかりを集中的に弄ってきた。
その度に俺の身体はびくんびくんと跳ねて、女みたいな声が出てしまう。それが嫌で口を手で抑えようとすれば、ゆず君によって阻止されてしまった。
そのまま、ひときわ強く中で指を押されてしまえば、俺はなす術もなく声を上げるしかなかった。くたりと、身体から力が抜けたことで、ゆず君の大丈夫ですか? なんて声が上から振ってくる。大丈夫じゃない、と言いかけた時、目の前にゆず君のアレが差し出された。
俺の痴態を見て、勃ち上がっていたそれは、俺のものよりも大きくて立派だった。ゆず君って童顔だから、あまり気にしていなかったけどやっぱり男の子なんだなと、変なところで実感する。可愛い顔して、凄いものをお持ちで……
それにしても、これは……
ごくりと喉が鳴る。ゆず君のならともかく、他人のなんてAV以外で見たことがない。しかも、男の人のなんて、絶対に見たくないと思っていたはずなのに。
「今から、これが朝音さんの中に入るので。あっ、誉めてくれてます? 顔で分かるんですけど、嬉しいです」
「ゆ……」
嬉しそうに笑ったゆず君は、それを、俺の孔にあてがい、自身にもローションを垂らして滑りをよくしていく。
いよいよ本番かと、俺はぎゅっと目を瞑った。すると、ゆず君は俺のことを抱きしめてきて、耳元で囁いてくる。
「朝音さん、目、閉じないで。僕を見て」
「え……っ~~~~!?」
そして、そのまま一気に貫かれた。
瞬間、視界に火花が散ったような気がして、一瞬意識が飛びそうになる。
だけど、それを許さないというかのように、ゆず君は腰を動かし始めた。最初はゆっくり、次第に早くなっていく律動に、俺はただ声を上げ続けることしかできない。
痛いのに、苦しいのに、気持ちいい。圧迫感はあるものの、そこに埋まっている感覚がなんともいえなくて、気持ちよくて、たまらない。
ゆず君が動く度、ぐちゅぐちゅとした音が響いて、それにまた興奮してしまう。
俺の身体は、俺の知らないうちに作り替えられてしまっていたようだ。
「あっ、あ、あぁ、ゆず君、ゆず君!」
「気持ちいいですね。朝音さんの中、すっごい締め付けてきますよ。僕のこと離さないって言ってるみたいです」
「やだ、やだよぉ、ゆず君っ! そんなこと言わなぃでぇ」
「どうして? 朝音さん、僕の声好きなんです? それとも、言葉攻めが好き?」
そう言われて、ハッとする。
確かに、俺はさっきからゆず君の言葉に反応していた。でも、断じて言葉攻めが好きなんじゃなくて……
(可愛いと思ってたゆず君が、雄に見える……から、とか)
口にしちゃいけないような気がして、その言葉を飲み込んで、俺はゆず君にしがみついた。それと同時に、彼のを締め付けてしまったようで、「うっ」とゆず君が苦しげに声を漏らす。
「やって、くれますね。朝音さん」
「え、俺は何も……あぁっ!?」
「そういうのが、煽るんですよ。男を煽るって、こういうことなんですよね。ほら、もっと鳴いてください」
そういって、ゆず君は激しく動き出した。
パンッ、パンッと肌がぶつかり合う乾いた音をたてながら、何度も奥まで突かれてしまえば、もう俺には喘ぐことしか出来ずに、ひたすらに快楽に溺れていった。
最後に見たのは、ゆず君の満足そうに、俺を見下ろして愛おしげに笑う顔だった。