仲間達の殆(ほとん)どが諦めを見せる中、リョウコとカイムは驚くべき成果を上げるのであった。
遊び半分だった自分達とは違い、真面目に仲間達を増やし続けていた配下のお蔭で、集め捲っていた魔獣達の強化を始めたのだ、効率的に。
三頭の巨大ツキノワグマのタマ、リボン、マッチはそれぞれ日本、ロシア、アフリカを巡り魔獣に進化した野生動物に声を掛け捲っていたし、お猿のフンババは渡米して彼の大陸中の仲間を集めていた。
ついでに消え行く文化を惜しむように、北米、中南米のスラッガーを訪ねては、個人的な勝負に興じたりもしていたようだ、敬意を込めてフォーシーム一本での真っ向勝負だったと言う。
他にも、水生動物にはカルキノスが声を掛けて回り、他組織のアルテミスやストラス、ダゴンにも手伝って貰い、昆虫、鳥類、魚類の魔獣達も出来る限り集めたのである。
集められた魔獣達は次々と強力な悪魔へと変えられていった。
手段として二人が選んだのが、『依り代』である。
これまでの経験から、一度依り代として悪魔を受け入れた生物は、悪魔を祓われた後でもその力の一端を保持し続ける事がわかっていた、ジローやユイの様に……
そこに目をつけたリョウコとカイムは、集まった魔獣達に次々と悪魔を憑依させて行ったのである。
カイムの配下、三十の軍団に属する悪魔の総数は、十万以上である。
無論、幹部と呼べるネームドの悪魔は二百に満たない、残りの殆(ほとん)どは理性や知性、強さも不十分なレッサーデーモンである。
普通であれば他の魔王に協力してもらい、幹部の悪魔たちを憑依させる所であるが、時間的に追い詰められた二人は躊躇する事無くレッサーたちを憑依させ始めたのである。
何しろ新学期までは三日しかない、そんな気分で追い詰められていたのだから仕方ない事ではなかろうか?
相手を選ぶでもなく、流れ作業的に次々と依り代産『強化魔獣』達は生産されていった。
合体直後には依頼を受けた親切な聖女たちの神器によって、魔核と元の魔獣とに分離させられていく動物たち。
魔獣はそれぞれの故郷へと送り戻され、魔核は三層の魔界へ運ばれ、彼の地の潤沢な魔力を受けさせられて強制的に悪魔へと復活させられた。
そして繰り返される『依り代』憑依作戦。
悪魔たちは主の言葉に反抗こそしなかったものの、内心ではかなりの不満が渦巻いている事は間違いなかった。
事実、様々な窓口に相談しようとした悪魔も少なくなかったらしい、ハローワークとか労働基準局だとか…… 『オニギリ友の会』や『カイム一派』が法人でなくて本当に良かった……
なにしろ、手伝わされた世界中の聖女達が、痩せたり腱鞘炎を患ってしまったりした位だったのだ、痩せたんだよ? 全員。
こうして濫造(らんぞう)された強化魔獣達がレイブの時代の魔獣、獣奴の元となっているのだ。






