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第二話:『綻びる理性』
九条邸の地下深く。そこは地上とは完全に隔絶された、無機質で静謐な「実験場」であった。
楓は、書斎で絡みついた超合金の鎖に繋がれたまま、天井から吊り下げられた。
「……あ、っ……はぁ、はぁ……」
媚薬ガスの熱は引くどころか、彼女の血管の隅々まで行き渡り、心臓が跳ねるたびに甘い毒を脳へ送り込んでいる。目の前には、ジャケットを脱ぎ、シャツの袖を捲り上げた九条が立っていた。その手には、鋭利な輝きを放つ小さなカッターナイフが握られている。
「さて、楓。その無粋な殻を脱いでもらおうか。忍びの装束など、今の君には不要だ」
九条がナイフの先を、楓の胸元に当てた。「やめ……て……」という拒絶の声は、喉の奥で震える吐息にかき消される。
ジリ、ジリ……という音を立てて、特殊繊維のタクティカル・スーツが切り裂かれていく。胸元から腹部、そして股間へと刃が滑る。スーツが左右に割れると、そこには媚薬の熱で薔薇色に染まった、楓の瑞々しい肢体が露わになった。
鎖が直接肌に食い込み、その冷たさに楓は「ひっ」と短い悲鳴を上げる。
「ほう……。美しいな」
九条の視線が、楓の身体に釘付けになる。特に目を引いたのは、やはり股間のシミだった。スーツを脱がしてもなお、その下の薄い下着はぐっしょりと濡れ通っており、楓の意思とは無関係に溢れ出す愛液が、彼女の足首に繋がれた鎖を伝って床に一滴、また一滴と滴り落ちていた。
「これほど濡らして……身体は、次の快楽を待ちきれないようだな」
「ちが……う……、殺しなさい……っ!」
楓は残された気力を振り絞って九条を睨みつける。だが、九条はその琥珀色の瞳を愉しげに見つめ返し、傍らに用意していた銀のペールに手を伸ばした。中には、鋭く角の立った透明な氷の塊がいくつも敷き詰められている。
「殺しはしない。……だが、君のその『忍びとしての理性』は、今ここで私が殺してやろう」
九条は氷を一つ手に取り、それを楓の火照りきった鎖骨の窪みに置いた。
「っ……!? あ、ぁ……っ」
灼熱の肌に触れる、氷の刺すような冷気。極端な温度差に、楓の身体が大きく跳ねた。九条はその氷を、ゆっくりと、彼女の胸の膨らみから腹部へと滑らせていく。氷が溶けて滴る冷水が、媚薬で過敏になった神経を鋭く刺激し、楓の皮膚に鳥肌を立てさせる。
「冷たいか? だが、内側はこれほどまでに熱い……」
九条は氷をそのまま、濡れそぼった秘芯へと押し当てた。
「ひ、あぁああッ!?」
脳天を突き抜けるような冷感の衝撃に、楓の背中が弓なりに反る。だが、その衝撃が引く間もなく、九条は氷を捨て、自らの熱い手指で直接、楓の核を容赦なく弾いた。
「あ、ぁああッ!!」
氷の冷気から一転して与えられる、主人の指の熱。
二つの相反する刺激が神経を暴走させ、楓の脳内は白く塗りつぶされていく。暴力的なまでの快感の奔流。しかし、楓が絶頂の閾値を超えようとしたその瞬間、九条はぴたりと動きを止めた。
「……ぁ、え……?」
熱に浮かされた楓の瞳が、困惑に揺れる。頂点へ登り詰めようとしていた感覚が、出口を失って体内で渦を巻き、さらなる飢餓感となって彼女を襲う。
「欲しいか? 楓。だが、勝手に行くことは許さない。私の許可なく悦びに浸ることは、忍びの規律よりも重い罪だと思え」
九条はそう言うと、今度は指先で愛液の混じった蜜を掬い上げ、楓の唇に塗りつけた。
「ん……む……っ」
「ほら、自分で自分の情けない匂いを嗅いでみるがいい。これが今の君の正体だ。任務も、里も、すべて忘れて、ただこの指が動くのを待ちわびている……哀れな雌犬の匂いだ」
「ふ、ふざけ……あっ、ぁああ!?」
再び、九条の指が最も敏感な場所を、今度は執拗に、細かく、震わせるように責め立てる。さらに反対の手で氷を掴み、彼女の乳首を交互に冷やしていく。
熱と冷感、そして絶え間ない愛撫。楓の腰は鎖をジャラジャラと鳴らして激しく揺れ、喉の奥からは美しくも淫らな嬌声が漏れ続ける。絶頂がすぐそこまで来ている。
だが、またしても九条は手を離した。
「あ……あぁ……っ! お願い……もう、やだ……やめて、やめてぇ……っ!」
「何をやめるんだ? 言ってみろ。忍びの言葉ではなく、一人の女の言葉で乞うてみろ」
「はぁ、はぁ……っ、い、いっちゃう……いかせて……九条様……っ!」
プライドを捨て、震える声で懇願する楓。しかし、九条は冷酷な笑みを浮かべ、彼女の太腿に絡みついた鎖をぐいと引き絞った。
「まだ足りないな。君のその琥珀色の瞳から、完全に理性の光が消え去るまで……この『寸止め』と『温度の洗礼』は続く」
九条は、震えが止まらない楓の耳元で囁きながら、冷たい氷を彼女の奥へとゆっくりと沈め始めた。逃げ場のない快楽と冷感の狭間で、楓の精神は、ただ一人の主人に縋るだけの崩壊した廃墟へと、ゆっくりと、確実に沈んでいった。
次回予告
氷と熱による執拗な攻め、そして終わりのない寸止めの果てに、楓の精神はついに臨界点を突破する。彼女の口から漏れるのは、もはや里の機密ではなく、主人への尽きぬ忠誠の言葉だった。
次回、第三話:『屈辱の刻印』
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