遺書──サイド ダイチ
遺書って何書けばいいんだろうな。よくわかんねえから、俺からの最後の手紙程度に思ってくれ。
変なこと書くなって、ルネなら怒りそうだ。
でも、俺は本気なんだ。
俺さ、ずっとずっと息苦しかった。普通じゃないって、結構辛いんだ。
それでも生きていけたのは、ダイキがいたから。すげー明るくて、元気で、いつも俺らを照らしていた。
なぁルネ、俺らの名前の由来って知ってるか?
俺、ダイチは『大地のように誰かを支える逞(たくま)しい子になるように』で、“大地”。
ダイキは『大地の上から誰かを照らす太陽みたいな子になるように』で、“大輝”。
ユズは『いとこから沢山学んで立派な実を結びますように』で“柚結”。柚には『健康』の意味があるんだってさ。
二人とも、いや、ユイカもマオも立派に生きてる。俺なんて居なくてもいいんじゃないかってほど、しっかりと。
なのに、モンダイジ団団長として俺のことを慕ってくれてる。
アイツらが俺のことを慕えば慕うほど、苦しくて、俺の居場所はどこにもなくなっていた。
ルネのいうとおりだったんだ。俺はヒーローでいるしかなかった。あの日、死のうとして屋上に行った。
もしかしたら、そのためだけにユイカやマオのこと、利用していたのかもな。自分の本心も分かんないから、ホント困る。
確かなのは、俺にとってのヒーローはルネ、お前だ。
お前ともっと話したかった。遊びたかった。笑いたかった。……お前の闇を、祓ってあげたかった。
それでも、俺は生きて行かないことを選んだ。
本当に、ごめんな。俺なんて産まれて来なければ良かった。消えられるなら消えたかった。
許さないでいい。わかってくれなくていい。これが俺の選択なんだ。この辛さは俺しか分からないことだから。
明日、いや、今日が幸せな一日になることを願うよ。幸せが永遠になる気がするんだ。
ルネは、俺の分まで生きてくれ。ダイキ達のこと、モンダイジを助けてやってくれ。……ルネは優しいからこう言えば断れないだろ?ずりぃけど最後の我儘だから。モンダイジ団に入れよ。
あと、これはみんなに見せないで欲しい。俺がみんなのこと大好きだって気持ちも、本当だから。こんな本心までアイツらには知られたくない。本当に我儘ばっかだな。
最後に。
俺、ルネといるときが一番幸せだった。
ルネのことが好きだった。
言い逃げしてごめんな。でも、伝えたかった。
……もし、俺らがもっと早くに出会えたら、未来は、変わっていたのかなぁ?
それじゃ、さよなら。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!