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──2024年3月3日
いよいよ、挙式当日だ。
朝からバタバタ……
「ウワッ! ヤバッ! もうこんな時間! 綾早く準備して行くよ」と言う匠。
「え?」
私は、寝ぼけている。
「結婚式!」と匠が言うので、ようやく、
「あ!」と慌てて準備をする。
昨夜は、匠の27歳の誕生日だった。
そして、今日が私の25歳の誕生日なので、盛り上がったので、眠るのが遅くなってしまったのだ。
「あ〜もう匠が早く寝かせてくれないから」と言うと、
「え? 俺のせい? 綾が俺にドクター役をさせるからだろ!」と言う。
「ふふ、ほらやっぱり私がドクター役の方が良かったじゃない!」と言うと、
「いやいや、そういう問題ではない!」
「ふふふっ、いつから、お医者さんごっこが定番になっちゃったの?」と聞くと、
「う〜ん、クリスマスから?」と言う匠。
「綾、改めてお誕生日おめでとう」とチュッとする。
「ありがとう! 匠もおめでとう」とチュッとする。
「じゃあ、準備して行こうか」
「うん」
昨夜もお医者さんごっこで盛り上がっていたのだ。
今日も式場でヘアメイクをしていただくので、
「お化粧は、軽くで良いか……」と、
身支度を整える。
匠は、スーツで行くようだ。
私は、匠に買ってもらった、くすみ系ピンクのワンピースを着た。
「可愛い」と何でも褒めてくれる匠。
「まだ、時間大丈夫? 何か食べて行かなきゃお腹鳴っちゃうよ」と、食パンにハムとチーズを乗せてツナマヨソースを塗ってトースターで焼く。
フルーツのヨーグルトを冷蔵庫から取り出すと、匠がデカフェのコーヒーを淹れてくれた。
「ありがとう」
「うん、いただきます」
「いただきます」
匠がニコニコしている。
「ふふ、何?」
「やっと今日挙式だなと思って」
「うん、そうだね」
「嬉しい!」と言うので、
「うん、私も嬉しい!」
すると、ダイニングテーブルの下で足を絡めてくる。
「ふふ」と笑っていると、
エスカレートして足をどんどん上の方へ上げてくる。
「コラ! もう出る時間だから食べることに集中して」と言うと、
「うん、昨日も楽しかったね」とニヤニヤしている。
「今日は、幼稚園ごっこね!」と私がサラッと言うと、
「え〜また、俺生徒?」と言う。
「パンダ役が良い?」と言うと、
「ハハッ、朝からどういう会話? そう言うことではないよな〜」と笑っている。
「ハハッ、冗談よ」と言うと、
「あっ! ダメダメ今日は、ホテルでお泊りだから! 新婚初夜だ! セクシーランジェリーの日だ!」と言う匠。
「違うわよ! もう結婚してるもん」と言うと、
「結婚式後、初夜だ!」
「何よそれ? 無理矢理過ぎ〜! ハハッ」
「皆んなは、初夜だと思ってるから大事な日だよ」
「分かってるわよ。一緒に住んでるの知ってるんだから。でも、じゃあ逆に何もしないのも良いかも〜」と言うと、
「綾! それは違う!」と全力で止めに入る。
「ハハッ、ご馳走様でした! もう行くわよ」
「ちょっと待って!」
────
ようやく、この日を迎えられた。
チャペルのドアの前で、父と腕を組み、スタッフさんから入場の仕方を教えてもらっている。
そして、
「しばらくこのまま、お待ちください」と言われて待機する。
ふと、私は、父に挨拶していないことに気づいた。
「お父さん!」
「ん?」
「今までありがとうね」と言うと、
「あ〜そう言うのは、良いから、いつでも会える距離なんだし」と言う。
恐らく父もコレ以上言うと泣いてしまうと思ったのだろう。
「匠で良かったよ」と言うと、
「うん、ホントに匠くんで良かった。幸せになりなさい!」と言った。
「うん。これからもよろしくね!」と軽く言って隣りを見ると、父は既に、こっそり泣いていた。
「お父さ〜ん」と私もそれを見て泣いてしまった。
「あ、すまんすまん」
2人して泣いているので、スタッフさんが、そっとハンカチをくださった。
「ありがとうございます」
「あ、すみませんね〜」
「ハハハハッ」と顔を見て笑い合う。
慌ててメイクさんがメイク直しに来てくださった。
「それでは、ドアオープン致します」
「「はい」」
そして、ドアがオープンされると、大人数の人が来てくださっていて、とても驚いた。
「え!」
披露宴はしないので、親戚も呼ばなくて良いかと言っていたのに、それなら挙式だけでもと両家の叔父(伯父)さん叔母(伯母)さんたちが集まってくださった。
更には、友達もパーティーからの参加だと思っていた人も、ほとんどの人が挙式から出席してくださって、会社の上司や同僚も呼ばなくて良いかと言っていたのに、結局、匠が独身の上司に言われて声をかけていたようだ。
広いチャペルが多くの人でいっぱいになっていて本当に驚いた。とても嬉しかった。
また、泣きそうになったが、懐かしい友達や皆んなの顔が見れて、思わず「わあ!ありがとう」と手に持っいるブーケを振り笑顔になれた。
そして、美和の顔を見てホッと出来た。
「綾、おめでとう〜! 綺麗」と声をかけてくれた。
「ありがとう」とニッコリ笑った。
ゆっくり、お一人お一人のお顔を見て会釈しながら前に進めたので、こちらも笑顔になれて良かった。
──案外、私落ちついているなあ
一歩一歩、父と一緒に、匠の元へと進む。
最後は、父と匠がお辞儀をして、握手をしてハグをしている。
それを見て泣きそうになった。
──お辞儀だけで良いんだけどね〜
「ん? どうした〜?」と匠、
「ビックリした」と言うと、やっぱり泣いていた。
ハンカチで匠が涙を拭ってくれた。
「うん、俺もたくさんの人が来てくださってビックリした」と言っている。
そして、式は始まり、牧師さんがおっしゃる順番通りにする。
結婚の誓約をして、
ベールアップして、誓いのキス
──やっぱり、やるんだよね チュッ
恥ずかしくて、笑ってしまった。
指輪の交換
承認の拍手をいただいて、祝福の歌。
そして、退場。
また、皆んなの顔を見て会釈しながら歩いて行く。
今度は、匠と並んで……。
そして、退場後、親族の写真を撮っていただいて、 親族には、お礼を言ってお見送り。
せっかくだからと、皆んなで食事をして帰るとのことだったので、それぞれ両親に任せた。
両親にも、「ありがとうございました」と、それぞれに花束を渡してお礼を言った。皆んながそれをカメラにおさめてくれていた。
テラスでブーケトスをしたかったので、案内していただき、独身の皆さんに集まっていただいた。
「行きますよ〜」と、後ろ向きで投げると……
なんと、美和がキャッチした!
「やった〜!」と喜んでくれている。
「うわ〜良かったね〜」と言うと、
そこで、初めて美和の彼氏さんとお会い出来た。
高校の同級生の方で、ご自分で飲食店をされているようだ。
そろそろ結婚も近いのでは、と思っている。
そして、パーティーに参加してくださる皆さんは、パーティー会場へ。
私たちは、一旦控え室に戻って着替える。
そのまま同じホテルでのパーティーなので、パーティー用にも衣装をレンタルしたのだ。
私は、前撮りの時に着たブルーのドレスをどうしても、もう一度着たかったのでそれにした。
匠は、「少し肌の露出が多くないか?」と言っていたが、「若い今しか着れないのよ!」と言って押し切った。
なので、匠は、私に合わせてシルバーの入ったブルー系のタキシードにしてくれた。
そして、2人揃って入場!
こじんまりとしたパーティーにするつもりだったのに、結局50名ほどの方々が集まってくださり、本当に感謝だ。
私は、ココで、匠のお友達に初めてお会いした。
沖縄で奇跡の出会いをした、当時大学生だったお友達2人と、私の高校の時の友達、えりちゃんと、マホちゃんも居て、6人で再会することができた。
本当に皆んな驚いていた。
そして、まさかの幼馴染で、結婚までするとは……
美和は、同期と協力して色々準備してくれていた。
匠のお友達は、沖縄で会ったそのお2人がお手伝いをしてくださった。
『小さい頃からの写真を送って〜』と言われたと思ったら、スライド形式で紹介してくれていた。
お互い知らない時代のこともあり、見ていて楽しかった。
私達が出会った幼稚園の頃と、まさかの沖縄での出来事を再現VTR風に撮ってくれていた。
私役を美和が、匠役を彼氏さんが演じてくださっていた。
沖縄のシーンは、お友達ご本人たちも出てくださって、とても面白かった。
時間をかけて作成してくれたのだろう。良く出来ていて本当に嬉しかった。
「「ありがとうございます」」
そして、ゲーム大会!
私たちから景品を出したので、新郎新婦と参加者全員がじゃんけんをして、最後まで残った人にプレゼントを持って帰ってもらうことに。
1つ目の景品は、
東京のテーマパーク1日券ペアチケット。
(平日1つのテーマパークのみ)
2つ目は、
大阪のテーマパーク1日券ペアチケット。
(平日のみ)
「旅費と宿泊される場合は、ご自分でお願いします」
「「「あははは」」」
「ですので、これに関しては、欲しい方! のみのじゃんけん参加でお願いします」と司会者である美和から案内があった。
そして、3つ目は、ギフトカード。
「電子マネーとして利用できます。
以上、高額商品の3点を目指して、皆様頑張ってください!」
そして、「じゃんけんぽん!」
東京のテーマパークをゲットしたのは、匠の上司、井上さんだった。
「おめでとうございます」「やった〜! でも、誰と行こう」と……
とても喜ばれた。
次は、大阪のテーマパーク! 旅費宿泊代は、入っていないが、やはり行きたい! という方も多く参加者も多い。その結果、ゲットしたのは、私の高校の友達、えりちゃんだった。なので、一緒に居たマホちゃんと行くそうで良かった。
3つ目のギフトカードは、美和の彼氏さんがゲットしたので、美和がとても喜んでいた。
良かった。そして、楽しかった。
最後には、キスコールが始まった。
皆んなにスマホやカメラを向けられる。
恥ずかしくて笑っているのに、
「キス、キス、キス、キス」とコールは止まない。
なので、匠が、
「行きます!」と手を挙げて……
本当に、キスをした!
それも、撮影用に少し長めに静止していた。
「ヒュ────ッ」と、言われて、余計に照れる。
ようやく離れた。
そして、匠が皆様に向けてお礼のご挨拶
「あ〜楽しかった〜!」
と言って笑いを取る。
「皆様のおかげで本当に素敵なパーティーになりました。ありがとうございました。
もうすでに入籍し、一緒に暮らしています。
未熟者ですが、これからは、2人で苦楽を共にし、明るく楽しい家庭を作って行きます。
今日は、貴重なお時間をいただきまして、本当にありがとうございました」
と、2人でお辞儀をした。
そして、皆んなで写真撮影をし、お1人お1人お見送りして、お開きとなった。
「お疲れ様でした」
「お疲れ様〜」
私たちは、1泊特典としてホテル側からプレゼントされたので、翌日有休を取って1泊した。
「やっぱり、やって良かったね」
「うん、良かっただろう! 最高に楽しかったな」
「うん、匠ありがとう。だから、今日は幼稚園ごっこね」
「なんで、《《だから》》なの? おかしいよ」と笑っている。
「じゃあ、やっぱりパンダ?」
「綾〜もう〜〜」と、結局いちゃいちゃしながら、 なかなか眠れずに居た。
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