ここは忘れ去られた廟堂。
その廟堂の真ん中である庭に沼が一人居た。
彼の名はフサキン。元々風船のような体だったが、禁断の錬金術を使い他の沼と同じような体になった。だがその体の代償に廟堂から出られなくなってしまったのだ。
それで今、フサキンはその庭で落ち葉を箒で一箇所に集めている。数十分後、粗方一箇所に集められたら塵取に乗せ廟堂の外側の方に捨てる。ふぅ、と息を着いて手の甲で額の汗を拭く。
少し休憩でもしようかなと思い、箒を元の場所に戻し、廟堂の木製の縁側に座る。
既に準備してあったイチゴダイフクを一口。
瞬間口の中に甘味が広がり頭の中に幸せな気持ちが広がった。
風が吹き通り鉢巻が風に靡く。その風が丁度良く気持ちいい。
そしてイチゴダイフクをもう一口食べようとした瞬間、
「フサ、居るか?」
と聞き慣れた声が自身の名前を呼ぶ。
声の元に行くためイチゴダイフクを皿に置き立ち上がり木製の床を走って行った。
「はいはい、どうしたの?」
自身の名前を呼んだ声の主、マリキンに辿り着き話しかける。
するとマリキンは何も言わず急にフサキンに抱きついてきた。
「わっ、マリちゃんどうしたの?」
急に抱き着いたことに少し驚きつつも再度話しかける。するとマリキンは抱きついたまま
「最近要求不満なんだよ、少し抱かせろ。」
と言い更に抱き締めてきた。
フサキンは抱き締めるマリキンに抱き締め返して
「しょうがないなぁ、ま、いいよ」
と抱き締めるマリキンの背中を優しい手付きで撫でた。するとマリキンは気持ちいいのか自身の頬とフサキンの頬を擦り合わせる。
「俺はあの兄貴分な英雄さんがこんな風に甘えるのが好きだよ。」
と独り言をぽつり呟いた。
マリキンは聞こえてたのか「英雄も疲れる時があるんだよ」と言ってきた。
「もー可愛いんだから!」
と言いマリキンの頭を優しく撫でた。
マリキンは顔を少し赤らめさせながら
「恥ずかしいからやめろ…」
と言いつつも反抗はして来ない様なのでそのまま撫で続けた。
あぁ、ずっとこのままが良いな。
と思った自分はこの英雄に、頼れる存在である英雄に恋をしているのだろう。
コメント
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最高❤︎尊いです♥´ཫ` )