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コメント
6件
最高過ぎる!!!! 綾ちゃん!いい子過ぎるぅぅぅぅ!!!!
続きありがとうございます😭 あやかちゃん優しすぎるよ! 若井が手をもじもじしてるの想像するとちょっと可愛い。次回も楽しみに待ってます😊
あやちゃん優しすぎぃぃぃ!!! ほんとに未成年か!?!?
夜、電話を切った後も、
僕の胸の中はざわざわしたままだった。
若井は『絶対に離さない』って、
あんなに優しい声で言ってくれた。
でも…やっぱり、
すぐには信じ切れない自分がいた。
目を閉じても、若井と涼ちゃんが
並んで笑う姿ばっか頭をよぎる。
“僕がいなくても、きっと大丈夫”
そんな考えが頭の隅っこでずっと離れず、
胸がつかえる。
眠れないまま朝を迎えた。
お腹の奥が重くて、窓から射し込む細い光が
なんだか冷たく感じた。
綾華『お兄ちゃん、起きてる、?』
綾華が少しだけ心配そうな顔で、
僕の部屋を覗き込んだ。
元貴『ん、起きてるよ…』
でも、布団から顔を出した瞬間、
昨夜こらえた涙がまたじわりと込み上げてくる。
考えすぎなんだ、って自分に言い聞かせても、
昨晩の若井の言葉がうまく胸に届かなくて、
綾華『お兄ちゃん…どうしたの、?』
綾華がそばに寄ってきて、
ベッドの端にちょこんと座った。
僕は視線を泳がせたまま、ごまかすように
『ううん、大丈夫だよ』と弱く笑ったけど、
綾華はじっと僕の目を見つめて、
『本当は大丈夫じゃないよね、?』とぽつり。
妹のその優しさが、涙の堤防を一気に崩した。
元貴『っ、駄目だ、泣きたくないのに…』
嗚咽と一緒に、涙がまた流れ出した。
元貴『ごめん…
僕、考えちゃうんだ、
若井、優しいけど、また2人ですごく
仲良くなるんじゃないかとか、僕だけ
また1人になっちゃうんじゃないかって…』
声がしゃくり上げて途切れる。
綾華は静かに僕の手を取った。
綾華『お兄ちゃん、学校一緒に行こ、
私がいるから』
ほんの少し、胸が温かくなった気がした。
カバンを肩にかけた綾華と並んで、
僕はゆっくり家を出た。
泣きはらした目はまだ熱くて、
何度も目をこする。
それを見ても、綾華は何も言わず、
ただ僕のすぐ横を歩いてくれる。
朝の冷たい風が、
少しずつ僕たちの頬を覚ましていく。
綾華『…お兄ちゃん、
もしまた悲しいことあったら全部話してね、
私、絶対味方だから』
綾華のその一言が、
どこか遠くで救いの光みたいに感じられた。
そんなふうにゆっくり歩いていくうち、
校門前に差しかかる。
そこには、リュックを背負った若井が、
落ち着きなく、手をもぞもぞさせながら
僕を待ってくれていた。
僕の涙で腫れた目を見て、
若井が少しだけ驚いた表情を見せた。
滉斗『元貴――』
でも、その横で綾華が、
きゅっと僕の手を握ったまま、
まっすぐ若井を見上げた。
綾華『若井先輩、お兄ちゃん、
すごく寂しがってた、
全部本当の気持ち…
昨日も、今日も泣いてたんだよ、』
綾華の声は小さいけれど、しっかりしていた。
綾華『だから、若井先輩、
お兄ちゃんのこと、
これからも本当に大事にしてあげてほしいの、
…絶対寂しくさせないであげて、』
綾華の声が消えた後、朝の空気に
ほんの少しだけ温かさが流れた気がした。
僕は、綾華の手の温もりと、
若井の驚いたような、
でも優しく揺れる瞳を見つめながら――
深く息を吸った。
こんなに守ってもらって、支えてもらって――
その優しさに救われながら、なんとか今日も、
一歩ずつでも歩き出そうと思った。