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夕方
片腕がジンジンして熱い。体も熱い熱があるのだろうか。ここはどこだ。そうだ戦場だ。なんでこんなことに……思い出してきた、味方兵に肩を貸して歩いていたら、敵に味方兵ごと肩から手にかけて切られたのだ。起きないと……起きて一緒に戦わないと。
『ん……』
坂本は目を覚ます。立とうとすると身体中が痺れ立てない。ヘタっと座り込んでしまった。 一寸すると部屋の戸から桂が出てくる。桂は坂本が起きてるのに気づき吃驚する。
『坂本起きてたのか。腕は大丈夫か?』
桂が優しい声で聞いてくる。
坂本は、答えようとし声を出そうとする。
『まだ、腕と身体が熱くてだるいぜよ』
坂本は掠れた声を出す。
桂は掠れているのに気づいたのか、一緒に持ってきていた水を坂本に渡す。坂本はその水を飲もうとするが利き手が使えなく、スルッと手から滑り落ち布団に水が染み込む。
『すまんぜよ』
坂本は謝る。桂は大丈夫だ、と言い1回部屋を出る。
また少しすると桂と高杉が来た。 桂は水を坂本に飲ませる。その間に高杉は水が染み込んだ所を布巾で叩いて乾かす。[申し訳ない。何も出来なくなった自分が惨めだ。]
水を飲み終わり桂が額を触る。
『熱いな。風邪だな。』
桂は、水に濡らして少し絞った新しい布巾を坂本の額に乗せる。[冷たくて気持ちがいい。]桂と高杉が部屋を出ていく。 坂本は腕に目をやると、誰かが糸で傷口縫ってくれたのだろう、傷口が開いてなく少ししか包帯に血が滲んでいない。 坂本はまた立とうとする。立とうとすると傷口が開いたのだろう血が包帯全体を染め上げ布団にまで垂れてくる。
坂本は寝転がりもう片方の手で血が出るのを抑えようとする。[痛いすごく痛い。]坂本は戸の方に手を伸ばし桂たちを呼ぼうとする。だが戸まで届かなくその手は虚しく下にぺたりと落ちる。急に戸が開いたと思えばそこには坂田がいた。坂田は坂本の腕を見ると焦りだし何処か行ってしまった。次に坂田が来た時は桂が一緒だった。
『坂本なんで傷口が開いてんだ。』
桂は坂本の腕に巻いてあった包帯を取り新しい包帯と交換する。包帯を付ける時思い切り腕を縛る。何重も包帯をまく。坂本は、巻き終わった包帯を触る。坂田は壁に寄りかかり此方を見ている。
夜
高杉が戸を開け、ご飯を持ってくる。ご飯と言ってもお粥だ。坂本は起き上がる。だいぶ良くなった。だがまだ腕は全然機能せず高杉に食べさせてもらう。[何時も五月蝿いのに今日ばかりは静かだ。]高杉はそんな事を思いながらご飯を食べさせる。
『もう要らないぜよ』
坂本はお粥を食べるのを中断する。まだ半分も食べていない。高杉はそうかと言い残し部屋を出ていく。
少しし、坂田が湯とタオルを持って部屋に入ってくる。
風呂が入れないので身体をタオルで拭くのだろう。
坂田が坂本の身体を拭いている。
『おい辰馬』
坂田の呼び掛けに坂本は吃驚する。
『なんじゃあ?金時。』
坂本は坂田の呼びかけに返事をする。
『お前申し訳ないと思ってんだろ。』
坂田の言葉に坂本は図星なのだろう。ビクッとする。
『動こうとして傷口が開いたり、無理に動こうとする方が迷惑だ、お前は今ぐらい皆に甘えろ。てか、お前体調悪い時でも名前間違えてんじゃねぇよ。』
坂田は恥ずかしそうに言う。坂本は坂田の方を優しく微笑む。
『有難うぜよ銀時』
坂本は坂田の方を見て言うとまた坂田は顔を赤くする。
コメント
2件
銀辰も尊いよなぁ、可愛い…文章が凄すぎて小説できちゃいますよ(?)