テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
Misia
100
371
#名探偵コナン
りい💚🖤
181
## 第52話:『引き裂かれた記憶』
リメイン・ヴィレッジの片隅にある、年季の入った古びた集会所。
天井の隙間から細い日差しが差し込み、荒野の埃が光の粒となって静かに舞っている。その中央に置かれた円卓を囲むように、ゼロ、アルヴィス、そして村の老長老が座っていた。
外からは、村に戻ってきた二人を歓迎する若者たちのざわめきと、ゼストの格納庫から響くシャドウエッジの修復音が遠くかすかに聞こえてくる。
「……長老。もったいぶらずに話してくれよ。俺たちの故郷であるこのリメイン・ヴィレッジと、俺が乗っていたあのウイングエックス……それに、東の遺跡の本当の関係をさ」
ゼロはテーブルに肘をつき、真っ直ぐに長老を見つめた。その隣で、アルヴィスも黙って長老の言葉を待っている。
「焦るな、ゼロ。お前たちがかつて、この村でただのジャンク漁りをしていた子供だった頃……我々大人は、お前たちに多くの嘘をつき、真実を隠し続けてきた。それは、お前たちを荒野の残酷な運命から守るためでもあったのじゃがな……」
長老は錆びついたキセルの煙を静かに吐き出し、深く、刻まれた皺の奥にある目を細めた。
「まず、お前たちが『東の遺跡』と呼んでいた、あの旧大戦時の巨大な建造物。……あそこはただのガラクタの山ではない。旧地球連邦軍の『極秘システム開発施設:コード・エリア・ゼロ』……それがあの遺跡の真の姿じゃ」
「極秘開発施設……? あそこが?」
アルヴィスが眉をひそめ、静かに問いかける。
「そうじゃ。旧大戦の末期、連邦軍の上層部――今、ルカス軍の裏で世界調律計画を企てている黒幕たちの祖先は、あの施設である『禁忌のシステム』を完成させた。……それこそが、お前が乗るウイングエックスの心臓部、『ゼロ・システム』じゃよ」
長老の口から出た言葉に、ゼロは息を呑んだ。
「ウイングエックスは、あの東の遺跡で産み落とされた。しかし、その圧倒的な未来予測能力と、パイロットの脳を破壊し狂気へと誘う危険性から、当時の開発者たちの一部が『これは人類が手にしていい兵器ではない』と反逆を起こしたのじゃ。彼らはウイングエックスのサテライトシステムを封印し、機体をあの施設から強奪した」
「強奪したって……じゃあ、なんでそれがこの村の近くにあったんだよ?」
ゼロが身を乗り出す。
「このリメイン・ヴィレッジはな、その反逆を起こした技術者たちの生き残りが、追手から逃れ、素性を隠して作り上げた『監視者の村』なのだよ」
「……!!」
「我々の先祖は、強奪したウイングエックスを、連邦の追手の目が届かない村のすぐ近くの『旧地下退避シェルター(旧施設)』へと極秘裏に封印した。あの機体が、二度と黒幕たちの手に渡り、世界を『調律』するための道具にされないよう、命がけで隠し通すこと……それこそが、このリメイン・ヴィレッジに課せられた、血塗られた裏の使命だったのじゃ」
静まり返る集会所の中で、長老の声だけが重く響く。
ゼロが偶然見つけたと思っていたあのウイングエックスは、偶然などではなかった。彼らが生まれ育ったこの村自体が、あのガンダムを封印し、監視するために作られた偽りの集落だったのだ。
「だが、運命とは皮肉なものじゃ。数年前、ルカス軍の極秘部隊がこの付近の調査を始めた。彼らは、失われたゼロ・システムの機体がこの近辺にあることを察知していたのじゃろう。……そしてあの日、東の遺跡へジャンクを漁りに行ったアルヴィス、お前がルカス軍に捕らえられた」
アルヴィスは静かに己の拳を見つめた。その脳裏に、あの日、暗い遺跡の中で兵士たちに取り囲まれ、冷たい銃口を突きつけられた時の光景が蘇る。
「……私はあの日、遺跡の奥でルカスの直属部隊に捕まった。彼らは私に、遺跡の防衛ロックを解除するためのコードを探させ、私を実験台として新型機……今の『アルカディア』のテストパイロットに仕立て上げた。だが、ルカスは私をただ殺すのではなく、泳がせた。……いや、ルカス自身もまた、連邦上層部の『黒幕』たちを裏切る機会を窺っていたんだ」
「ルカスが、黒幕を裏切る……?」
ゼロが驚きに目を見開く。
「ああ。ルカスは、世界調律計画の狂信者じゃない。彼は連邦上層部が計画している『全人類の完全な精神管理』という真の破滅を、自分の代で、自分の手で『不完全な管理(独裁)』にすり替えることで、人類の滅亡を防ごうとしている。そのために、彼はあえて悪魔になりすまし、自分の手元にガンダムの技術を集めようとしていた。……だから私をアルカディアに乗せ、ウイングエックスを、そしてゼロ、お前を探させていたんだ」
アルヴィスは仮面を握りしめ、痛みを堪えるように言った。
「ルカスは私に言ったよ。『世界を救うためには、誰かが悪にならねばならん。お前が真の黒幕に復讐したいのなら、私の下で力を蓄えろ』と。……私は、村を守るため、そして本当の黒幕たちを討つために、ルカスの狂言に付き合う道を選んだ。そして、お前たちがゼストと共に現れた。……だから私は、お前たちを戦いから遠ざけるために、襲撃するしかなかったんだ」
すべての真実が繋がった。
ウイングエックスがここに隠されていた理由。アルヴィスが消え、エメラルドグリーンのアルカディアとなって立ちはだかった理由。そして、ルカスという男が背負っている歪んだ孤独。
ゼロは、ゆっくりと立ち上がった。
かつての生意気で、自分のことしか考えていなかったヴァルチャーの少年は、もうそこにはいなかった。
「……そうかよ。全部、繋がったぜ」
ゼロは集会所の窓から、外の格納庫に並ぶ『ウイングエックス・ディバイダー』と『アルカディア』を見やった。
「村のみんなが、あの呪われた機体を隠すために生きてきたってなら……俺は、あのウイングエックスを、本当に世界を救うための『翼』に変えてみせる。サテライトの光がなくても、ガドルフのじいさんや、リンの姉ちゃん、セレスやジュード……みんなが作ってくれたこの『ディバイダー』があれば、俺はもうシステムに呑まれたりしねえ」
ゼロはアルヴィスに向き直り、その肩を強く掴んだ。
「アルヴィス。お前がルカスの下で、一人で復讐を企ててたのは分かった。でもな、もう一人で背負うのは終わりだ。ルカスの第1拠点『ヘリオス』を叩く。それが終わったらお前はこの船を降りるって言ったが、だったらその瞬間までは、俺たちの本当の『相棒』として、そのアルカディアの力を貸してくれよ」
アルヴィスはゼロの真っ直ぐな瞳を見つめ返し、やがて、観念したように微かに口元を緩めた。
「……フン。相変わらず、強引な奴だな、ゼロ。……いいだろう。約束通り、ヘリオスを破壊するまでは、お前たちと共に行こう。我がアルカディアの力、ルカス軍の、そして世界の裏に潜む黒幕どもの計画を打ち砕くために、すべてを注ぎ込んでやる」
バチバチ、と格納庫の方向からジュードのシャドウエッジの完全復活を告げる、力強い溶接の火花が荒野の夜空へと舞い上がった。
ゼロの過去の精算は終わり、彼らは今、本当の未来を奪い取るための「最強の布陣」を手に入れたのだった。
**次回予告**
リメイン・ヴィレッジに別れを告げ、ゼストはルカス軍の第1拠点、戦略サテライト中継基地『ヘリオス』へと針路を取る。
アルカディアを加えた最強の共同戦線が、ついにヘリオスの外周防衛網へと強襲を仕掛ける!
ノアの命がけのハッキングが、鉄壁の防壁に風穴を開け、復活したジュードのシャドウエッジが闇を駆ける!
「行くぜ、アルヴィス! 俺たちの新しい連携、見せてやろうじゃねえか!」
次回、『強襲、ヘリオス包囲網』
**「どんなに強固な壁だろうと、俺たちの新しい翼で、真っ二つにこじ開けてやる!!」**
コメント
1件
おおっ…!! やっとゼロたちの過去と村の秘密が繋がったね…!ウイングエックスがただの遺物じゃなくて、村そのものが監視のために作られたって真実、すごく重かった。アルヴィスの孤独とかルカスの歪んだ正義も胸にくるものがあったよ。でも、それ全部受け止めて「一緒に行く」って言えるゼロが本当にかっこよかった🥀✨ 次回の3人体制、めっちゃ楽しみにしてる!