テラーノベル
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オフィス街の地下にある、お目当てのイタリアンレストランは、お昼休憩の会社員たちですでに賑わっていた。
案内されたのは、フロアの奥にある四人掛けのテーブル席。
「わーい、奥の席にしよ! じゅうちゃん、一緒に座ろうや~!」
だいちゃんが無邪気に僕の腕を引っ張り、奥のソファー席へ座ろうとした、まさにその時だった。
「あ、だいちゃんごめん! 俺、奥の席座りたかったんさ。だいちゃんと吉田さん、手前の椅子席でもええ?」
しゅんが長い脚で滑り込むようにして、だいちゃんの手から僕を引き剥がし、当然のような顔をして、ソファー席の僕のすぐ隣へと大きな身体を滑り込ませてきたのだ。
「え〜、舜太ずるい! まぁええけどさ。じゃあじんちゃん、僕たちこっちに座ろっか~!」
「……。」
吉田さんはすべてを察したようなジト目をしゅんに向けながら、だいちゃんと並んで手前の席へと腰掛けた。
ソファー席の下で、しゅんが自分の膝を僕の膝へとわざと少しだけ押し当ててくるから、僕は思わずビクッと反応してしまう。
そんな僕の様子に、しゅんは正面の先輩たちから見えない角度でこっちを覗き込み、ニヤッと悪戯っぽく笑ってみせたかと思うと、何食わぬ顔でメニューへと視線を戻した。
自分ばかりドキドキして馬鹿みたいと思いながらも、触れている膝に意識が集中してしまうのだった。
メニューを開きながら、だいちゃんが「僕、トマトパスタの大盛り!」と言いながら、元気に手を挙げて店員さんを呼ぶ。
吉田さんも「じゃあ俺はカルボナーラ」と手際よく注文を済ませていく。
「じゅうは何にする? 俺、やっぱりガッツリいきたいし、お肉のボロネーゼにしよかな」
しゅんがメニューを僕の方へと少し傾けながら、優しく覗き込んできた。
「えっと、じゃあ、俺は明太子のクリームパスタにしようかな……」
「おっけ、注文しとくわな」
しゅんはそう言って、店員さんに全員分の注文を伝えてくれた。
そしてテーブルの上に乗せられた、腕まくりをしている彼の
男らしい腕が目に入る。
なんでかわからないけど目が離せなかった。
不意にこの手が僕に触れる熱を思い出して、僕は自分の顔がまたじんわりと熱くなっていくのを感じていた。
「……ほら、やっぱり怪しい」
不意に、正面から吉田さんの冷徹な声が響いた。
ハッとして顔を上げると、吉田さんがおしぼりを片手に、鋭い目を僕に向けていた。
「山中。……お前、隠してるつもりか知んねぇけどバレバレ。さっきから曽野がちょっと動くたびにいちいち耳まで真っ赤にして動揺してんだよ。……で?曽野、お前、うちの山中に何したわけ?」
吉田さんからの容赦のない、だけど核心を完璧に突いた追及。
僕は完全に言葉を詰まらせ、テーブルの下で自分の膝の上で掌をぎゅっと握りしめた。
するとしゅんは、正面の先輩たちからは見えない死角で、僕の右手を上から包み込むように、ぎゅっと力強く握りしめてくる。
もちぷよ
987
270
きゅー
2,024
手から伝わってくるその一途なぬくもりと力強さに、焦っていた僕の心は不思議とすっと落ち着きを取り戻していった。
「え〜? 吉田さん、人聞き悪いなぁ。俺、本当に何もしてないですよ。それにじゅうがさっきから顔真っ赤にしてるんは、ふたりが突然俺らの間に何かあったみたいなこと、しつこく言ってきたせいじゃないですか~。……なぁ? じゅう、急に変なこと言われて、びっくりして焦ってまうのは当たり前やんな?」
しゅんはそう言って、僕を安心させるようにふにゃりと目を細めて笑った。
僕はしゅんの言葉に話を合わせるように、真っ赤になった顔のまま、ただコクコクと小さく頷くことしかできなかった。
「おいおい、急に俺たちのせいにすんなよ。……ほんと、そういうところだけは頭が回るよな、お前は」
しゅんの鮮やかなカウンターを喰らったはずなのに、吉田さんはおしぼりをテーブルに置くと、ニヤニヤとした食えない笑みをそのジト目に浮かべた。
助けを求めるようにだいちゃんの方を見るが、「えー! 舜太ひどいわぁ! 僕らはただ、じゅうちゃんが可愛くてお喋りしにきただけやのにー!」とメニューをペラペラと捲りながら、いじけるように口をとがらせていた。
どうやら逃がしてはくれないみたい……。
to be continued…
コメント
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コメント失礼いたします。 💛💙さんの再登場、とても嬉しいです!💛さんは格好良いし、💙さんは可愛くて大好きです。🤍さんを守ろうとする❤️さん、格好良くてドキドキしながら読ませていただいております! いつも素敵な小説を更新いただきありがとう御座います!