テラーノベル
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「おはよう」
「姉ちゃんおはよう。起きるの遅い。ねぇおかん」
「あら、おはよう。やっと起きたんか。恋乃葉、遅くまで起きてたらあかん。今日初めて、学校に行くんやよ。ご飯食べてはよ行き。おとんもう行ったよ」
お父さん仕事行ったんや〜。相変わらず早いな〜
「えっ夜ふかし、しっとたのバレとった?」
「ええな〜姉ちゃん。夜ふかししとったんやろ」
「うるさい。佳代は、だまっとと」
私、山田 恋乃葉は、人気アイドルグループ、 スマイルスカイ のファンで昨日の夜に生配信をしっとったんや。やから、夜ふかししっとったたんやけど……ばれっとたみたいや。でもみんなよかったわ〜。私達は、東京からつい最近引っ越してきた。今日、初めて大阪の高校に行く日。なんやけど、方言をあんまり知らないから、ゲームをして覚えようとしている。ルールは、簡単。方言じゃなかったり、間違えてたりしたら、負けってゲーム。
「お姉ちゃん。今の変じゃなかった?」
「えっ。そう?」
と楽しく会話をしていると、テレビから、ピピピッという音とともに速報が流れた。
「速報です。昨日の午後9時頃、大阪府大阪市住吉区にゾンビが出現しました。警察署からの発表によると一匹だけだそうです。ゾンビは、次々と人を噛んでいきました。けが人は、5名。意識不明の重体が一名。その後、けが人は、病院で、手当をしてもらっています。今から言う県は、外出を控えてください。大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県は、外に出ないでください」
えっ……ゾンビってあのホラー映画によく出てくるやつ?うわぁ〜。ニュースに映っているゾンビは、とっても怖い。
「ゾンビだって。本当にいるんだね」
外に行けないなら学校も行けないのかな?
「外に出たらだめだって……。お母さん学校からメールとか来てない?ほら休みになりますとか」
「まだ来てない。あっ来た。外に出たらいけないとのことなので、解除されるまで学校は、お休みいたします。だって」
え〜。初めての学校、行きたかった〜。
お父さんは、もう会社に行ったんだ。無事だといいな。
「もしゾンビがいたとしても昼は、出ないじゃん。外に出てもいいんじゃない?」
確かに佳代の言う通りだ。ホラー映画のゾンビやマイクラのゲームのゾンビも朝になるといなくなる。
「一応やめときな。ね?」
「わかってる」
多分、佳代も学校に行きたかったんだろうな。
「そういえば、ゲーム終わってるじゃん。誰が負け?」
と少し暗い空気の中、明るい笑い声で佳代がゲームの話を振って来た。
「恋乃葉じゃない?」
お母さんと佳代が睨んで来た。
「バレた」
私がぼけたら、佳代もお母さんも笑い出した。でもその笑顔は、ピピピッという速報の音で、笑顔から恐怖に変わった。
「速報です。先程、お届けした、ゾンビに噛まれた人がゾンビ化しました。そばにいた、◯✕病院の患者や、医者、看護師の方々が襲われましたが、ゾンビが、日に浴びると体が溶けて行くとのことです。みなさんは、出歩いても良いですが、夜は、出歩かないようにしてください。」
本当にホラー映画みたいじゃん。なんで?本当に?私は、最初、このことを胡散臭いなと思っていた。でも、映像を見ていると本当のようだ。
「お昼出ていいなら学校行ってもいいよね?」
と私が聞くと、佳代が、
「お姉ちゃん、男子が苦手なのに行きたいの?」
そう、佳代の言う通りだ。保育園に通っていた頃、男子からいじめを受けていた。そのことで、男性が、嫌いになった。だからこそ高校生デビューで克服したいのだ。
「いいじゃん。別に」
「まぁとりあえず今日は、学校休もう。いいね?」
「「わかった」」
はぁ、と重い溜息が、口から出できた。
「ゾンビ……ねぇ佳代これって夢?」
私は、この状況が怖くて佳代に質問してみた
「夢じゃないよ。夢だったら、私は、怖くないよ。」
そっか、そうだよね。ちゃんと現実を受け入れなきゃね。でもなにも信じらんない。
私は、もやもやしながら一日を過ごした。夜になった。朝にゾンビは、死んだんだ。きっともう出てこない。大丈夫だよ。でも私は、怖くなり玄関の鍵を締めた。
「そういえば、お父さん仕事から帰ってきてないよね?遅くない?」
佳代が言った。確かに遅かった。いつもは、帰ってきているぐらいの時間なのに今日は、遅い。その時、ドンドンドンドンドンと強くドアを叩く音がした。
「開けろ」
あっお父さんの声!?急いでドアを開ける。
「どうしたの?」
すんごい汗。それに顔が青白い。後ろでお母さんたちも心配している。
「ゾンビだ。ゾンビが出たんだ」
「は?何いってんのお父さん。ゾンビは、朝に全滅したんよ」
「ゾンビが襲いかかって来たんだよ。ほら!」
とお父さんが腕を見せてきた。そこには、犬に噛まれたような跡や、鋭い爪で引っかかれたような傷も見えた。
えっと……この傷ってもしかして……。
後ろを振り返ると、お母さんたちも青白い顔をして、まさか!という顔をしていた。
「ゾンビに噛まれたんだ! 分かるか!? 父さんは、もうじきゾンビになっちゃうんだ……!」
えっ……う、嘘でしょ……?
突然のことに、私は言葉を失った。
「だから、別れに来たんだ……」
「何言ってんの? まだ早いって……。お、お父さん……? 顔色、なんか……変だよ?」
父さんの顔色は、帰ってきたときは青白く、恐怖に染まっていた。だが今は、緑がかった不気味な色へと変わり、まるでゾンビ化が進んでいるかのようだった。
「お父さん?」
私が声を掛けると、お父さんは低く「うぅぅぅぅ……」とうなっていた。
「お父さん……」
何度も何度も声をかけても、もう大好きなお父さんの声は聞こえなかった。
コメント
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第1話、読み終えました。 日常のほっこりした空気から、一気にゾンビパニックに引き込まれる導入、すごく好みです。とくに、お父さんが「別れに来たんだ」と言うシーン、胸が締め付けられました……。あの、引き返せない感、怖いけど目が離せません。 佳代ちゃんと恋乃葉ちゃんの姉妹の掛け合いが可愛くて、だからこそ終盤のシリアスが際立っていました。続きが気になります。