錆の都送り

真嶋が屋上で鷹津を見送り、勝利の余韻に浸っている間、鷹津は不運な運命を避けるために、まさかの行動を起こしていた。彼が落ちる瞬間、意識が混乱し、運命に抗うための最後の手段として、彼は近くのラブホテルの入り口に滑り込むことを選んだ。

「これで助かるかもしれない…」鷹津は心の中で呟き、急いで建物の中に入る。彼は周囲を警戒しながら、薄暗いロビーを通り抜け、奥の部屋に足を運んだ。ラブホテルの独特な雰囲気は、彼にとって一時の隠れ場所となった。

「まさか、こんな場所に逃げ込むことになるとは…」彼は自嘲気味に笑いながら、部屋の一つに身を隠す。

一方、屋上で真嶋と鋼谷が会話を続けている頃、身を隠したことに安堵していた。少し休んで、次の手を考えようと彼は思った。

「このまま終わるわけにはいかない…」彼は胸の内で誓う。「あの真嶋と鋼谷、必ず仕返ししてやる。」

そんな思いを巡らせながら、鷹津は部屋に隠れ、誰にも見つからないことを願っていた。しかし、運命は彼を見逃さなかった。

数分後、ラブホテルの客が二人、部屋を出てきた。その二人は楽しげに笑いながら、出口へと向かう。鷹津は、彼らの声や笑い声が聞こえないように、隠れる。心臓がドキドキしているのが自分でも分かる。

「このまま出られずに、時間が経つのか…？」彼は不安に駆られながらも、動くことができなかった。

その時、外から声が聞こえてきた。「おいさっさと出てこいよ！何か企んでいるのか？」一人の男が冗談交じりに叫んでいる。

鷹津は思わず身をすくめた。まさか、外にいる奴らが自分を探しているのではないかと恐れていた。逃げ道がなくなるのを避けるため、彼は必死で動こうとする。

「お願いだから、バレないでくれ…」彼は心の中で祈った。

しばらくして、男たちはそのまま去って行った。鷹津は思わず肩の力を抜く。「なんとか、助かったか…」

彼は、滞在が長引くことを懸念しつつも、どうにかして外に出る方法を探す決意を固めた。しかし、ラブホテル内にいる限り、誰にも見つかることはないと思い込んでいた。

だが、彼の考えとは裏腹に、ホテルのスタッフが部屋の掃除にやってきた。突然、ドアノブが回り、彼は慌てて息を飲み込んだ。心臓が早鐘のように打つ。

「やばい、見つかる！」彼は直感的に反応し、隠れたままでいようと決めた。運命のいたずらが、彼をどこに導くのか。鷹津は、その瞬間、運命を背負って再び動き出すことを決意した。