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大晦日、夫の実家に泊まるのは私たち3人だけ。
実家近くに住む夫の弟と妹は、元日の10時ごろにそれぞれの家族と一緒にやって来るのが恒例になっている。
私たちもこの実家までは1時間ちょっとで来られるのだけれど、千愛の生まれる前から
「長男の嫁は客ではない」
とお義母さんに言われて、この帰省スタイルが定着した。
そう思い出しながら、全員が年越しそばを食べた器を台所で洗う。
「ママ、手伝おうか?」
「ありがとう、ちょうど終わった。テレビ、よかったの?」
「毎年同じで笑えないから、立った」
「ああ、それはあるかも」
「千愛はまだ粘ってる」
「面白いかどうかじゃなくて、大晦日だけ“寝なさい!”って、言われないから」
「そう、自分一人で我慢比べみたいになってる」
「お義母さんたちのお茶、淹れるけどパパも飲む?」
「淹れなくていいよ。それよりみんな風呂終わったから、ママも入ってきたらいい」
夫がそう言った時
「風子さん、お茶淹れてちょうだい」
と、お義母さんの大きめの声がした。
「は……」
「母さん、お茶は自分で淹れて。いつまでも風子が風呂に入れない。ママ、風呂行って」
はい、と返事しようとした私の声に被せて、夫が最後までお義母さんに聞こえるように言う。
するとタタタッ……千愛が台所に来て
「ママ、早くお風呂入って。ここの部屋いつもと違うから、一緒に二階に上がって寝よ」
と小さく言った。
二階の和室で、ベッドでなくお布団で寝るのだけれど、一人で上に行けないのかもしれない……と私と夫は気づいたので
「パパと先に行って寝ていいよ、千愛。眠いわよね」
「千愛、行くぞ。川の字っていうのをきれいに作って寝よう」
私はお風呂へ急ぎ、夫と千愛は二階へ行こうとする。
「お茶くらい淹れてから、お風呂でいいでしょ?」
お義母さんが腰を上げてやって来ると
「お茶くらい母さんやってくれる?風子が夕食の片付けを全部して、そのあと年越しそばの準備も片付けも全部やったんだ。もう今日の家事は終了。おやすみ」
夫はお義母さんにそう言い、私を台所から追い出すように背中を押す。
反対の手では千愛の手を引き
「じゃあ、千愛、二階でママを待とうか」
「うん」
私の背中から離れた手で、パタン……扉を閉めてしまった。
コメント
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パパ〜っ(இ﹏இ`。)ウゥゥ…👏 感動⤴︎感激⤴︎嬉しいね〜⤴︎風子さん⤴︎ お義母さんも変わってくださいっ!