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「あと、三分で終わる」
セブンはディスプレイの放つ冷徹な青白い光を見つめたまま、低く掠れた声で呟いた。
タイピングの音だけが、深夜の防音室に規則正しく響き渡る。
c00lguiの最終プロトコル――世界中の主要サーバーを一斉に機能不全へと追い込む、まさに歴史的な大犯罪の最終処理の最中だった。
寸分のミスも許されない、極限の集中状態。
だが、その完璧なロジックの世界を侵食するように、背後から熱い気配が忍び寄る。
「……ねえ、セブン。本当にあと三分も僕を待たせる気?」
背中に ぴったりと張り付いてきたのはNoliだった。
衣服越しでも分かる、彼の細い身体の熱。Noliはセブンの首筋に吐息を吹きかけながら、細い指先をセブンの黒いシャツの下へと滑り込ませた。
そのまま、セブンの張り詰めた背筋を、指先でゆっくりとなぞり始める。
ただ撫でているのではない。それは、Noliが好んで使うエクスプロイトコードの文字列を、セブンの肌に直接タイピングするような、 悪意と狂気に満ちた愛撫だった。
「ッ……」
背筋を駆け上がるゾクリとした快感に、セブンの指先がほんの一瞬硬直する。
キーボードを叩く規則的な音が乱れそうになるのを、セブンは奥歯を噛み締めて必死に堪えた。
ディスプレイのログは、今まさに最終段階の書き換えを実行している。ここで手を止めれば、すべてが水の泡になる。
それを分かっているからこそ、Noliの行為は どこまでも嗜虐的で、愉悦に満ちていた。指先は腰の窪みへと滑り落ち、爪を立てて微かな痛みを刻み込む。
「ほら、ここが甘いよ。僕の指先に惑わされて、コードが歪んじゃうよ?」
「黙れ……Noli……っ」
セブンは低く呻いた。額から汗がひとすじ流れ落ちる。
画面の向こうの仮想世界を破壊する全能感と、背中から直接脳髄を焼いてくるNoliの指先の熱。
二つの 圧倒的な快楽の波がセブンの理性を激しく揺さぶり、視界がチカチカと明滅した。
だが、セブンは残された冷徹な牙を剥き、最後のエンターキーを 強く叩きつけた。
画面のインジケーターが、完全な『SUCCESS』を告げる。
世界が暗転し、彼らの完全な勝利が確定した――その刹那。
「――おしまいだ」
セブンは弾かれたように振り返ると、背後にいたNoliの細い両手首を 容赦なく掴み取った。
そのままの勢いで、散らばったコードが転がる床の上へとNoliを 激しく組み敷く。
ドン、と鈍い音が響き、Noliの髪が床に広がった。
「あ……っ」
手首を床に縫い付けられ、身動きを封じられたNoliは、痛みに微かに眉を潜めた。
しかし、その瞳には恐怖など微塵もなかった。
それどころか、自分を見下ろすセブンの 獣のような、獰猛に飢えた瞳を見て、狂おしいほどの歓喜に濡れていた。
「ずいぶんと余裕だったな、Noli。俺の集中力が切れていたら、今頃どうなっていたか分かっているのか?」
セブンの声は、怒りと、それ以上に膨れ上がった 暴力的な衝動で低く震えていた。掴んだ手首に じわじわと力を込め、逃げられないように体重をかける。
「お仕置きが必要だな、Noli」
冷酷に言い放つセブンの顔が、至近距離まで迫る。
その言葉を、その支配を、どれほど待ち望んでいたか。Noliは ゆっくりと口を開け、自らセブンの首筋に 届くよう顔を上向かせた。
「……待ってたよ、セブン……っ。君が世界を壊す瞬間も、僕を壊してくれる、この瞬間も……!」
床に組み敷かれたNoliの身体は、世界中のネットワークを焼き切ったばかりの、部屋の異様な熱気と同調するように激しく波打っていた。
セブンの無骨な掌が、床に縫い付けたNoliの両手首をさらに強く圧迫する。骨のきしむような鈍い痛みが走っているはずなのに、Noliの口元からは、自嘲と全能感が綯い交ぜになった、掠れた笑い声が漏れ続けていた。
「ハハ……素晴らしいよ、セブン。君の指先は世界を暗転させた直後だというのに、こんなにも熱く、僕だけを殺そうとしている……っ」
「口を動かす余裕があるなら、今のうちに息を整えておけ。お前のその傲慢な態度を、これから徹底的に叩き折ってやるからな」
セブンは冷徹な眼差しのまま、掴んだ手首を片手で強引にまとめ上げ、空いたもう片方の手でNoliの顎を乱暴に掴み上げた。
親指をその湿った唇にねじ込み、無理やり抉るようにして口内を 蹂躙する。
「んむ……ッ、う、ぅ……」
Noliの瞳からじわりと涙が滲み出た。
しかし、その涙さえもが彼にとっては、この至高の「お仕置き」を彩るスパイスでしかなかった。
セブンの親指が引き抜かれると、銀の糸が二人の間に引き裂かれ、Noliの唇が、さらに淫らな笑みを象り直す。
「いいよ、もっと乱暴に支配してよ……。僕の書いた大作に、君が最悪の魂を吹き込んだあの日から、僕の身体も、僕の劇場も、全部君に征服されるのを待っていたんだから……!」
その言葉が、セブンの胸の奥に燻っていた最後の理性を完全に焼き切った。
セブンはNoliの服の胸元を、布地が悲鳴をあげるほどの力で 乱暴に引き裂いた。
白い肌が、トリプルモニターの放つエラーログの禍々しい赤と青の光に 淫らに照らし出される。
セブンはその剥き出しになった鎖骨へと 容赦なく歯を立て、肉を抉るように 強く噛みついた。
「あぐっ……あ、は……っ!」
鋭い痛みに、Noliの背中が弓なりに跳ね上がる。
しかし、その直後に訪れる、脳髄を直接マヒさせるような背徳の快感が、彼の細い指先をセブンの黒い髪へと 狂ったように絡ませた。
噛みついた痕からじわりと滲み出た血の鉄錆びた味が、二人の口内を 満たしていく。
セブンはその血を 貪るように舐め取りながら、さらに深く、Noliの衣服を 剥ぎ取っていった。
床に散らばったLANケーブルや外付けハードディスクが、二人の 激しい運動に合わせてガタガタと無機質な音を立てて弾ける。
世界を混乱に陥れた大犯罪の真っ只中、その中心地であるこの閉ざされた密室で、二人の天才ハッカーは 互いの肉体を侵食し合うことに完全に没頭していた。
セブンの大きな手が、Noliの細い腰を 壊さんばかりの力で掴み、強引に引き寄せる。
衣服をすべて奪われたNoliは、冷たい床の感触と、それに相反するセブンの 圧倒的な体温の質量に、ただただ翻弄されるしかなかった。
「セブン、セブン……っ。見て、画面を見てよ……世界が僕たちのせいで、こんなに、泣き叫んで……あぁッ!」
Noliの視線の先、消灯された部屋の中で明滅するモニターには、クラッシュしたサーバーの復旧を求めて パニックに陥る無数の人間たちの悲鳴が、今も滝のように流れ落ちていた。
何万人もの絶望を 特等席で見下ろし、その絶望の光を浴びながら、セブンはNoliの最も 敏感な奥深くへと、容赦なく 自身を突き入れた。
「んあぁッ……! ぁ、は、あ、つ、い……セブン、中、が……ッ!」
悲鳴が防音室の壁に跳ね返る。
Noliの細い脚がセブンの腰に 必死に絡みつき、逃げ場のない快楽の渦の中で激しく 悶えた。
セブンは容赦なく腰を打ち付け、Noliの身体の 芯まで自分の存在を 刻み込んでいく。
「お前が求めたステージだ、Noli。最後まで 目を逸らさずに見ていろ」
セブンの低く 掠れた声が耳元で響くたび、Noliの脳内は 白く塗りつぶされていった。
ハッキングという名の最高のショー、その真のクライマックスは、世界を壊すことではなく、こうして互いのすべてを 剥ぎ取り、 狂気の果てまで 貪り合うこの瞬間にこそあった。
「ん、あ、っ! あ、っ、セブ……セブン……ッ! 壊れる、僕が、壊れちゃう……っ!」
「まだ終わらせない。お前が始めたステージだ、Noli。幕が下りるその瞬間まで、その目に焼き付けておけ」
セブンは容赦なくNoliの腰を掴み直し、さらに深く、その最奥の壁を穿つように自身を突き入れた。
ただ力任せなだけではない、Noliが最も声を上げ、身体を弓なりに強張らせる脆弱性を正確に、執拗に抉るような、冷酷な蹂躙。
「ひ、あぁっ……! ダメ、そこ……っ、もう、頭が、溶けちゃう……っ!」
突かれるたび、Noliの視界に色鮮やかなノイズが走る。
自分が世界を壊す天才ハッカーなのか、それともただセブンの質量に弄ばれるだけの肉塊なのか、その境界線すらとうに消失していた。
ただ、背後から突き立てられる衝撃の激しさに、自らのアイデンティティが粉々に粉砕され、セブンの色に再構築されていく確かな充足感だけがあった。
セブンは、Noliの首筋に容赦なく歯を立て、痕を刻みつけていく。
肉が裂ける痛みにNoliが短く悲鳴を上げると、その口内に自身の指を突っ込み、声を強引に塞ぐ。
「んむ……、あ、ん……っ!」
指を濡らす愛液と、溢れる唾液が、デスクの端から床へと滴り落ちる。
セブンのピストンはさらに速度を上げ、肉と肉が激しく衝突する、卑猥で暴力的な重低音が防音室の壁に反響し続けた。
世界中のサーバーが自分たちの仕掛けた「c00lgui」によって完全に沈黙し、未曾有のパニックに陥っているこの瞬間。
彼らにとっての本当の聖域は、この数メートル四方の暗闇であり、互いのリソースを限界まで奪い合うこの血の通った交わりだった。
Noliの身体が限界を迎えて大きく震え、縛られた両手が虚空を掻くように強張った。
その瞬間、セブンはNoliの腰を折れんばかりの力で引き寄せ、最深部を完全に貫いたまま、熱い質量を容赦なく溢れさせた。
「あ、う……ァッ……!!」
声にならない絶叫とともに、Noliの身体が大きく跳ね上がり、そのまま床へと崩れ落ちた。
静寂が戻った部屋に、二人の荒い呼吸だけが重なり合う。
「……ひどい、お仕置きだね、セブン。本当に、僕を壊す気だったんだろ?」
掠れた声で笑うNoliの髪を、セブンは大きな手で手荒に、しかしどこか愛おしむように撫でつけた。
「お前がそれを望んだんだ。……次は、もっと手加減を忘れてやる」
セブンが冷たく微笑むと、Noliは満足そうに目を細め、セブンの首に細い腕を絡め直した。
世界を暗転させた二人の夜はまだ深く、青白いモニターの光は、泥濘のように深く繋がった二人の姿を、いつまでも静かに照らし続けていた。
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ゆ(旧「ゆゆゆゆ」)
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