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お名前をお借りしているだけで本人様とは何も関係はなく、全て捏造になります。
✧ イメージ楽曲『運命さがし/ マカロニえんぴつ』
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「柔太朗にとっての愛ってなに?」
「……暇つぶしの質問にしては重くない? インタビューの練習みたい」
雑誌の撮影兼インタビューの待ち時間。雑談にしてはやや重たい質問を投げかけた勇斗のことを、柔太朗は不思議そうに見つめた。楽屋には2人だけで、他のメンバーはさっき交代で呼ばれていったばかりだ。
「じゃあ練習ってことで答えてよ、俺インタビュアーするから」
「まあ一旦やってみる? 俺、形から入るタイプだからちゃんとやってよ」
「ん゛んん………はい、じゃあ山中さん。今日はよろしくお願いします」
「M!LKの山中柔太朗です。よろしくお願いします」
ぴっ、と音が出そうなくらい背筋を伸ばした柔太朗はあっという間に外用の顔を作った。名前のとおり柔らかで人を虜にする笑顔。普段俺に向けるのとはちょっと違って、にやけそうになる。俺も負けじと背筋を伸ばして、キリッとした顔を作る。
「えー、じゃあ1つ目の質問。山中さんにとっての『愛』とは何かを教えてください」
「難しい質問だな……。そうですね、貴方は逆にどう思いますか?」
「え、は? 僕ですか? 今もしかしてインタビュアーに質問を返したんですか?」
「んふふ……はい。返してみました。会話ってキャッチボールなんで、たまに変な球も飛んでくることあると思うし」
「そんな変化球最初から投げんな!」
途中から既に笑ってしまっていた柔太朗がついにケラケラと声を上げた。そんなインタビューがあってたまるか。
「実際どうなん? 俺むずいわ。雑誌用の答えはあるけど、本音でって言われるとぱっと出てこない」
「……『相手のことをどれだけ考えられるか』かな」
「なるほど?」
「俺の持論だけど、恋は自分のためで、愛は相手のためのもの。どれだけ相手のことを思えて、どれだけ自分を削ってもいいか、みたいな。お互いの自己犠牲の上に立つのが、愛」
へえ、と柔太朗は俺の話を聞いていた。否定するでもなく、肯定するでもなく、ただ。急に持論を語り出した俺を笑うこともしなかった。
チクタクと秒針が動かす音だけが静かに響いている。一方的に熱くなってしまったのが恥ずかしくなってきたあたりで、柔太朗は再び口を開いた。
「俺は愛って、もっと自分勝手でもいいと思うなぁ。着飾らなくていい素のまんまを受け入れてくれるのが、愛」
視線はこちらに向いていなかったが、確かに勇斗に対する返答だった。返ってきた答えに目をぱちぱちと瞬かせると、柔太朗はこちらを向いてまた笑った。
「……意外だった?」
「ちょっと意外かも。これは本当に良い意味でだけど、柔太朗らしくない」
「そうかな、結構俺らしいと思うけど」
「柔太朗ってどこまでいっても優しいから、俺と同じ考え方かと思ってた。真逆だ」
柔太朗の発言を噛み砕くように、頭の中で反芻する。意外とフラットだった回答は逆に深読みの余地があって、じゃあ今俺に見せてくれてる柔太朗って素のまんまなの、と聞いてしまいそうになる。恋の段階にも進んでいないのに、勝手に柔太朗の愛のスペースに足を踏み入れようとしている自分の気持ちが怖い。
「勇ちゃんこそ与える人って感じだから、恋は自分本位なんだと思って意外だったよ。俺たちって似てるようで似てないのかもね」
「じゃあ柔太朗にとっての恋は?」
「うーん……愛はさ、いくとこまでいってる感じあるから言葉にしやすいけど、恋って難しいよね。好きだって気持ちだけでいい気がする。だってまだなんも知らないんだから」
「……ただきみが好きって気持ちだけでいいってことね」
ペットボトルの蓋を開けて口をつける。炭酸飲料が流れていくのと一緒に、柔太朗の言葉がすとんと胃の中に落ちていく。さっきの愛より分かりやすい。直接そうされたわけでもないのに、なんだか自分の気持ちが柔らかく肯定されたように感じた。きみが好き、そんな言葉だけでいいのか。
ふと、柔太朗が手元のスマホに目を落とした。そろそろ交代の時間だ。
「勇ちゃんって、好きな人いるの」
「ん゛ん!? ……けほっ、はあ!?」
「いや、噎せすぎ」
突然の質問に炭酸飲料が変な器官に入り込んで盛大に大暴れした。質問した当の本人はまだスマホから目を離さないで、けらけらと笑っている。
ちょうど落ち着いたあたりで、コンコンと楽屋のドアが叩かれた。
「お待たせしました。佐野さん、スタンバイお願いします!」
「けほ、分かりました!すぐ行きます!」
鏡で衣装と呼吸を整えながら立ち上がる。ちらっと、隣を見るといつの間にかこちらを見ていた柔太朗がにこりと口角を上げた。全て分かってますよ、とでも言いたげに。
「で、いるの?」
「いねーよ!てか、いても言えるか!!」
投げ捨てるように言って楽屋を後にする。楽屋のドアが閉まる前に、ぱちり、と最後にかち合った視線。
愛しげに細められたその瞳は、俺のどんな嘘も見破ってくれそうでまいった。──ついた嘘まで、本当じゃなくなりそうになるから、まいった。
コメント
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わおん ✧プロフご確認くださいさん、第4話読みました! 楽屋の雑談からお互いの「愛」と「恋」の定義を引き出していく構成がすごく自然で、会話のキャッチボールが心地よかったです。勇斗が「恋は自分のため、愛は相手のため」と言ったのに対して、柔太朗が「愛はもっと自分勝手でもいい」と返したところで、二人の距離感と価値観の違いがじんわり浮かび上がってきて、その対比がとても好きです。 最後の「いても言えるか!」からの視線のやり取りが堪らないですね。嘘も本当にしてしまうような柔太朗の眼差し、良いなあ…。続きが気になります!