テラーノベル
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引っ越し当日。
荷物を詰め込んだ段ボールを開ける作業もそこそこに、二人はようやくひと息ついていた。
窓を開ければ、柔らかい日差しと風。
遠くで鳥の声がして、冷蔵庫はまだ空っぽだったけど、部屋の中にはどこか“暮らし”の匂いが漂いはじめていた。
英「……不思議ですね」
仏「なにが?」
英「昨日までは“泊まりに来てる”って気持ちだったのに、今日は“帰ってきた”って感じがして」
仏「ふふっ、言ったじゃん。“もう帰ってこなくていいんだよ”って」
英「……軽く言うところが、ずるいですよね」
仏「え? じゃあ重く言ってほしかった?」
英「重くされたら、多分泣いてました」
仏「泣き虫なんだから」
英「違います、情緒が繊細なんです」
仏「かわいいって意味だよ、ばーか」
英「…………」
イギリスは視線を逸らして、そっとソファのクッションを握りしめた。
照れてる。間違いなく照れてる。
仏「……ねえ、僕ちょっと言いたいことあるんだけど」
英「はい?」
仏「この部屋、僕のじゃないからね」
英「え?」
仏「これからは、僕たちの部屋だから。勝手に冷蔵庫に紅茶ばっかり入れても、文句言わないし」
英「……入れますけど?」
仏「好きにして。代わりにバターとチーズは倍ね?」
英「……分かりました、歩み寄ります」
仏「やった! じゃあついでに、寝るときは僕の隣、固定で」
英「話の飛び方が急すぎますよ……」
仏「いいじゃん、だって初日だよ? “初めての朝”も一緒に起きたいし」
英「……それは、まあ」
仏「なに?」
英「……悪くないです」
仏「ふふ、かわいすぎんだろ……」
英「うるさいです……」
仏「へいへい。でも、今日からずっとだよ?」
英「……はい。今日からずっと、です」
コメント
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いやん🇫🇷🇬🇧尊い🤦♀️
フライギ……神…