テラーノベル
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若井さんの心の傷は、深く完治するのにかなりの時間が入りそう… 今後、大森さんがそれを治していく存在になれるといいですね!! 続き楽しみにしてます!!
「じゃあ次、俺な」
お兄ちゃんは空を見上げたまま話続けてる。お兄ちゃんのこと、昨日ちょっと聞いたけど、何が好きで何が嫌いなのかとか、全然知らないや。
「好きなもんは、肉。あと甘いのも嫌いじゃねぇ」
え、意外。甘いのとか、絶対食べない!って顔してるのに。兄弟って、似てるって絵本に書いてあったけど、本当に、同じなんだね。
「嫌いなのは……無力な自分」
それは、質問の答えとして合ってるのかな。でも、なんだか聞いちゃいけない気がする。というか、お兄ちゃんって、全然無力なんかじゃないと思うけどな。
「怖いのは……」
お兄ちゃんの声が一度途切れた。風の音だけが通り過ぎる。
お兄ちゃんに怖いことなんて何もないから、すっごく考えてるのかな。
「……元貴をまた失うことだな」
……そんなに僕がいないの嫌なの?どう返したら良いんだろう。
無意識にシートを握った手のその上から大きな手が重なった。びっくりして顔を上げると、お兄ちゃんはこっちを見ていた。
「……だから、離れんな」
命令みたいな言い方なのに、どこか頼むみたいで。ちょっとだけ、お兄ちゃんの目がうるうるしてる気がするのは僕だけかな。
「……なぁ元貴。昨日さ、兄ちゃんって呼んだだろ」
う……。昨日はなんか雰囲気に押されて言えたけど。あのあと、一度も声に出して言えてない気がする。
「あれ……もう一回、言えたりするか」
嘘でしょ?こんな改まって、隣で、手つないだまま?
なんでそんなこと言うの、困るよ……お兄ちゃん。
「……ありがとな」
その声は、昨日よりも少しだけ軽くて、少しだけあたたかかった。だからなのか、なんだか、もういなくならないよって、ちゃんと言わなきゃいけない気がして。
……もう離れないからね、お兄ちゃん。
聞こえたか分からないくらい小さくてかすれた声になっちゃったけど、僕の手を握るお兄ちゃんの手の力が、ギュって、強くなった。
「……っ」
隣で鼻をすする音がして、お兄ちゃんをみたら、静かに泣いてた。やっぱりうるうるしてる気がしたのは、あってたんだね。お兄ちゃん、もう悲しまなくて良いよ。きっと。
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