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「は? そんなの今までもこれからも絶対ありえないから」
透子のことどうでもよくなるなんてことあるはずないでしょ。
「絶対?」
「私も、同じ。樹への気持ちは変わらない」
「うん・・・」
「もちろん。オレの透子への気持ちは絶対何あってもこの先変わらないから」
例えオレが透子の前でどんな態度をとっても、それは全部透子を想っているからだから。
「私も、同じ。樹への気持ちは変わらない」
「うん・・・」
透子のその言葉を聞けるだけで十分だ。
オレにとってはその言葉だけで頑張れる。
「でも、透子にオレの気持ちがまだまだ伝わってなくて、透子不安にさせたのは反省しなきゃなって」
実際あれだけオレは透子に好きな気持ちを伝え続けて。
自分でも重いと思うくらい、透子への想いは大きくて。
だからオレが伝えて来た言葉、態度で、そんなオレの想いの大きさも伝わってるんだと思ってた。
透子が不安になる要素なんて、これっぽっちもどこにもないのに。
だけど、もしかしたら。
透子もオレが思っているよりも、もっと、オレのことを好きでいてくれてるのかもしれない。
オレが一つ一つ、透子に不安になるように、透子も一つ一つ不安になっているのかもしれない。
「いや・・それは私が勝手に不安になっちゃったたけで・・」
「なのにさ・・これからしばらく会えなくなるから、また透子不安にさせるかも・・」
「あっ・・そっか。まだまだ大変だもんね」
ホントはこんなことも言いたくないのに。
透子を不安にさせる言葉は言いたくないのに。
だけど、だからこそ伝えておかなきゃいけないことがある。
「うん。多分ここにもしばらく帰ってこれないと思う」
「そんなに・・?」
「でも・・また透子と一緒にいられるように、絶対なんとかするから」
今はあまり会えなくても、この先透子と一緒にいる為に。
「あっ、うん・・。私のことは気にしないでいいから」
「だから、これからもしまた何かあっても絶対オレだけを信じて待ってて」
これからオレに何が起きても。
これから透子に何が起きても。
きっとこれからはどんどんオレが手に負えない現状になって来るはずだから。
だけど今すぐどうにか出来る問題でもなく、そんな力もないオレは、ただ透子に、オレを信じて待っていてほしいと、ただその言葉だけしか伝えられない。
「あっ・・うん。わかった・・・」
だけど、透子のその言葉とオレに向けてくれた表情で、きっと何かを察してくれたのだと伝わる。
「透子。ギュッてさ、してくんない?」
オレを信じてくれようとしている透子に、今オレの周りで何が起きようとして、これから何が起こるのかも、まだ透子に言えなくて苦しいけど。
そんな不安もホントは今すぐ吐き出せたら、きっとこの気持ちも少しは楽になるかもしれないけど。
だけど・・・。
だから・・・。
今はただ透子のぬくもりがほしい。
「いいよ・・」
そして透子は理由も何も聞かず、オレの言葉のままオレの背中まで腕を回して、身体全体ギュッと抱き締めてくれる。
その透子の優しさが、ぬくもりが、オレの心に身体に染み渡って。
それだけでこの不安もどこかに消えていってくれそうで。
何も言えないオレの想いも、すべてわかってくれているような気がして。
だけど、そんなとこも全部受け入れてくれてるような気がして。
「大丈夫。私がいるから」
「うん・・」
そう優しく温かく包み込んでくれる透子をオレも抱き締め返す。
ありがとう透子。
何も聞かないでいてくれて。
そんなオレを受け入れてくれて。
オレの気持ちを受け止めてくれて。
透子がいてくれるなら、オレは必ず何があっても頑張れるから。
何があってもオレは透子だけを想ってるから。
「よし。パワー注入出来た」
ホントはまだ透子と離れるのは名残惜しいけど、このくらいで身体を放して、目の前の透子に微笑む。
これで大丈夫。
しっかり透子を感じられた。
「じゃあ・・・オレまだちょっとやることあるから部屋戻るわ」
「あっ、うん。ムリしないでね」
そんな風に心配してくれるだけでも嬉しい。
「ありがと」
「連絡出来る時は連絡してね」
「わかった。また連絡する」
「うん。じゃあね」
「また」
よかった。
ちゃんと会いに来て。
よかった。
ちゃんと透子の気持ちも確認出来て。
よかった。
ちゃんとオレの気持ちも伝えられて。
まだこれからどうなるかわからないけど。
この現状がどう変わっていくのかわからないけど。
だけど、やっぱり透子への気持ちが変わらないということだけは、今までもこれからも、ずっと変わらない確かなことだから。
だから、ただ今は。
お互いの気持ちを信じて。
何があっても。