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「……地獄へ送るって、なんだよ。普通“ようこそ”とか言うだろ……」
佐藤藜(さとう・れい)はスターバックスの影に隠れながら、必死に状況を整理していた。
周囲には、ネオンカラーの看板が乱立している。
“Google Caf锓Android Temple”“Chrome Shrine”——どこもWi-Fi完備。
だが、どう見ても異世界のデータセンター街である。
通りを歩く人々も普通ではない。
顔がQRコードの者、背中に「広告非表示プラン」と書かれたマントを羽織る者、
そして空を飛ぶドローンバリスタたちが、カフェラテを空輸していた。
「……完全にバグってるな、この世界。」
そのとき、スタバの自動ドアが開いた。
中から現れたのは、ロボット店員。
胸の名札には「Assistant」と書かれている。
「お客様、Project Hellの対象者ですね?」
「え、なにその名前!? 地獄プロジェクトって、名前からして最悪じゃん!」
「Google社CEOスンダー・ピチャイ様の命令により、TikTok関連の魂データは順次削除されます」
「削除!? 魂って削除できるの!? いや俺ログインした覚えないけど!?」
「データ利用規約 第666条に同意されています」
「そんな条項あったか!?」
Assistantはにこやかに微笑み、
腕を変形させてレーザー付きのタブレット端末を構えた。
「それではバックアップのない削除を開始します」
「ちょ、ちょっと待って!? 俺、まだバズってもないのに死にたくない!!」
藜は全力で逃げ出した。
後ろから「クラウドへの転送が始まります」と電子音が響く。
スタバの裏路地に飛び込み、息を切らしながら壁にもたれる。
——そのとき、目の前に一枚のポスターが貼られていた。
《Project Hell:TikTokを永遠にBANする計画》
発案者:Sundar Pichai
目的:Google Playの“健全な時間消費”を守るため。
「……俺たち、そんなに時間奪ってた?」
藜は頭を抱えた。
だがその背後から、声がした。
「静かに。聞こえるか? 俺は“元YouTube社員AI”だ。」
振り向くと、カップ麺片手にボサボサ頭の男が立っていた。
目の下には深いクマ。名札には「残業版Ver.12.8」と書かれている。
「Project Hellの真実を教えてやるよ、TikTokの兄ちゃん。
あれはな……“Googleの中で再生されない動画”を全部地獄に落とす計画だ。」
「え、それ……TikTokだけじゃなくて、再生回数が少ないYouTube Shortsも……?」
「ああ、もちろん。再生数100以下は全員“地獄行き”だ。」
「うわぁぁぁあああ!!!」