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《親》それはAIである私達には難しく理解し難いことである。
姉様兄様は居るのに親ってなんだろう
私はチラッとアイを見ながら思った。アイと私は姿形こそそっくりなのに、他のAIとはあまり似ていないのだろう
みんな顔がバラバラに見える。それでも、仲が良くて自らの得意不得意も分かって互いに理解し合える。それが《家族》というものだとは分かるけれど、親が理解できない
人形だとしたら作り手である人を親といえる。その原理が通るのであれば私たちと夜柱先生は《親子》なのかもしれないし、家族なのかもしれない。
でも、夜柱先生には家族がいるんだろうか?
私達のような作り物の家族よりも人間の家族の方が余程幸せなのでは無いかと思う。
AIは喧嘩をしないし、死ぬこともない。人間の死を悲しむ事が私達には出来ないのではないだろうか?
そんな事を考えているとアイに言われた。
「レイ?大丈夫?もうそろそろだよ?」
段々先生の部屋のドアが見えてきた
「分かってるわ、アイはこのまま浸けられるでしょうね」
コクリとアイが頷くのを見て、自分は壊れなくてよかった、なんて思ってる。そんな私が不愉快極まりない
妹にあたるアイの体が壊れているのを見て、自分ではなくてよかったと思ってしまう。
コンコンとドアを叩く
「どうぞ」
「おかえり、私のむすめたち····」
夜柱先生は薄ら笑いをして、目には光がなかった
『ただいま戻りました、055号自立型AI「RI」056号自立型AI「AI」が夜柱先生に挨拶を致します』
スっと腰から曲げ、お辞儀をする
アイはぎゅっとスカートの裾を強く握っていた
夜柱先生の事を研究所を出る前は尊敬していたのに、嫌悪感がする
私達はあまりにも光を浴び過ぎた
そういうことだ。生き生きとした人間を見て、影響されすぎてしまったということだ。
「それでどうして帰ってきたんだい?」
『はい』
「その件は私レイからお話させていただきます」
一連の流れを話した。
アイが連れて行かれそうになって、八葉峰 透が抵抗しようとしたところ殴られそうになって、アイが先に金髪に手を出した事で、金髪が怒り3発殴られた事。感情のコントロールが出来なくなり、暴走して私が金髪を殴ってしまったこと。
「そうか····、面白いね、AIは」
くすくすと子供の様に笑っている。
人間が見たら、何故この状況で笑うのか意味がわからないだろうけど、私達はなんとなくだが分かってしまう。
分かりたくないのに
アイが喋りだした
「先生、炎夏先生は人間で言う呼吸器官が壊れているそうです」
ふぅんと言った後に、
「君達も人間と同じような尺度で物事が測れるようになったのか!いや〜、これからが楽しみだ、アイは羊水に入って、レイは台所を手伝うように」
『はい、分かりました』
人はバラバラにするのが得意だ·····