コメント
1件
続きが楽しみです!
この話は北朝鮮×韓国♀のNL小説です。
ようやく主人公カップルがメイン。都道府県ヒューマンズ達も活躍します。
急展開に急展開を重ね、
混乱の渦に呑まれているパーティー会場の惨状から少し離れて。
地獄から抜け出した花嫁は、前を走る恋人に手を引かれてひたすらに走っていた。
「きっ…北!どこへ逃げるつもりなの!?」
「待機している協力者の所まで行く!!
そこまで辿り着く事が出来れば、後は──────ッ!」
不意に前方から嫌な予感を察知した北朝鮮は、急ブレーキをかけて韓国を抱き抱え、そのまま横脇へと飛び退る。
直後、絹を裂く様な音と共に弾丸が横切る。
咄嗟の判断が無ければやられていた、と前方を睨んで声を上げる。
「だっ、誰!?」
「ッ危ねぇ….手段を選ばないのは相変わらずだな、”西安”!!!!」
名前を呼ばれた化身……“西安” は、此方に銃口を突きつけて応答した。
「逃げる貴方が悪いのヨ?北朝鮮。
中国様に対して愚行を働いただけでは飽き足らズ、日本家を誑かして韓国嬢を連れ去るなど言語道断。
即刻、会場に戻ってもらうアルヨ。」
「たかが “一都市” の分際で “一国の化身” に牙を向ける馬鹿に凄まれたって怖くねぇよ。
俺は誓ったんだ。相手が誰だろうと、韓国を泣かせる奴はブッ飛ばすってな。」
北朝鮮の真っ直ぐな瞳に、西安は忌々しげな表情で再び銃のセーフティを解除した。
前に突きつけ、宣告。
「なら、此処でその命奪うまで…ネ。」
引き金を引く直前。
「させへんよ?」
どこからともなく聞こえてきた鈴の音のような可憐な声。
“それ” を認識した一秒後には、西安は横に吹っ飛ばされていた。
「っ、ぶっ…….!?!?」
「あらまぁ、油断しすぎとちゃいます?
あんまり手応えあったもんやったから、てっきり素人はんかと思いましたわぁ(笑)」
「!貴女、日本家の…!!」
韓国の驚いた声に、くるりと振り返った大太刀の女は会釈して挨拶した。
「はじめまして。”京都府” と申します。
以後おおきに〜」
京都府、聞いたことがある。
日本に数多ある観光スポットの中でもトップクラスに人気かつ、国内外問わず人の出入りが激しい国際都市。
千年を誇る歴史の深さは街全体に洒落た雰囲気を醸し出しており、
それはまさに “雅” の一文字を具現化したような美しい都であると。
そんな彼女が、何故ここに….。
「北朝鮮はん。ここまでは作戦通りちゃいますか?」
「あぁ……ここまでは、な。」
四方から感じるこの気配…恐らく北京市、成都、上海、重慶だろう。
どれも中国が心から信頼する精鋭達ばかり。こちらの戦力であり、今隠れている埼玉や静岡を合わせても勝率は──────。
韓国を抱く手に力が籠ったその時。
「はいはい邪魔すんでーーーー!!!!」
けたたましいクラクションの音と共に、日本製の大型車が飛び込んでくる。
潜んでいた北京や埼玉達は、敵味方入り乱れて退避する。
そんな中、京都府だけは呆れたように…しかし何処か嬉しそうにこう呟く。
「………来んのが遅いねん、ド阿呆」
極限緊張状態の中、空気をぶち壊すかのようにバァン!!とドアを開けて登場したのは……
「お初お目にかかります〜北朝鮮はん!!
日本さんの最強の部下!”大阪府” 申します!
以後おおきにな!!」
「大阪…僕に無理やり運転させといて何最強名乗ってるんだよ。
私が最強、”東京都” ですよ。日本さんの命令で貴方達を助けに来ました」
東京都、大阪府。
日本における都道府県のツートップが出揃った。
後ろからも防弾車やパトカーが押し寄せ、次々と都市達が出てくる。
「おい埼玉〜〜〜〜〜!!!
この神奈川県が迎えに来てやったんだけど!?感謝しろよな!!」
「静岡!!富士宮やきそば食べに行こうって言ったのにすっぽかすなんて酷いんじゃないかな!?
これが終わったら君の奢りでたらふく食べてやるからな〜〜〜〜!!!!」
神奈川と山梨の声に、埼玉と静岡は思わず涙腺が緩んで泣きそうになってしまった。
みんな、来てくれたんだ….!!
「お前らあんまりはしゃぐなっちゃ!!アメリカさん家の方々も来てるっちゃよ〜〜〜!!」
宮城県の言葉に、えっ、と思う間も無かった。
都道府県達の車の後ろから、ジープやら装甲車やらがスピードを突っ切ってやってくる。
停止すると、中からゾロゾロと化身達が出てきて….
「Hey, 都道府県諸君!
あたし達が来たからにはもう安心だぜ!!」
「世界の平和を守る為の重要任務だと聞いてね。面白いゲームが始まりそうじゃないか、我が合衆国50州も混ぜてくれるかい?」
太陽の様に眩しいウィンクを決めたのはニューヨーク、グレーのオーダーメイドスーツを着直したのはワシントンD.C.だ。
超大都市…それも敵国陣営の登場に、中国勢は忌々しげに舌打ちをした。
また後方ではロサンゼルス、サンフランシスコ、フロリダ州が銃器の準備を進めていて、加勢の時を虎視眈々と伺っている。
「嘘…でしょ……?北朝鮮、アンタ何やったらこのメンツ集められたのよ….!?」
「お前の為だからな。この程度、何だってやってやるさ」
中国、日本、そしてアメリカ。
各々の最高級の仲間達が、たった1組の恋人達の命運を掛けて本気でやり合おうというのだ。
「さぁ行きなはれ、北朝鮮はん。
……やれやれ。ホンマはあの時、にゃぽんから話聞いた時はどないしよ思たけど…」
刀を持ち直し、
「こうして2人の幸せを願い、守れるんなら、」
刀を前に、突きつけ。
「この命、此処で散っても構わへんわ!!!!」
威勢よく啖呵をきり、愛刀と共に華々しく敵陣へと斬りこんでいったのだった。
一方その頃、パーティー会場では。
「あ…アメリカ、さん…?」
「危ない所だったな。親父が庇ってくれなきゃヤバかったぜ」
拳銃を手にしたアメリカは日本達と中国の間に入り込み、湧き上がる煙に息を吹きかける。
イギリスは眉をひそめて彼に問いかけた。
「貴方ね、今まで何処で道草食っていたんです?
止められる人間が居なかったせいで会場がとんでもない事になってるんですが?」
「悪い悪い、”アイツ” と話があってな」
「アイツ?」
日本の乱れた襟を直しながらドイツがアメリカに視線を向ける。だが、にゃぽんの手を優しく取っているイギリスにはもう正体がバレているようだ。
食えない息子に育ったものだ、とため息をついたその時。
会場の入口ドアが音を立てて開かれた。
「よう。少し遅れた」
「……!!あんたは…!」
“ロシア!?!?”
黒いスーツに身を纏った世界最大国土面積の男は、一気に浮き足立つ周囲を目にも止めず日本達の元へとやってくる。
今まで会場で姿が見えなかったのは、アメリカといたためだったらしい。
「……にゃぽん、怪我してないか。」
「あ….し、してないよ。台湾達に、助けて貰ったから…..」
中国を止めようとした際に出来た彼らのかすり傷を見て、にゃぽんはまた心が沈む思いになってしまった。
彼らの想いにつけ込んで協力させたのは自分だというのに、なんて酷い女だろうか。
自分が情けなくなってくる。
ロシアもにゃぽんの雰囲気を感じ取ったのか、それ以上目を合わせることはしなかった。
そして、倒れている中国に向かって呼びかけた。
「おい、まだ意識はあるんだろ。
俺と話さないか」
「ぅ………..あ”……ろ゛、し….あ、……」
アメリカのヘッドショットが余程効いているらしい。
….というか持ってる拳銃よくよく見てみたら50AEじゃねぇか、ライフルと同等レベルの威力を出せるシロモノを持ち出してくる辺り、
割とマジで○す気だったらしい。
ただ、たった一発のヘッドショットで中国をこんなに動けなくするなんてオマケとして弾に猛毒でも塗ったのだろうか。
チラリと奴の方を見ると完璧ビジネススマイルで首切りポーズをしてくる。やっぱりコイツもどっかイカれている。
「…………とりあえず、誰か解毒薬持ってねェか」
タッタッタッ……
夜の闇と煌びやかなネオンに目もくれず、
二人の男女は白い息を吐きながらひたすら足を動かし続けていた。
「きっ、き…た……っ」
「…….ん、…」
韓国の方をチラリと見た北朝鮮は、一旦立ち止まって彼女を抱き抱える。
「ちょ、北っ…!!アンタ疲れてるんだからここまでしなくても「嫌になった」は….?」
ギュッと韓国を抱きしめる腕の力が強まる。
「お前が居なくなったのに気付いた時、心臓が止まるかと思った」
「……!!」
「こんな所で弱音吐くなんてどうかしてると思う。だが….正直、今も怖いんだよ」
あの時韓国を守れなかったこと。
アジトに乗り込んで見つけ出したはいいものの、結局中国にやられて助けられなかったこと。
にゃぽんやEUの連中、日本家、台湾、世界中の国達を混乱の渦に巻き込んだ。
今俺がこうしてコイツを抱きしめていられるのも、色んな国を踏み台にしたからであって、決して褒められたもんじゃ…
「北。」
「……悪い、こんな事してる場合じゃないよな。
早く行──────」
言葉が遮られた。
そう思う間もなく、北朝鮮の唇に柔らかいものが押し当てられた。
「…………は….」
「情けない顔、見せてんじゃないわよ」
そう言った韓国の顔は、拗ねているような怒っているような表情だった。
「確かにアンタは….いや、私達は色んな連中を巻き込みすぎた」
でも、と小さく笑う。
「すっごく不謹慎なこと言うとしたらね。
北が私の為にここまで頑張ってくれたの、こんな形でも嬉しくて堪らないの。」
「…..!!」
「あの中国相手に戦うなんて、
私のダーリンは余っ程私に惚れてるみたい」
ちゅ、と生意気な彼女の口を今度は北朝鮮が塞ぐ。
「……お前、傾国の美女みたいなこと言うよな」
「今くらい許してよ。
監禁から助かった後の自由を味合わせて」
「全く…」
追いかけたり、取り戻したり、走ったりするのに必死で出来なかった、久しぶりの日常会話。
彼女を取り戻せた実感がようやく分かってきたらしい。
その感覚を噛み締めたくて、二人はまた深く抱き合ったのだった。
夜の闇に、一台の車が止まっていた。
車の中から二人の様子をじっと見ていた人物はこう呟いた。
「もう少し、感動シーンを味わせてやるか」
To be continued…