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体育祭まで、あと数日。
Dクラスの教室は、いつにも増して活気にあふれていた。
黒板には最終的な出場種目が整理されている。
同じ競技が二つもあることに、
ひなの胸は自然と高鳴っていた。
昼休み。
ひなが資料を見ていると、
恵ちゃんと桔梗ちゃんが意味ありげに顔を寄せてくる。
「ねえ、借り物競走って何が書かれてるかわかんないんだよね」
「もし“好きな人”って書かれてたらどうする?」
「えっ!?」
ひなの顔は一瞬で真っ赤になった。
「そ、それは……」
「綾小路が迷わずひなのところに来たら、最高じゃない?」
恵ちゃんの言葉に、
ひなの心臓はどきどきと音を立てた。
放課後の校庭。
全員リレーのバトン練習を終えたひなは、
少し離れた場所で行われている騎馬戦の練習に目を向けた。
綾小路くんは目立たないように見えながらも、
周囲をよく観察し、的確に指示を出している。
「やっぱり、すごいな……」
思わず見とれていると、
彼がこちらを振り向いた。
視線が重なる。
それだけで、
ひなの胸は甘く熱くなった。
練習後。
帰り道で、ひなは思い切って尋ねた。
「騎馬戦、危なくない?」
「多少はな」
「怪我しないでね」
ひなが心配そうに見上げると、
綾小路くんは静かに答えた。
「お前が見ているなら、簡単には負けない」
その言葉に、
ひなの頬はふわっと熱くなる。
寮の前。
ひなが小さな声で言う。
「借り物競走……綾小路くんと一緒に出られるの、楽しみ」
彼は少しだけ目を細めた。
「俺もだ」
そして、
ひなの白い髪をそっと撫でる。
「どんなお題でも、お前を見つけるのは簡単だ」
たった一言。
けれど、
その言葉は何よりも甘く胸に響いた。
体育祭まで、あと少し。
友情の応援。
クラスの期待。
そして、大切な人と同じ舞台に立てる喜び。
借り物競走のカードに何が書かれているのかは、まだわからない。
でも、ひなの心にはひとつだけ確かなことがあった。
どんなお題よりも、
綾小路清隆という存在こそが、
今の自分にとって一番大切な「宝物」だということを。
コメント
1件
第38話、読んだよ〜🖤 借り物競走の“お題”にドキドキする気持ち、すごくわかる…! 綾小路くんが「お前を見つけるのは簡単だ」って言うシーン、もう完全に心臓持ってかれたよね。 ひなが彼を“宝物”って思う気持ち、すごく尊いし、胸がきゅってなった🥀💞 体育祭、どうなるんだろう…続きが気になるよ〜🤍