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序章 DMPと勝利の伝説
時は2017年、今…日本は盛り上がりを見せていた。
天才棋士、藤井聡太の将棋連勝記録の更新や、秋篠宮眞子様の結婚決定、上野動物園でのシャンシャンの誕生、オリンピックパラリンピックでの日本人の活躍など。
そして、それはデュエマも同じことであった
「プラチナワルスラSを召喚!」
「マスターBAD発動ォ!」んだから
「デンジャラスイッチ!」
己の知恵と戦略を駆使し、熱き闘いが繰り広げる熱き決闘者が互いに鎬を削っていた!
そしてそれは目の前の高校生も同じであった
「モルトNEXTで最後の盾をブレイク!」
燃えたぎる漢の拳が敵のシールドを吹き飛ばす
「Sトリガー!_〘静寂の精霊龍カーネル〙効果でモルトNEXTを行動不能にする!これで…」
「モルトNEXTは龍マナ武装の効果でアンタップするが動けない…だが〘闘将銀河城ハートバーン〙の能力発動!」
「自分のドラゴンがアンタップしたため、ハートバーンを龍解!〘超戦覇龍 ガイNEXT〙ッ!効果で俺のクリーチャーは全てSAを得る!!」
「グッ…だがお前の場で攻撃出来るのはガイNEXTの一体だけ…カーネルのブロッカーで耐えて、次のターンに逆転できるッ!」
「残念、ガイNEXTで攻撃する時、革命チェンジ!〘蒼き団長ドギラゴン剣ッ〙!!
効果でマナから〘ミツルギブースト〙を出し、再びマナに送ることでカーネルを破壊する!」
「そんなッ!?」
圧倒的な生命の頂点、ドラゴン。
その前では如何なる抵抗も無意味
ただ無慈悲に全てが燃えていくだけだ
「ドギラゴン剣****でダイレクトアタック!」
「ま、参りました…」
途端に湧き上がる拍手、その音を聞いて俺は漸く緊張の糸が切れたように肩を下ろす
『決まったー!オラクルスター日本橋店CS優勝は龍神 大和選手です!』
「すっげー、あいつまだ高校生なんだろ…なのに全国ランキング上位の常連なのかよ」
「今回のCSで4連続優勝なんだって?もうプロモ4投出来んかよ… 」
龍神 大和 ハンドルネームじゃなく、これは本名だ。
日本に280人程しかいない苗字らしく、小学校の時はカッコイイだなんて思っていたが今は厨2臭くて少し恥ずかしいと思う
俺の手に握られて光っているのは〘偽りの王 ヴィルヘルム〙のプロモカード
大会で優勝した人しか手に入れる事が出来ない所謂景品カードだ。
俺はそれをデッキケースにしまう
これで4枚目だ
これにより、俺のモルネクデッキのヴィルヘルムがすべてCSプロモに変わる
コレクターなら、傷つくからプレイに使うのは辞めろと言われるかもしれないがそんな連中に言いたい
カードは使ってなんぼだろうよ!
一々カードの状態を気にしてデュエマが出来るかってんだ
そう考えながら二重スリーブからヴィルヘルムを取り出し、入れ替えていく
これで俺のモルネクハイレートデッキ化計画に1歩近づいた
「…」
「おっ、おい、なんか龍神の奴、むっちゃキモイ笑み浮かべてねぇか?」
「ホントだ…ニチャァ…って笑ってる」
おっと、いけないいけない…あまりの喜びに危うく俺のクールキャラが崩れてしまうところだった
ただでさてカードゲーマーっていうモテない趣味なんだから、態度だけでもカッコつけないといけない
いつまでも独りで惨めに生きるのはごめんだしな
いやぁ、カードゲーマーって大変だなぁ!
……み…………つ
……………………け…………………た
ん?今なんか聞こえたか?
「おわっ!?なんだこれ!!?」
フと目を上に見やると、そこにはもともとあった白天井が消え去っており、その代わりに黒雲がバチバチ音を立てながらと塒を巻くように渦巻いていた。
「な、なんだこ…うぉ!!?」
強い上昇気流で、体が黒雲に吸い込まれそうになる
足が地面から離れる感覚に俺は咄嗟に両手で卓を掴んで踏ん張った。しかし眼前の黒雲の渦は更に勢いを増しており力を緩めると直ぐに巻き込まれそうだ
「なにがどうなってんだ!??だっ、誰か!!」
助けを呼ぼうと声をあげるが、どういうことか先程までいた周りの人間は忽然と姿を消していた
「なっ…どこいった…!? ッ!」
その時、俺は1つのことに気づいた。
「なんで動いてないんだ…?」
ショーケース、ゴミ箱、ストレージ…端的に言うと俺以外の物質全てが、一切動いていなかった。俺の頭上で渦巻く黒雲など知らぬように
「あっ!」
その時、俺が手に持っていた肩掛けバックが手をすり抜けて黒雲の中に吸い込まれていった
あの中には、俺の青春が詰まったモルネクデッキが!
余りの物惜しさに手を伸ばしたのがいけなかった
両手でどうにかしがみついていた卓、片手になったことでバランスが崩れ一気に体が宙に浮く
「うお!!?」
体制を立て直そうと、再び卓を掴もうとするがその手は空を切る
そうして完全に宙に浮いた俺は
「何がどうなってやがんだァァァ!!?」
クールキャラなどかなぐり捨てた叫び声を挙げ、その黒雲に吸い込まれていくのだった
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鼻についたのは木造家具の独特の匂い
先程までのくっさいカードショップとは違い、安らかな匂いが流れている
なんだ…俺はどうなったんだ?
あの黒い雲に吸い込まれて…それから…
「早く起きなさい」
駄目だ、何も覚えてない…
思い出そうとすると、頭の中にモヤのようなものがかかって思考が阻害される
「早く起きなさい」
それでもってなんか、全身痛いし…
「早く起きなさい」
ちょっと爪も「早く起きなさい」
「**うるせぇな!!**人が心中で色々語ってんだから途中で挟んでんじゃねぇ!!」
俺は語りかけてくる声の主に向かって怒鳴る
そう言ってからハッとした
この語りかけてくる声は誰のものだ?
その声の主は俺の横…正確にはベッドに横たわる俺の横に椅子をひいて座っていた
「ようやく目を覚ましたと思ったら変な事を言う人… 」
眼前に座っていた人は正に美女と形容されるような人だった
銀髪の髪にメカニックな装甲のような服、そして、目鼻の整ったイケメン系の顔、しかしその目にはどこか儚さが感じられた。
正に絶世の美女という感じだ
マトモに女子おろか、女性に触れてこなかった非モテカードゲーマーの俺は態度が意図せずに急変する
「あ、えっとすいません…いきなり大声だして…えーと。」
「レッドゾーンZ…長いからレッドゾーンZでいいわ」
「全然変わってないんですが…って!?」
真顔でボケられ思わず突っ込んでしまう
初対面なんですけど
「冗談よ、ゼットでいいわ…貴方は?」
「いや待って?スルーしないで?本当にそんな名前なの?虐められてない?」
「失礼な人ね、本名よ。」
「えぇ…」
思わず困惑する。
だってそんなデュエマのクリーチャーみたいな
名前の人がいるとは思わなんだ。
そりゃ日本人ぽくない見た目だなとは思ったけどね
あまりにも風貌がこの洋風建築の部屋にマッチしすぎてたし…
…そういえばここは何処なんだ?
改めて周りを見渡すと、そこは日本式の作りから大きく外れた赤色煉瓦造りになっており、家の隅では暖炉がパチパチと音を立てている
先程までの黒雲は跡形もなく消えていた
どう見ても日本には見えない
しかし、使われている言語は日本語のため頭がこんがらがってしまう
「私は名前を言ったわ、あなたも名乗るのが筋だと思うわ」
「わっ、りゅ、龍神大和です…」
気づけばゼットは、俺の顔に自分の顔をデコがぶつかる程に近づけており、そのガラスのような綺麗な目で覗き込まれ、変な声が漏れてしまった
仕方ないじゃない 童貞だもの
「龍神大和ね…多分覚えておくわ」
そう言って顎に手を当てる、わざとらしく可愛いが素材がいいからか不自然身を感じない
だが、見蕩れてばかりでは居られない
俺は質問をする為にベッドから上半身だけ起こした
その瞬間
「グッ…!?」
焼けるような痛みが背中を広範囲に襲った
俺は再び倒れるようにベッドに体を預ける
それを見たゼットは顔を顰めると
「勝手に動かないで、貴方は超次元の後遺症がまだ残ってるのよ」
「超…次元…?ゴホッ、後……遺…症……? 」
肩で息をしながら声を絞り出す
額には脂汗が滲み、全身が寒気に襲われる
また、聞いたことのあるワードだ…
「あなた、そこのフィオナの森で倒れていたのよ。超次元ホールに呑まれて生きてるだけで奇跡なんだからね」
フィオナの森…まただ
また聞き馴染みのあるフレーズだ
俺は息も絶え絶えになりながらも、何とか風に言葉をのせる
「あの、ここはどこなんですか?日本であってるんですか?」
「だから喋らない方がいいって……ニホン…?聞いたことない所、どこら辺にあるの?」
そう言ってどこからか紙地図を取り出すゼットさん
しかし、俺は1つ気づいた事があった
「なんだ…この地図…?」
俺が知っているどの地図とも違う、見たこともない形の大陸がそこには写し出されていた
その時、俺の脳裏に嫌な考えがよぎる
俺はその考えを否定したくて、この言葉を投げかけた
「あの…ここって何大陸なんですかね?」
「何大陸って…ここは5文明の共存する大陸
インビンシブル大陸よ。そんなことも知らないの?」
あぁ、これはもしかして
インビンシブル大陸という名前、レッドゾーンZという人物、超次元ホール、フィオナの森…もしかして俺は…
「デュエマの世界に転移したのか…?」
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〘キャラ紹介〙
龍神大和 (17歳)
高校2年生
カードゲームの大会後、突如現れた謎の黒雲に吸い込まれ謎の世界に転移した
もしやデュエマの世界ではないか、と考えているが果たして…
めんどくさがり屋だが、人の頼みはあまり断れないお人好しな性格をしている。
デュエマの才能はピカイチで高校生ながらもCSで何度も優勝したり、強豪プレイヤーに勝っていたりする
レッドゾーンZ(年齢不詳)
フィオナの森で倒れていた大和を拾ってきて、看病していた謎の美女
今のところその理由も含めすべてが謎に包まれており、この物語の鍵を握っている…かもしれない
趣味はミステリー小説を飲みながらコーヒーを飲むことだがブラックが飲めないので、毎回砂糖を丸々2袋入れている