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若井と元貴が涼ちゃんの部屋で見つけた、あの二行だけのメモ。
「大っ嫌いだ。人が大っ嫌いだ。
でも元貴と若井は好きだったよ。」
それを机に置いたまま、2人は長い時間黙っていた。
窓から差し込む夕日が、まるで誰かの気配のように部屋を照らす。
その瞬間――
部屋の空気がふっと揺れた。
風も吹いていないのに、
棚の上の小さな飾りがカタリ、と動いた。
「……若井、今の聞こえた?」
「うん……なんか、変だな」
その“変な気配”は、
ほんの一瞬だけ、あの涼ちゃんの声に似ていた。
「…………?」
涼ちゃんが目を開けると、
そこは真っ白な空間だった。
何もない。
ベッドも机も、ステージも、仲間もいない。
ただ、静かで、あたたかい光だけがある。
目の前に誰かが現れる。
シンプルな服を着た、性別も年齢も分からない“案内人”のような存在。
「藤澤涼架――いや、“涼ちゃん”。
あなたは一度、限界を超えてしまったね。」
涼ちゃんは自分の胸に手を当てる。
鼓動が、戻っている。
「……俺、死んだんじゃ……?」
「“終わった”とは言わないよ。」
その存在は優しく微笑む。
「あなたには、まだやり直す道が残されている。」
「やり直す?」