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#ファンタジー
「必要?」
「うん」
当たり前だよと頷く。
「気持ち悪くねぇの?」
「ならないよ」
「本当の俺はこんなんなのに……嫌にならねぇの?」
「歩くんのこと嫌になったりするわけないよ。だって歩くんは私の救世主だもん」
歩くんが僅かに目を見開くと、開いている方の手を私の背中にまわしてぐっと引き寄せた。
唐突に感じる熱と柔らかな感覚。
「……っ」
「歩くん?」
抱きしめられている状況に頭が混乱してくる。
「ましろ」
強くて優しくて、温かい腕。
「……あり、がと」
柑橘系の香りがする服に頬をくっつける。
落ち着く香り。
とくん、とくんと歩くんの心臓の音が伝わってくる。
抱きしめていた腕が離れ、歩くんと向かい合う。
「ましろ、俺」
いつもよりも熱っぽい瞳。目の前で感じる吐息。
「え……?」
私の頬に手を添えて、歩くんの顔が近づいてくる。
唇が触れるんじゃないかと思った瞬間――ガシャンと大きな物音が一階から聞こえてきた。
私と歩くんは目を合わせてから、慌てて立ち上がる。何かが割れる音、だった気がする。
「きっと母さんだ」
真っ青な顔で呟くと、歩くんは部屋を飛び出す。
私は急いでその後ろ姿を追った。
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