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私の名前はメアリ。このお屋敷でメイドをしております。旦那様は気さくなお人柄で、とても優しい人なのですが……。ただひとつだけ困っていることがあるのです。それは――。
***
「メアリ! 今日も愛しているよ!」
「ありがとうございます」
「ところで、今夜は空いているかな?」
「申し訳ございません。本日の夕食後は、使用人たち全員でダンスの練習をする約束になっているんです」
「そうか。残念だよ」
旦那様に好意を持たれているということでしょうか? しかし、私は旦那様のことを好きではありませんし、どちらかと言えば苦手です。私が好きなのは、優しくて紳士的なアルフォンス様なのに……。ああ、早く会いたいですわ。
「メアリ、ちょっと良いかしら」
「はい、奥様」
「今日の夕食後に、貴女の部屋に行っても良いかしら? 少し相談したいことがあってね」
「わかりました」
奥様はとても綺麗な方です。旦那様と結婚されてもうすぐ十年になるらしいのですが、未だに仲睦まじくて羨ましい限りです。それにしても、一体どんな用件なのかしら。
「あのさぁ、最近調子に乗ってね?」「うん」「…………」「なんだよ」
「……ちょっと、調子に乗りすぎじゃない? あんたがそうしてるとこっちまで調子狂うんだけど」
「はぁ? 俺のせいだって言いたいのかよ!」「そーだよ! 悪い!?」
「だいたいアンタが悪いんでしょ!? いつも人のこと馬鹿にして!!」「うるせぇ! 俺は悪くねえ!! お前が弱いんだろ!!」「はあ!? もう知らないッ!!!」