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今日もショートケーキ茶飲もうかな…
と思いながら、いつも通りワイヤレスイヤホンで音楽を聴きながら
登校している名良(なら)。するとトントン。と肩を叩かれる。振り返る。すると
「よお!」
と声は音楽で聞こえないが、そう言っているとしか思えない、笑顔で右手を軽く挙げた糸がいた。
名良はワイヤレスイヤホンを外し
「あ、ども」
とよそよそしい挨拶をする名良。
「おいおいぃ〜。よそよそしいなぁ〜」
馴れ馴れしい糸。
「ねえ、紺堂くん」
「はい」
「ヨルコのこと好きなの?」
ド直球。世界のオオタニさんも
「わお」
とビックリな速度のストレート。
「は?」
さすがに「は?」である。
「え?こないだヨルコと一緒にいたでしょーにー」
「あぁ。それはたまたま自販機で一緒だっただけだよ。え。逆にそれだけ?」
「まあ、そうだけども。そうなの?…ほんとにそうなの?」
一度納得したものの、ニマニマ顔で再確認してくる糸。
「そうなんです」
「音楽なに聴いてんの?なに好きなの?」
「え。いや、特段好きなアーティストとかはいない」
「今流行りだとぉ〜…WESICKとか?」
「いや、Zzzzz夢の中zzzzZとか」
「はいはい、ずと夢(Zzzzz夢の中zzzzZの略称)ね。いいよね」
「WESICKって女性アイドル?でしょ?聴いたことはある。プレイリストに入ってたりするし」
「なるほど?既存のプレイリストを聴いてる感じか。じゃあ、Envied Modelは?女性アイドル」
「知らない」
「MVPは?メンズアイドルなんだけど。あ、ちなみにMake Vetter Placeって意味なんだけどね?」
「知らない。女楽国(にょたくに)さんはアイドルが好きなの?」
「ん?いやぁ?ま、好きだけど、満遍なく好きかな。バンドから入ったんだけどね?私の音楽好き。
で、最初はバンドonly。アイドルの曲なんてチャラチャラしてるだけって思ってたんだけど
ま、音楽にハマる前はアイドルの曲聴いてたんだけどね?
でも音楽にハマればハマるほど、あ、アイドルの曲もいい曲あるなって思ってさ?
いや、もちろんダメな曲とかもあるよ?それはバンドもアイドルも。
ほら、日本で結果1つも残してもないのにアメリカ行って「日本のアイドル」ってのだけを武器にして
洋楽の詰め合わせみたいな曲作って発表してりね?
いやいや、ここのメロあれやん。海外有名アーティストのあの方のあの曲やん。
ここはあれやん。別の方のあの曲やん。みたいなね?
でも、アイドルの曲でも「あっ…すごいな」ってのも意外と多くてね?
それこそ韓国のアイドルグループの曲なんて、あ、日本のアイドル終わったなってくらい。
でも日本のアイドルから逃げて韓国のアイドルに移籍した。みたいなのは例外ね?
グループでは実績残せても個人では…あぁ。ダメだなって子がいたり。
韓国のアイドルっていう競争率の高い中、自力で勝ち取ったみたいなのはエグい。
ダンスも歌唱力もスゴい。顔はー…でも、顔も歌って踊ってるときはカッコよく見えるのよ。
ま、私のほうが可愛いけどね?」
と冗談をかましたところで下駄箱にたどり着いた。
「好きなんだね。音楽」
「そうなのぉ〜。好きなのぉ〜。たぶんイントロクイズしたらこの高校では1位だと思うわ」
「おっはー!」
雲善(うんぜん)が名良(なら)の肩に腕を回す。
「おぉ。雲善。おはよ」
雲善の後ろには風善(ふうぜん)もいた。
「風善もおはよ」
「おはよ、名良」
「あぁ!風善くん!おはようございます!」
急に声が高くなる糸。
「おはよう。女楽国(にょたくに)さん」
「え!名前知ってくれてたんですか!」
喜ぶ糸に
「いや、下駄箱に書いてるじゃん」
現実を突きつける雲善。
「シラけるわぁ〜」
「え。なんで?なんで?女楽国」
「なんで風善くんと同じ顔してんのに中身全然違うん」
「え?なんか怒ってる?」
と糸の後ろをついて歩く雲善。下駄箱で苦笑いの風善。風善の後ろには恋弁(れんか)がいた。
「おはようございます」
名良(なら)に挨拶する。
「あ、おはようございます」
「あの2人仲良いんですか?」
糸の後ろをつきまとう雲善、その2人の後ろ姿を見ながら名良に聞く恋弁。
「あぁ…。いや、どうかな」
名良も糸と雲善の後ろ姿を見ながら考える。
「まあ、今はどうかわかんないけど、相性は良さそうだよね。あの2人」
糸と雲善の後ろ姿を見ながら、微笑みながら言う風善。
「どうかな」
上履きに履き替える恋弁。
「ふー。行こ?」
「あぁ。そうだね。名良も、途中までだけど教室行こ」
「そうだね」
ということで名良と風善と恋弁も教室へと向かった。
名良はC組、風善と恋弁はD組ということで途中で別れた。
教室に入ると風善は琴道(ことみち)の席に自分の荷物も置かずに行っており
相変わらず糸にも絡んでいた。名良は自分の席に行く。すると綺麗なピンク色の髪のヨルコがいた。
「紺堂くん、おはよ」
涼やかな、風鈴のような、でも温かみのある綺麗なヨルコの声が名良の鼓膜を震わせる。
「おはよ、イサさん」
名良は自分の席にスクールバッグを置いて座り、スクールバッグから
筆箱を取り出して、机の上に置いて、スクールバッグを机の横のフックにかける。
「朝、糸と一緒だったの?」
雲善と一緒だったならなんとなくわかるし
糸と雲善が一緒に教室に入ったはずだから、その2人が一緒に来たんだねと言うのもわかるが
「え。なんで?」
名良は疑問に思った。
「え?」
「いや、なんでオレと女楽国(にょたくに)さんが一緒に来たと思ったの?」
「え?なんでって…」
と考えて、ハッっと思うヨルコ。
「ん?」
「いや、その…なんとなく?」
不自然なヨルコの様子の多少の疑問を持つが
「あ、そうなんだ」
と納得する名良。
「でも、糸と雲善くん。なんか…いいよね」
糸に絡む雲善を見て言う。
「…。そおかな」
あまり納得できない名良。
「うん。恋愛の匂いがする」
「恋愛の匂い…。女子はそういうの敏感だよね」
「まあぁ〜…そうかな?紺堂くんはしない?」
「しないしない。恋愛の匂いわかんないし。ま、実際そもそも恋愛に匂いなんてないしね」
「あぁ、そっか。まあ、そうだね。でも見てて?あの2人。注目だよ」
「へぇ。あの2人ね」
あまり興味がないが、雲善のことなので、少しは注目してみようと思う名良。
担任の先生が入ってきて朝のホームルームが始まる。
朝のホームルームが終わり、1時間目の授業の準備も終える。
「ねえ。朝なんであんな女楽国プンスコしてたんだと思う?」
雲善が名良に聞く。
「知らん。なんかデリカシーないことでも言ったんじゃね」
「オレが?このオレが?」
「うん。風善みたいな大人っぽさはないからな」
「えぇ〜。そうですか?イサさん」
「え。私?」
なんて話をしていると
「おい。うちのヨルコを困らすなよ」
と糸がヨルコの頭の上から現れた。糸の後ろには嶺杏(れあ)もいる。
「いや、ふーとオレのなにが違うんかなって」
「顔と身長以外全部」
「うそぉ〜?マジ?」
「マジ」
するとロッカーに教科書類を取りにきていた琴道がその会話を聞いていて
「あぁ。姉は私の残りカスってパターンか」
とボソッっと言うと、それを聞いた眠そうな嶺杏が
「ふっ」
っと思わず笑う。嶺杏は琴道に視線を送り、目を合わせ、親指を立てて「Good」を送った。
琴道は嶺杏の微笑みにドキッっとして謎に会釈をして自分の席に戻っていった。
「あ、今恋愛の匂いした」
と思わず口に出るヨルコ。
「お?恋愛の匂い?なになに?ヨルコ様。恋愛臭がしましたか?ちなみにどこから?」
糸が食いつく。
「あ、いや。…あ、糸のシャンプーの匂いだ」
「なんだぁ〜。ま、私自身?が?恋愛そのものみたいなとこあるしね?」
「訳がわからん」
と後ろでスマホをいじりながら呟く嶺杏。
「ま、たしかにいい匂いするよな。女楽国(にょたくに)」
と言う雲善に対して、多少ドキッっとはしたものの
「え。は。キモ」
という言葉を残して
「あ。もうそろ時間だ。嶺杏ちん行こ」
と嶺杏と自分の席へと戻る糸。
「…。え。酷ない?」
「いや…まあ…。でも、女子っていい匂いとか言われんのキモいんじゃないの?よく知らないけど」
「え。そうですか?イサさん」
「え?」
またヨルコが困る前に、1時間目の授業の先生が入ってきてすぐに授業が始まった。
1時間目から4時間目までの授業が終わり、お昼ご飯の時間に。
「兄ちゃん」
風善も合流した。
「へいへーい!恋弁(れんか)ー!」
女子陣には恋弁が合流した。
「マジで女心って難しいのな」
唐揚げを箸上げしながら雲善が呟く。
「どしたの急に」
風善が問いかける。
「え。今朝の見なかった?」
「あぁ。女楽国さんの?」
「そ。いやぁ〜。朝プンスコしてた理由は聞いたんだけど
髪の毛いい匂いって言われて「キモっ」って言われたんよ」
「兄ちゃんのことが嫌いか、逆に意識してるからこそ反射的に言っちゃったかじゃない?」
「おぉ〜。さすがは風善様。雲善と違って女心わかってる」
そう言う名良に頷く琴道。
「え。いや、わかんないよ?女性の心っていうか、人の心の内なんてわかんないけど、予想ね?あくまでも」
「こういう謙遜するところもな。あと女心と言わずに、女性の心って言う辺りとかも。
うん。こりゃ人気アイドルですわ」
と言う名良に頷く琴道。
「やめて。人気アイドルはもっとカッコいいから」
「MVPとか?」
「あ、名良、MVP知ってるんだ?」
「いや、朝、女楽国さんに聞いただけ。どんなグループなのかも全く知らん」
「いや、オレもあんま知らないんだよね。姉ちゃんが好きで」
「へぇ〜。どっぷり?」
「どっぷりどっぷり。ライブ行って、いつか衣装もらうんだって息巻いてるもん」
「衣装?」
「ライブの、たとえば同じドームで2日あったとしたら
2日目にライブの衣装を抽選でプレゼントしてるんだよ」
「うわっ。ファン歓喜」
「そ。姉ちゃんも欲しくて欲しくて、兄ちゃんもオレも誘われたもん」
「へぇ〜。ま、そうか。人数多い方が倍率上がるもんね」
「そうそう。ま、その分チケット代かかるけどね」
「たしかに」
そんなことを名良と風善が話している一方
「琴道。大人っぽいってなに?」
「え。大人っぽい?そうだなぁ〜…」
と「大人っぽさ」について話していた。
「やっぱさ。雲善もスペック高いよね」
糸が呟く。嶺杏(れあ)は紙パックの約1日分の鉄分 飲むヨーグルトを吸いながら
ジト目で糸を見る。恋弁(れんか)は呆れ顔、ヨルコだけは嬉しそうな顔をしていた。
「ちょ。なにその顔。特に恋弁」
「え。だってあの雲善でしょ?…スペック高い?どこが」
「え。だって風善くんと同じ顔、同じ身長。身長もわりかしあるし」
「バカでデリカシーないけど」
「まあ…。それは置いといて」
「陽キャ代表みたいなズケズケ感あるけど」
「ま、それも置いといて」
置いとくこと多いな
と思う嶺杏。
「ほら。運動神経いいじゃん?サッカー部」
「まあ。ふーも運動神経いいからあれだけど」
「まあ、恋弁は風善くんに惚れてるからあれだけど」
「は!?」
教室中にこだます。
「なんだ?」
雲善も風善も、琴道も名良も声のほうを向く。恋弁は恥ずかしくて肩をすくめ、身を小さくする。
「声でか」
糸が笑う。
「糸が変なこと言うから」
「いやいや、冗談…ってなんとなくわかるし」
「いやいやいやいや。違うから」
いやが多いな
と思う嶺杏。そんな騒がしいお昼ご飯が終わり午後の授業へ。
午後の授業はお腹いっぱい&疲労ということもあり、眠くなるのが常。
糸はコクコクして落ちる寸前に嶺杏が後ろからお尻を軽くつついて、はっっとして
またコクコクして落ちそうになったらお尻をつつくの繰り返し。
雲善はペンを握り、考えているフリをしながら寝ている。
「バレバレ」
と呟く名良。
「ね」
と笑いながら同意するヨルコ。
小声なのに自分には鮮明にヨルコの綺麗な声が聞こえた気がして、なぜか照れる名良。
そんな名良も眠気には襲われている。あくびが出る。涙が目に溜まり、制服のジャケットの袖口で拭う。
ヨルコはそんな名良のあくびが感染ったのか、ヨルコもあくびをする。
そんな午後の授業も終了し、帰りのホームルームに。
「起立。礼」
「「あざーしたー」」
「「ありがとうございましたー」」
「「さよーならー」」
生徒各々が帰りの挨拶を担任に告げ、教室内が騒がしくなる。
それぞれ帰りの支度だったり、おしゃべりを始める者、即帰宅する者、部活に向かう者。
「さぁ〜てと。部活だ」
雲善はサッカー部がある日。
「そっか。じゃ、頑張って」
「うい。じゃ、名良、琴道。また明日!」
「また明日ー」
「また明日」
雲善はスクールバッグを持って教室を出ていく。
「雲善、スクバしか持ってなかったけど、あん中に練習着とか入ってんのかな」
「そうじゃない?」
「てことは、スクバの中すっからかんってことよな」
「だね。帰りにばっけを収穫しまくって帰って
お母さんに「ばっけしか入ってなかった!?」って驚かれるみたいな」
嬉しそうに話す琴道に「?」の名良。
「さて。我々は帰りますか」
「だね」
「あ、紺堂くん」
「はい」
ヨルコに呼ばれる。
「また明日」
ただそれだけだった。しかしなぜか心臓が跳ねた。そんな気がした。
「う、うん。また明日」
「奥田くんも。また明日ね」
「はい。また明日」
ヨルコに手を振られ、手を振り返しながら教室を出る2人。
「あ、ちょ自販機寄っていい?」
「うん。いいよ」
ということで2人は自動販売機に寄ることに。ピッ。ガタン。取り出し口から飲み物を取り出す。
「それ好きだね」
「なんか…クセになるんよ」
「へぇ〜」
名良はショートケーキ茶を買って飲みながら帰っていった。
「ヨルコー!帰るぞー!」
「うるさ」
「うん。帰ろうか」
ということで教室を出ると
「恋弁ー」
恋弁がいた。
「帰ろーぞー」
「あ、今日はふーのバスケ部見てくから、先帰ってて?」
「お?どった?」
「いや、手伝いというか」
「ほお?マネージャー的な?」
「まあ」
「ほお?じゃあ、可愛いマネージャーは多いほうがいいんでない?」
ということで女子4人は体育館へと向かった。