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⚠️ attention ⚠️
銀魂から、両片想い作品となっております。
と言うかめっっちゃ長くなります。
超絶苦しくて切ないものにしたくて色々読み取れる様な作品にしております。
微量ですが、沖神が出てきます。ミツバちゃんが名前だけでてきます。
割と匂わせあります。モブの女の子が出てきます。
軸は、最終軸。
大丈夫な方はお進みください。。。
シンクロニシティ 土方十四郎side
万事屋が結婚する夢を見た。
似合いの女を連れて式を上げる姿はなんとも生々しくて幸せそうに見えた。
沖田「 ふくちょー、見回り今日頼んまさァ。 」
土方「 嗚呼、 」
土方「 ん、なんだ総悟どっか出掛けるのか? 」
沖田「 まあちょっと。じゃじゃ馬と戯れてきやす。 」
土方「 そうか。 」
出ていく総悟の背中を見送れば鞘の手入れをし、靴を履く。
後ろから近藤さんの声が飛んでくる。
近藤「 総悟のやつ、万事屋んとこのチャイナと宜しくやってるみたいだなあ。あいつ、なんだか最近機嫌が良くてこっちも嬉しいもんだ。 」
土方「 そうだな。あんなにるんるんで行く姿はいつぶりだ。 」
ミツバが居なくなってから何年か経ったが、ヤツの中でミツバという存在は大変大きかった。
それは俺も同様で。
近藤「 ガキ共がのびのび生きていける様に俺達が頑張ってやらねぇとな。 」
腕を組み、胡座をかきながら懐の大きい素振りをする近藤さんは俺の背中を軽く叩いた。
近藤「 じゃあ、見回り宜しく頼むぞ。トシ。 」
俺はしっかり目を見て頷くと刀を腰にぶら下げ街へ歩き出した。
変わってしまったものも沢山あるが、変わらない街並みはいつだって俺を安心させる。
変化が1番恐ろしいものだ。
「 ちょっ、危ねぇ!どけ!!! 」
後ろから大声で聞き覚えのある声が飛んだ。
俺は咄嗟に振り返ると万事屋とスクーターが飛んできた。
普段なら避けられたのに今日は、朝の夢が脳裏を過って動きが鈍った。
土方「 殺す気か”!!! 」
万事屋とスクーターの下敷きになった俺は怒鳴った。
坂田「 いやぁ俺のホーク丸が火を吹いちまって、 」
土方「 アホかお前”は”!!ってガチで火ぃついてんじゃねぇか!!!! 」
坂田「 あ”?なにぃ”!?!?土方!!!消化だ消化!!今どれくらい出る???! 」
土方「 アホ”な”のか”!!!なんでおしっこかけようとしてんだよ!水くめよ天パァ!!! 」
立ち上がると着物を捲し上げて露出しようとする万事屋。俺は襟を掴んでもう一度怒鳴れば近くにあった消化器を取りに走り噴射した。万事屋は尻餅をついており、いてて、と呟いて腰をさすっている。
土方「 ハァ…ハァ……こんのクソて、 」
消化を終えもう一度怒鳴ってやろうとした瞬間、万事屋に目を向けると見知らぬ女が万事屋の顔を拭き手を貸していた。
坂田「 おお、さんきゅ。すまねぇ遅れたわ。 」
?「 いえ、、でもスクーター…凄いことになってますけど、、、。 」
坂田「 気にすんな。 」
?「 あの…、すみません。お怪我は? 」
俺に目線を向けてゆるりと近付けば心配そうに小首を傾げるその女。
土方「 ぁ、嗚呼、大丈夫だ。それよりアイツ叱っといてくれ。 」
?「 ええ勿論。鬼の副長さんと言われてるのに優しい方なんですね。 」
土方「 そうか? 」
俺は制服に着いた砂を払い、煙草に火をつけた。
坂田「 おいニコ中。煙草はそいつの前で吸わねぇでくれ。心臓、悪いんだ。 」
?「 あ、いえお気遣いなく、大丈夫です。 」
土方「 、そうか。すまねぇ。 」
俺は一口も吸っていない煙草を携帯灰皿で消した。
何処か、ミツバに似てる。
心臓が悪い、口調が丁寧で物静か、でも万事屋も気に留めてそうなくらいの気立ての良さ。
坂田「 まーそーゆーこった。俺達はこれから行くとこがあんだ。じゃあな土方。 」
ボロボロのスクーターを押しながら女と二人で歩いていく姿は、なんとも、お似合いだった。
絵になる二人、誰が見てもそう言うだろう。
俺は薄目でヤツらを見送れば嵐が過ぎ去った様に歩き出し、煙草に火をつけた。
女が出来たのだろうか。
俺は無性に悲しくなった。
唯の思い過ごしだったヤツへの気持ちは、歳月を重ねるごとに膨れ上がって確信になった。
好きという気持ちに気付いたのは早かった。
ミツバを忘れた訳じゃなくて、ヤツの存在が大きすぎたんだ。
これは言い訳だ。
俺は知らぬ間に人気の少ない路地へと足を進めていた。
浪士「 おっと鬼の副長こと土方十四郎殿。ちょいとお付き合い願おうか。 」
タイミングが悪いな。虫の居所も悪い。
土方「 おーおー、其方から出向いてくれるとは今日は良い日だ。 」
浪士「 戯言を。かかれ!!!!!! 」
一人だった浪士は建物影から仲間を呼び一斉に飛びかかってきて。
いつだって何事も真剣に向き合ってきた。
槍が振ろうが何が起きようが。
今日はそうはいかなかった。
少しの油断を見せてしまって、俺は脇腹を刺された。
浪士「 はっ、この程度か。泣いて呆れる。 」
俺はそう言った浪士を問答無用で叩き切り20人ほどをお縄に拘束し、山崎に内線を飛ばした。
ザザッ……,
土方「 ぁー、山崎。歌舞伎町××番地に例の浪士達を拘束してある。あとは頼む。 」
山崎「 え!?ちょっ!?土方さ、 」
俺は何かを言い掛けた山崎の内線を無視して、川の方へ歩いた。
このまま死ぬのも悪くない
なんて柄にも無い事を思ってしまえばぼろがでる。
刺された脇腹を止血しながら、川の下へ降りた。
自身の服で抑えた脇腹は見なくてもわかるくらい血が滴っている。
ヤケになって無茶をしてしまった。
不甲斐ない。
俺はポケットからくしゃくしゃになった煙草の箱を出して、口で一本咥え箱を捨てた。
火をつけ、口の中に煙を含み肺に入れる。
こんな時にも1番に思い出しやがる顔は、ミツバでも、真選組でもなく、万事屋だった。
何やら遠くから話し声が聞こえてくる。
俺は視線も動かす事が億劫で聞こえる情報だけ拾った。
知ってる声だ。
坂田「 今はいねぇな。 」
?「 坂田さん。私、坂田さんのこと本気で好きなんです。貴方がどんな人だって構わない。家柄も捨てて貴方と一緒になりたい。 」
そうか。俺はいつも遅いんだ。
やっぱり悪い勘程当たるもんだなぁ。
もう辺りもすっかり夜更け。
薄れゆく意識の中で最後につけた煙草が落ちていく音さえ聞こえた。
瞼を開くと、見覚えのある様な無い様な場所にいた。
土方「 ……死んだのか俺。 」
坂田「 ばぁか。お前はそんな簡単に死なねぇよ。 」
勢いよく起き上がると脇腹にはしっかりとした痛みがあって、夢じゃ無いし死んだわけでもなさそうだ。
土方「 万事屋…? 」
坂田「 そうだ。お前あんな所で寝てっから、連れて帰ってきてやった。 」
坂田「 その傷で、屯所に帰んねぇのはなんか理由があんだろ。 」
土方「 ……。 」
エスパーみたいに見透かされて告げられた言葉に対して何も言い返せなかった。
土方「 …てかお前あの女の子はどうしたんだよ。 」
しまった、会話を盗み聞きしてた事をてっきり…。
俺は誤魔化す様に濁す様に、
土方「 話し、聞こえてたけど彼女なんだろ?ちゃんと送ってやったか? 」
そうやって少し笑って言ってみせた。
ガキじゃねぇんだ。それくらいの事は出来るし、望んじゃいけねぇことくらいは理解してるつもりだ。
坂田「 彼女?はは、お前聞いてたの。 」
坂田は俺と対面になるようにソファに座って。
坂田「 ちげーよ。あれは攘夷時代に助けた女の子でたまたま江戸に出向く機会があったから街、案内してたんだよ。 」
土方「 お前にこの街の案内任せたらパチンコに連れてかれそうだけどな。 」
坂田「 馬鹿おっしゃい!俺はちゃんとした所に連れて行きましたーーーー。 」
土方「 でもあの子はお前を好いてんだろ? 」
会話の流れで言ってしまった。聞かないつもりでいたのに。やはり気になって。
坂田「 …みてぇーだな。まあでも、胸はでけぇし、顔は可愛いし、性格も良いし、 」
坂田「 でも俺にゃ、勿体ねぇーわ。 」
土方「 生涯独身でいるつもりか。 」
坂田「 それは多分、おめーもだろ。 」
土方「 ふ、ちげぇねぇな。 」
恋人を作らないお前にとことん安心してる事実があって、でも気持ちを見透かされ無い様に必死に取り繕う事実もあって。
俺は立ち上がり、ソファの縁にかけてある隊服を着直せば,
土方「 ありがとな坂田。助かった。 」
坂田「 おう。 」
礼を述べて、玄関へ向かった。
どっしーん
土方「 うぉっ!?!? 」
神楽「 んん”…..、もう帰るアルかぁ…”。 」
寝惚けているチャイナが俺の背中に突撃して抱き締められた。
坂田「 コラッ神楽ちゃん!そんなおっさんに抱きつかない!!! 」
土方「 誰がおっさんだコラ!おめーもだろが!!!って、おいここで寝るなよ、、 」
力が強すぎて離れない、この体勢のまま眠りそうなチャイナ娘を俺はひょいっと小脇に抱えて。
土方「 はぁ…コイツ寝る場所まで運ぶわ。 」
坂田「 さんきゅ、 」
ぐおおっと大きないびきを掻くチャイナ娘を押し入れの布団の上にのせて。
土方「 怪我人なんだぞ俺は、 」
そう言うとなんだが少しおかしくなって笑った。
土方「 はは、やっぱりガキはいつまでもガキだな…、なよろず、 」
突然、俺の頬に添えられた手は顔をグイッと引き寄せて唇で塞がれてしまった。
俺は驚きはしたが何故、と言う理由がなんとなくわかる気がした。
土方「 ……、 」
坂田「 …。 」
坂田「 なぁ、土方。お前、ほんとに生涯独身でいるつもりなわけ。 」
唇が離れると添えた手のひらは下に降りて。壁に肘を突きながら柱にもたれかかって告げる坂田。
俺は軽く自分の唇に触れながら。
土方「 ……機会も都合もねぇ。それに俺は副長としてこの街を守る義務がある。守るもんは増やしたくねぇしな。 」
坂田「 そうか、 」
キスの意味、そんなものは聞かなかった。
月明かりに照らされて白銀の髪が光って見えるのは幻覚でもなければ、妄想でもない。
俺はつい、髪を撫でて頬に手を掛けた。
無言で見つめ合った二人は惹かれる様に唇を重ねた。
土方「 こんなことに、意味を求めるのは間違いか。 」
唇を離し首の後ろに手を這わせて、俺は聞いた。
坂田「 …間違いなら、犯してしまう程のもんがあんだろ。 」
俺の腰を抱く坂田は泣き出しそうな叫び出しそうな熱を帯びた瞳でそう告げた。
坂田「 てめぇの事はてめぇで守れるけど。 」
土方「 お前の未来を奪うのが怖いんだよ。 」
坂田「 俺はとっくにお前の未来を奪ってるつもりだったけど。 」
土方「 …。 」
坂田「 お前にとって俺がどんな存在でも構わないけど、俺にとってお前は俺の生涯かけても掴みたいと思えるくらいの価値なんだぜ。 」
土方「 ……お前にはよ、家庭持って、ガキ作って、ジジィになったら孫の顔見て、今までの不幸掻っ攫うくらいの幸せに塗れて死んで欲しいんだよ。 」
土方「 俺はその未来を摘み取る事が怖い。 」
俺は抱き締めようとする坂田の腕の中で、軽く握り拳を作ればやつの胸を叩いた。
坂田「 俺はそう言う所に惚れたんだよ。 」
坂田「 自分一人で抱えて、何もかも背負って、自分のことは後回しにするくらい優しいお前を、誰が背負ってやんだよ。 」
土方「 ……。 」
坂田「 なあ、お前の人生はそれでいいのかよ。 」
葛藤した。
コイツの未来を潰す選択をしようとしている事に。坂田銀時の遺伝子を残せない悔しさと苦しさ。どれだけ惚れてしまっているかなんて言わずとも分かってしまうから。
俺は笑った。
土方「 嗚呼。お前には誰よりも幸せになってほしい。 」
無言で腕から抜け出すと “ ありがとう ” と告げて万事屋を後にした。
これでいい。
これがアイツの幸せになるから。
月明かりが照らす景色はいつもより滲んで見えた。
苦しくて苦しくて仕方ない。
ただ、好いた野郎を1番幸せにしてあげる事が出来ないだけだ。
何も痛くなんかない。
俺は鬼の副長。いつだって真撰組の規律だ。
刺された脇腹が痛んで仕方ない。
ザ…ザッ…
山崎「 土方さん!!! 」
途端に内線が繋がった。
土方「 心配をかけてすまねぇな。ありがとう山崎。今から屯所に戻る。 」
山崎「 いえいえ……。…ふくちょ、なんかありました?まさか、怪我とか!? 」
土方「 いや。何も無い。大丈夫だ。 」
プツっと内線を切れば、浪士達をお縄に頂戴した場所へ戻ってきた。
1番に惚れたやつとは敵わない運命だとしても、俺はきっと後悔はしない。
愛したヤツを愛せなかった。
さよなら、お前の未来が健やかであることを願ってる。
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