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シンクロニシティ 坂田銀時side
土方が消えてしまう夢を見た。
桜が舞う中でお前だけが居ない夢。妙に鮮明でまるで白昼夢を見ている様だった。
ピーンポーン
新八「 はいはーいって、何方様…でしょうか…? 」
?「 坂田…、坂田銀時殿はいらっしゃいますでしょうか。 」
新八「 銀さんなら中に。ああ、良かったらどうぞ! 」
?「 お邪魔します。 」
神楽「 なになに誰アルか。何アルか。宗教勧誘ならお断りネ。 」
?「 ど、どうも…初めまして。菊膳 梅と申します…。」
神楽「 筑前…煮??? 」
新八「 菊膳 梅!!!!ったく…。すみませんね、、うちのが…。 」
新八「 銀さーん!お客様ですよー! 」
重い腰を上げれば鼻を穿りながらジャンプを読んでいた。誰だ?依頼主か…?
俺の前に座ると何やら見覚えがある様な…無い様な…。
銀時「 あ!!!!もしかして、お前! 」
思い出した。攘夷時代に巻き込まれた天人の女を助けた記憶がある。確かその後、助けた女の一族は俺たちに加勢してくれた様な…。
銀時「 えっと…名前…菊膳……、、 」
菊膳「 そうです、、!菊膳 梅でございます。お久しゅう。お元気でおられましたか。白夜叉殿。 」
銀時「 デカくなったなぁ〜!お前の一族、今は何してんだ。 」
菊膳「 今は坂本殿の元で貿易省として奮闘しております。 」
銀時「 あーんなやつの下で働いてんのか。お前らならもっと良い会社でもなんでも作れただろーに。 」
菊膳「 いや、貴方方には助けて頂いた恩義があります故、少しでもお力添えしたいと思って、、 」
銀時「 ふぅ〜ん…。 」
菊膳「 それで、あの、ご依頼がありまして…。 」
菊膳「 白夜叉殿、この街を案内して頂きたいのですが、、。 」
銀時「 そんだけか? 」
菊膳「 ええ。報酬はきちっと。 」
机の上に置かれたお重箱には綺麗に整列された札束が入っており。
神楽「 ガッ 」
新八「 え、あの、こんなに大金…。 」
菊膳「 白夜叉殿にはお金なんてもので表せないくらい感謝しております。これはほんの気持ち程度。 」
俺はため息をついた。
そしてお重を梅の方へ寄せて。
銀時「 金なんていらねぇよ。あと俺はそんなに大した事をしたつもりはねぇ。 」
菊膳「 でも…、 」
俺は立ち上がり洞爺湖をさして。
銀時「 行くぞ。この街見たいんだろ。 」
俺はにっと口角を上げて微笑めば、着いてくるように示唆をした。
神楽「 銀ちゃん待ってヨー! 」
新八「 てことなので、行きましょうか。菊膳さん。 」
銀時「 あと俺は白夜叉じゃねぇ。坂田銀時だ。 」
江戸の街並みは、変わってしまったところもあるがそれも一興。
変化があるから時代は巡る。
菊膳「 へぇ…ここが江戸…。 」
神楽「 そうネ。ここの団子美味しいアルよ!! 」
菊膳「 あら…それなら人数分頂こうかしら。 」
新八「 えっ、良いんですか!!! 」
菊膳「 ええ勿論。たんとお食べになって。 」
梅は人数分の団子の代金を支払うと新八と神楽に渡し。受け取った奴らはまあそりゃ喜んで。
俺は一口団子を齧りながら口を開く、
銀時「 いやぁなんかほんとに大人になったなぁ梅。会った時、お前まだガキんちょだったのに。 」
菊膳「 もう、20歳になります。銀時殿。 」
ゆるりと歩けば昔の話に花を咲かせる。
と突然神楽が振り返って、
神楽「 あ!!!やべ!!!今日サドと会う約束してたの忘れてたアル!!!!! 」
新八「 えぇ…。何してんの神楽ちゃん。 」
神楽「 今何時!?!? 」
銀時「 そうね大体ねー。 」
ベコッ
銀時「 さんじはんふぇす……。 」
神楽「 まじやばいアル!!!!銀ちゃん後ろ乗っけてヨ!!!!! 」
新八「 いや銀さん顔アンパンマンみたいになってるから。運転できるのかそれで。 」
銀時「 定春に乗っけてってもらえばいいじゃねぇかよ!!! 」
神楽「 定春、サドのことが嫌いみたいで近付いただけで巨大なうんこするアル。近隣の人に迷惑が掛かるヨ銀ちゃん。だから乗せてけヨ。 」
菊膳「 私の事は気になさらず、送って行ってあげて下さいな。 」
新八「 その間、僕でよければ案内させて頂きますよ。 」
菊膳「 あら本当?是非。 」
俺は渾身のボケをしたのに神楽に殴られたので少々不貞腐れたが、スクーターを取りに万事屋へ戻ることにした。
梅と新八は二人で回る様だ。
銀時「 ほれ神楽、行くぞ。 」
神楽「 あいあいさー! 」
万事屋に着くと、スクーターに跨り神楽を乗せて広場へ向かう。
銀時「 オイ神楽ぁ!お前まさか未成年の分際であのサド野郎とちちくりあってんじゃねぇだろうなぁ!!!お父さんは許しませんからね!!!!!ぁ”ぶ” ッ、 」
神楽「 うっさい加齢臭天パ!!!お前こそマヨラーの尻追っかけすぎて、ジャンプ読んでると見せかけて窓の外見て物思いに耽ってるの知ってんだからナァ!!う”が” ッ!!! 」
スクータの上で争いながらなんとか広場が見えてきた。俺は神楽から首を絞めかけられているがなんとかハンドル操作を…、、
やばいぶつかる
ブレーキに手が届かねぇ…!!!
銀時「 うぉぉぉ!!誰か止めてくれぇ!!!! 」
沖田「 任せてくだせェ、旦那ァ。 」
真正面からバズーカを撃てば、俺と神楽は吹っ飛んで。
神楽「 殺す気か”!テメェこのくそサドがぁ”!!!!! 」
すぐ立ち上がり傘で殴り掛かる神楽。それを刀で受け止める沖田。
俺はと言うものスクーターの下敷きに。
銀時「 うぉい!!!俺を助けてから争えや!!クソガキども!!! 」
そう叫ぶと神楽がスクーターを割と乱暴に退かして。
神楽「 銀ちゃんほんとにありがとネ!!今はコイツへの怒りが止まらないアル!!!!”” うぉぉお” ッッ!!!! 」
沖田「 旦那ァ!!!神楽を送り届けてくれてありがとうございまさァ!9時ぐらいには帰しますんで!!! 」
神楽「 おまっ、馴れ馴れしく名前呼んでんじゃねぇぞ!!!!! 」
オイオイ、出会って即バトルってなんかの漫画か何かかよ…。
俺は起き上がってスクーターを拾うと、
銀時「 頼むぜぇ、沖田クン〜。 」
そう述べて。とりあえず一旦万事屋へ戻ろうとしたその時、一通のメールが届いた。
『 銀さんへ、僕達は喫茶店にいます。住所送っておきますね。 』
俺はメールを確認して喫茶店へ向かった。
銀時「 すまねぇ、遅れた。ってあれ新八は? 」
菊膳「 新八殿ならほんの数分前にお通ちゃん?の限定CDが出たらしくそちらへ…。 」
銀時「 あんのドルヲタ……。 」
俺は軽くため息をついて会計を済ませれば。
菊膳「 ええ、良いのですか…? 」
銀時「 こんくれぇ構わねぇよ。さ、次行くか。 」
俺はスクーターを押しながら梅の歩くスピードに合わせて。
菊膳「 ケホッ…,, 」
銀時「 風邪か? 」
菊膳「 いえ…、その…、心臓が少し悪くて、 」
銀時「 なるほど、 」
なんだか既視感があると思っていたら、何時ぞやの沖田クンの姉か。
気立ての良さに体の弱さ。
土方と出会ったら恋にでも落ちるんじゃねぇの。
銀時「 っと、ここが江戸の花。歌舞伎町のスマイルって店だ。 」
菊膳「 へぇ…。 」
店の前に立つと俺は慣れた様に入店して。
妙 「 あら、銀さん一人?あれ…お綺麗な方…、、 」
銀時「 江戸初めてらしいからなんかもてなしてやってくれや。 」
妙 「 そうなの。ようこそ。スマイルへ。 」
俺達を真ん中の席へ案内してくれる妙。梅の横に腰掛ければ、
妙 「 私は、志村 妙です。えと、、お名前は? 」
菊膳「 菊膳 梅です。お好きにお呼びください。妙殿。 」
妙 「 そんなに硬くなくていいのよ〜。あ、何か飲みます? 」
銀時「 俺!ビール!! 」
妙 「 おめぇはツケをまず払ってから頼むもん頼めやこの野郎!!! 」
首根っこを掴まれ十字ひし固めをかけられる。
銀時「 あ”ッ待って待って”“ギブギブ!!!払う!払うから!!!許してェ!!! 」
菊膳「 ぅふふ……, 」
梅の笑い声が聞こえれば、動きを止める妙。ちらりと梅の方を見ると口を開いて。
菊膳「 変な感じですね。あの白夜叉殿をこうも簡単に手名付けてしまっているのなんて、 」
妙 「 あら、この人は本当にただのマダオよ。梅ちゃんもする?ひし固め。 」
銀時「 ちょっとおおおお?!変な事教えないでくれるぅ???! 」
俺から手を離した妙は再び隣に腰掛ける梅と何やら楽しそうに話し出した。俺はと言うものスクーターを少し修理しておこう。
銀時「 スクーターちょっとみてくるから、妙頼むわ。 」
そう言って店の外へ出た。
ブレーキはギリ直せそうなのでいじってみよう。
俺は10分ほどいじった後に試乗をした。
銀時「 おっ!いけんじゃん!!ん??? 」
ブレーキがとれた。いや効かない。やばい。
止まらねぇ!!!!?!?
ふと、見覚えのある後ろ姿が目に入った。
でもやばいまじでぶつかる。
銀時「 ちょっ、危ねぇ!どけ!!! 」
大事故(爆笑)を起こし、案の定騒ぎになった。
スマイルからタイミングよく出てきた梅は尻餅をついていた俺に手を貸してくれて。
俺は手を借りるとスクーターを起こして。
土方が梅と出会ってしまったらと考えていたら、出会ってしまった。コイツらはきっと、いやもしかすると運命的な出会いをさせてしまったかもしれねぇなんて。後悔。
何やら会話を交わす梅と土方。
土方が煙草に火をつけた。
銀時「 ニコ中、そいつの前では吸わねぇでくれ。心臓、悪りぃんだ。 」
ミツバと重ねてしまうのだろうか。
義理人情で生きてるお堅いお前はきっと重ねてる。
嗚呼、ほらその顔。
坂田「 まーそーゆーこった。俺たちはこれから行くとこがあんだ。じゃあな土方。 」
これ以上一緒に居させたくない一心で、早く早くと心が急かす。
俺は壊れかけのスクーターを押して梅と共に歩いた。
菊膳「 いいのですか…?何か言いたそうにしていましたけど、、 」
銀時「 え?ああ、いいのいいのあのニコ中。ほっときゃ。 」
んなわけがなかったけど。
あそこにいる理由もなくて俺は逃げる様にお前を逃げる理由にしたのは随分とガキ臭ぇことをしちまったと実感。
菊膳「 それで…何処へ行くのですか銀時殿。 」
銀時「 嗚呼、この辺であと見せられるもんっつったら歌舞伎町と隣町を繋ぐ橋でな。 」
菊膳「 橋…。 」
銀時「 まだ桜は咲いてさえいねぇが咲きかけのもんもあって風情が良い。 」
菊膳「 それは楽しみですね。 」
俺と梅は川沿いの橋へ来ると、咲きかけの桜を眺めながら川のせせらぎに耳をやり暫しの時を送った。
咲く前の桜は燻っている蕾を開く為に何年も何年もかけて開くものもあってそれが俺と重なってしまう。
出会った頃は何も想いもしなかったし、ただのお堅い幕府の犬として思ってなかった。お前が望むなら俺はずっと、もっと貪欲になる。
桜を見ると今朝の夢を思い出す。
咲いたらお前はいなくなってしまうんじゃないか。
煙に巻いた様に、すっと。
菊膳「 銀時殿、 」
銀時「 ん?どした、 」
菊膳「 今は…その、お付き合いしてる方など、いらっしゃるのですか。 」
銀時「 …今はいねぇな。 」
橋の中心で止まった菊膳はそう俺に問う。
菊膳「 銀時殿。私本気で好きなんです。貴方がどんな人だって構わない。家柄も捨てて貴方と一緒になりたい。 」
予想外だったと言えば嘘になる。
そんな素振りはずっとあった。でも、
銀時「 ありがとう。でも俺ぁ好いたヤツがいんだよ。そいつを放っておけねぇんだ。 」
菊膳「 …あの、副長さん、ですか。 」
銀時「 嗚呼、 」
菊膳はゆるく口角を上げて眉を上げれば
菊膳「 なんだか分かっていた気がしました。銀時殿には本当に幸せになって頂きたいです。微力ですが、何かあれば私もお力お貸し致しますので、 」
銀時「 そうか…、ありがとう梅。 」
俺は困った様に笑えば、ふと橋の下に視線が落ちる。
見覚えのあるやつが血を流しながら倒れ込んでいやがる。
銀時「 土方、 」
俺は迷わず橋から飛んだ。
菊膳「 銀時殿ッ! 」
間違いない、土方だ。脇腹から出血。多分刺されてる。止血はしてるみたいだが止まりきってない。俺は手際良く自分の手拭いを当て抑えれば姫抱きをして。
銀時「 すまん。俺、 」
菊膳「 早く行ってください!!スクーターとか私のこととかは気になさらず!お早く! 」
銀時「 すまねぇ。 」
壊れたスクーターと梅は端に立ち尽くして。
俺は脇目を振らずに走って万事屋に帰った。
万事屋に慌てて帰ると神楽が驚いた様に俺と土方を見た。
神楽「 どっ、どうしたネ!?!? 」
銀時「 わからねぇ、でも出血が酷い。早く手当しねぇと、、、、 」
神楽「 とりあえずアタシ、ババアにありったけの包帯貰ってくるネ。 」
バタバタと婆さんのところに駆けていく神楽
俺は服を脱がして出血の酷い脇腹を抑え、じいさんに貰った万能薬を塗り。
神楽「 銀ちゃーん!!!! 」
包帯を貰ってきた神楽は俺に渡し手当を行って。
銀時「 これでおそらく血は止まると思うが…。 」
神楽「 何で病院連れてかなかったネ!! 」
銀時「 コイツがそんなヘマすると思うか、、?テメェのことはテメェで管理できる様なやつなのに病院に行くと言う選択肢を外したのは、何か理由があるんだろ 」
神楽「 ……。 」
俺と神楽は心配そうにソファに寝かせた土方を眺めて、交代で風呂に入ったり身支度をしたりして。
銀時「 神楽、寝て良いぞ。俺が見てる。 」
神楽「 でも…、 」
俺は神楽の頭を撫でれば
銀時「 おっさんのとこはおっさんに任せなさいな。 」
神楽は軽く頷いて押し入れを開けたまま眠りについた。
土方「 ……死んだのか俺。 」
俺は目を覚ました土方に安堵の溜息を吐いて。
「 ばぁか。お前はそう簡単に死なねぇよ。 」
俺が簡単には死なせないから。
唐突にしてしまった口付けは、口付けで返されて。
俺のことをそんな風に思い募らせていたなんて知っている様で知らなかった。
おそらく俺達は自分たちの気持ちに気付かないふりをずっとしているみてぇで。
俺の未来を摘み取ることが怖い
それは俺だってお前には所体持って幸せになって欲しいと思ってたよ。
でもな、俺はそんな未来を奪い取ってまでお前と居たかったんだぜ。
まだ腕の中にある土方の体温が、
俺の決意をギュッと握りしめている感覚になった。
柱に座り込んだ俺は柄にもなく
お前を思って涙を流した。
苦しいのはきっとお前もだろう。
土方、お前の未来で隣に居させてくれよ。
next ,,,