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「枕の神様といえば」

自らも草餅を食べたあとで、壱花は語り出す。


「枕を起きたい時間の数叩いたら、その時間に起きられるって子どもの頃やってませんでした?」


「あれは自己暗示じゃないのか?

お前、やってたのか?」


寒くもないのにストーブをつけ、あまった草餅を焼いてみている倫太郎にそう訊かれた。


「やってました。

そして、起きられてましたっ。


八時にっ」


「……それは明るくて自動的に目が覚めていたのでは」

と冨樫に言われ、


「八時なら、枕叩かずとも自力で起きろ」


っていうか、学校遅刻じゃないのか? それ、と倫太郎に突っ込まれる。


草餅の焼けるいい匂いを嗅ぎながら、腕組みして壱花は言った。


「前々から思っていたんですが。

夜中に目が覚めるときあるじゃないですか、トイレとかで。


ああいうときって、どうなるんですかね?

八時、と枕を八回叩いていたら、途中で目が覚めたりしなくなるんでしょうか」


高尾が、ははは、と笑い、

「枕の神様が目が覚めないよう、瞼を押さえつけてたりしてね」

と言う。


「此処へ飛ぶ直前、ととととっと枕元を走っていたのが枕返しだったんじゃないかと思うんですが」


そう壱花は呟いたが、倫太郎は、

「予言してやろう、壱花。

お前は枕返しは見られないっ」

と言い切る。


「え? なんでですか?」

「枕返されても、朝まで爆睡してるからだ」


確かに、と冨樫が頷いていた。




「食べ足りないよね~」


壱花が言ったその言葉に、喜んだのか、強引に同意させられたのか。


子狸や子狐たちも、うんうん、と頷き、みんなでまた、ラムネを作っていた。


その様子をちょっと微笑ましく眺めていた高尾だったが、


「今度は違う型に入れてみよっかー」

と笑った壱花が途中で消えてしまう。


この世界の夜明けの時間だ。


あーあ、という顔で子狸たちは作りかけのラムネを手にしょんぼりしていた。


高尾が立ち上がり、

「じゃあ、僕らで最後まで作ろうか。

なにか良さそうな型でも持ってきて」

と言うと、みんな、わらわらと探し出した。


あちこちで、がちゃんがちゃんと音がする。


あーあ、倫太郎に散らかすなっ、とか怒られそうだなあ、と思いながら、

「いいの、あったかい?」

とたまに蝋燭が怪談を語りはじめる奥の間を高尾は覗いた。


すると、一匹の子狸が押し入れから見つけたらしいカラフルなチョコ入りのメガネを目に当ててみていた。


こちらを振り向く。

ひっ、という顔をした子狸に、高尾は言った。


「見~た~な~」


その迫力に、ひいいいいいっとなにも見えていないはずの他の子狸や子狐まで怯え、抱き合っていた。




あやかし駄菓子屋商店街 化け化け壱花 ~ただいま社長と残業中です~

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