テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
アニメ顔の死神に、幼い猫耳の師匠。
しかも、それらに混ざって自分まで小さな翼をぱたつかせている。
「事実は小説より奇なり」とか言うけど、それにも程があるだろ。
こう思いつつ翼を動かすことに慣れてしまった自分も、だいぶ怖いけど。
でも、今はそんなことより。
「これ、後どのくらいで着くんですか?」
「うーんと、体感時間であと5分くらいです。
あと少しなので、ちょっと急ぎましょう」
もう20分は翔んでいる気がする。聞いていた通り、確かに疲労はないけれど、気が滅入る。最初の方は綺麗だと思えていた七色の雲も、よく見ると単調で、代わり映えがしない。
しかもさっきまでうるさかった猫耳は、話すのに飽きたのだろうか。つまらなそうに死んだ魚のような目を細めている。
怖ぇよ。どいつもこいつも。
少し大袈裟にため息をして、顔を上げた。
目の前に建物があった。
ほんの1秒前まで真っ青だった視界が、急に灰色になった。めっちゃびっくりした。本日2回目。
「着きましたね」
「ここですか?学園って」
「そうだよー。
やっとついたー。じゃー、いってらっしゃーい」
生気が抜けて、一層言葉が間延びしている。
「中に入ったら、学園長さんが案内をしてくれるはずです。私たちはまだ仕事があるので、1人で行ってくださいね」
「あ、わかりました」
入口らしいところへ行った後に振り返ると、もう猫耳がいない。気分屋だなぁ、あの、ウフテって人。
「じゃあ、また今度」
シクロさんが申し訳程度にひらりと手を振った。
何故か、俺も手を振り返してしまった。
はっとして目を離した隙に、いつの間にかシクロさんも消えていた。
怖。
…そんなことより、学園だ。
知らない学校に独りだけで行くのって、だいぶ怖いんだよな。
これまた大きめの浮島の上に、どんと構えた校舎。玄関口はガラス製のようだが、中は暗くて全く見えない。本当に入っていいのだろうか。
扉を押すと少し重かったが、開いた。依然真っ暗。
恐る恐る、足を踏み…
「!?!?!?」
真っ暗だった空間が、足を踏み入れると同時に夕焼け空に染った。しかも、
床がない。
落ちる。
堕ちる!?
しまっていた翼を急速に広げ、バサバサと降下に抗う。
5秒くらい落ちたあと、やっと上昇し始めた。
心臓止まるって…。
…もう止まってるんだろうけど。
夕焼けだからか、独りだからか、急に現実が押し押せてきたような。
…違う違う。学園長さんを探さなきゃ。
キョロキョロしてると、黄色多めの服を着た、同い年くらいの男子の姿が見えた。
一瞬生徒かと思ったけど、ここには20歳未満しかいないらしいし、学園長だって事も充分有り得る。
「あのー」
声を大きくあげて、両手を振りながら黄色い服の男子に近づいた。
「あ!」
あっちも気づいたみたいだ。
…あれ
「あなたが新しい生徒さん、かな??」
「…あ、はい」
面と向かって思うのはいけないかもしれないけど、
格好がだいぶ酷かった。全身真っ黄色の服に、アクセントで黒色の線が入っている。そこら中には、雷のマークがたんまりと。
デジャヴかな、と流石に思う。
アニメキャラでしか見た事ない装飾だった。
次回へ続く
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!