この作品はいかがでしたか?
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美音
「やったやったー! すごい! すごいよ夏菜ちゃん! 特選クラスに勝っちゃった!」
一般クラス生徒たちの大きな歓声の中、美音が喜びに飛び跳ねる。
美音
「夏菜ちゃーんっ、大丈夫ー!? 怪我してないー?」
夏菜
「全然平気ー だいじょーぶー」
美音
「本当ー!? よかったー!」
手を振りながら問いかける美音に、夏菜もはっきりとした声で応える。
そんな無邪気な美音とは対照的に、菜乃葉と莉愛は静かに夏菜を見つめていた。
菜乃葉
「……終始、夏菜の掌の上だった」
莉愛
「うん。結局、使った魔法も一節詠唱だけ。彼女の真の力を引き出すには、モブクズでは力不足だったね」
菜乃葉の呟きに、莉愛も頷く。
夏菜は明らかに、モブクズが広範囲の魔法を放つように誘導していた。最初は【爆弾】で詠唱を阻止し、モブクズが【炎弾】を撃つように誘導。
次いで【炎弾】を回避しながら前進。夏菜の挑発と距離を詰められる焦りによって、モブクズに冷静な判断力は残っていなかった。
誘導されるがままに【炎扇波】を放ったモブクズは、自身の魔法で視界を防がれ、夏菜の動きを追うことができなくなった。そこで夏菜は【華壁】で魔法を防ぐと見せかけつつ、それを足場に使うことで、一気にモブクズへの距離を詰めた。全てが夏菜の計算通りの流れに見えた。
莉愛
「そもそも【爆弾】程度の攻撃、避けながら詠唱を完成させて当然。その程度も満足にできないなんて……モブクズは、実戦経験が足りていない」
シャークん
「普通はそう簡単に出来ることじゃありませんよ、それ」
ため息をつく莉愛に、ヒョコッと現れたシャークんは苦笑する。魔法の中では低威力の【爆弾】といえども、まともに当たれば怪我をするし、痛みもある。
当たりどころが悪ければ、大怪我になっても不思議はない。そんな攻撃が迫る中、恐怖に呑まれず、冷静に回避と魔法の行使を同時に行う。決して簡単なことではない。相応の覚悟と経験がなければ、到底不可能な芸当だった。
莉愛
「でも、夏菜ちゃんはそれが出来た。【炎弾】を紙一重で回避する時も、炎の波が迫る中でも、彼女は動揺する素振りすら見せなかった」
シャークん
「……そうですね……まさか」
シャークんは頷きながら、決闘の様子を思い起こす。夏菜の異常な部分は、それだけではない。【爆弾】の生成の速さ。狙いの正確さ。狂いない攻撃の見切り。最小限の動きで躱す身体技術。どれを取っても、ただの新入生ではありえないものだ。
莉愛
「うん。捕獲率がグンッと下がったようで上がったね」
シャークん
「……はぁ…また忙しくなるだろ…」
シャークんのため息混じりの呟きは、生徒たちの歓声に紛れて消えていった。
★★★★★★★★★★★★
決闘での夏菜の勝利は、学校中に大きな衝撃を与えた。観戦していた大勢の一般クラスの生徒たちは狂喜し、夜まで騒ぎ続けた。その流れのまま、食堂では祝勝会と称した宴会が開かれていた。
菜乃葉
「はぁ…まさかこんな騒ぎになるとは……」
こっそり会場を抜け出した菜乃葉は、軽く息を吐きながらぼやいた。
一緒に抜け出した瑞夏が、なだめるように言う。
瑞夏
「しょ、しょうがないよ…それだけ特選クラスの連中には、みんな不満が溜まってたんじゃないの…?」
菜乃葉
「それはわかるけどね……」
菜乃葉はそう言いながら、少し肩をすくめた。「特選クラスの生徒に一般クラスの生徒が勝利した」という事実は、菜乃葉が思っていた以上に大きな意味があるらしい。それは、「全てに優れている特選クラスに、一般クラスは絶対服従するべし」という風潮を打破する出来事だからだろう。一般クラスの生徒たちにとっては、大きな希望になる勝利と捉えられているようだった。
瑞夏
「今回は、夏菜さんッに、倒してもらったし、次はッ、私が、ぶったぉす…」
菜乃葉
「もしかして瑞夏って結構ストレス溜まってた?」
最近では菜乃葉と二人きりのときは、瑞夏も結構喋るようになり、菜乃葉もそんな瑞夏につられ、よく喋るようになった。
頬を膨らませたハムスターのような瑞夏はまだ幼い幼女に見えるが、体術は凄く、細いダクトをものともせず入っていったのは腰が抜けた。
瑞夏によると、兄に教えてもらったんだとか…兄氏凄すぎだろ。
あ、そういえば翌日はモブクズが瑞夏に謝るんだっけ…公衆の前で庶民に謝る奴ではなさそうだが、大丈夫だろうかねぇ…
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最近は結構休んだので寝不足もとれ、投稿頻度が急上昇中です!!休んで元気が盛り上がり中ですよ!!
投稿頻度は元に戻るのでいつもより楽しく待ってもらえれば幸いです!!では!!!!
コメント
3件
投稿早!ママ凄いなw
( ´∀`)フハハハハ もし、リアルの僕だったらモブクズが謝った後にナイフで刺すわww ( *´꒳`*)🔪🔪🔪