秋の夕暮れ、校舎の屋上はオレンジ色の光に染まっていた。レンは手すりに寄りかかり、風に揺れる髪を指で払いながら、空を見つめていた。隣に立つコウは、いつものように軽口を叩きながらも、レンの横顔をちらりと盗み見ていた。 「なあ、レン、なんか今日やけにカッコよくね?」コウがニヤッと笑う。
「は? 急に何だよ」レンは顔を赤らめ、視線を逸らした。
二人は高校二年の親友。いつも一緒にバカをやり、夜遅くまでゲームで盛り上がり、互いの弱さを笑い合ってきた。でも最近、レンの胸にはコウへの「何か」が芽生えていた。コウもまた、レンの無防備な笑顔に心が揺れるのを抑えきれなくなっていた。
二人の心は、互いを求めながら、どちらもその想いを口にできずにいた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!