テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

そこからは時折トニーの声を思い出すだけで、あとは曲を全身で聴きながらステップを踏んで飛び跳ね、ピタッと静止しクネクネと揺れる。

フロアを蹴り後ろへ回転したかと思えば、前へと蹴り返してターンする。

ジャンプしては足を交差させ…うん…この着地も出来るね…私……


ケガのあと関わってくれたみんな、ありがとうございます。

最後のポージングでは、感謝の気持ちで胸がいっぱいだった。


こんな気持ちが味わえるなんて…ケガが無ければ味わえなかった。

いい子ちゃん発言で誰にも言えないけれど、大音量の歓声の中で苦笑する。


第二の人生というのが本当にあるのだと感じながら、私はゆっくりと四方へ順にお辞儀をした。


「才花」「サイサイ」


ギャラリーの中から私の側まで来た兄が私を抱きしめ、緒方先生が二人を抱きしめる。

兄の方が緒方先生よりも大きいからおかしな感じだろうけど、そんなことはいいんだ。

二人が心から祝福してくれていることが伝わって来て、嬉しい。


「お兄ちゃん、先生、ありがとう。ここから始められるよ、私」

「才花…あとで…今は言葉がありません…」

「僕はサイサイを誇りに思う。期待以上の完成度だね」

「うん、ありがとうございます。で、やっぱり羅依にかなわないんだけど…もうひとつやっちゃっていい?」

「「いい」」

「結果…ダメだったら、お兄ちゃんが私の骨を拾って」

「わかりました」

「二人ともここで顔きくでしょ?10秒だけ静かにならないかな?」

「任せてください」「簡単だよ、サイサイ」

「お願いします」


二人は私を挟んで真横に立つ。

もちろん正面はあの窓の方向だ。


それから二人は…ん?

二人は……ん…?


何もしないの?

ポケットに手を突っ込んで立ってるだけだよ。

緒方さーん、小松さーんって歓声が聞こえてるでしょ?

任せてくださいって言った人と、簡単だよと言った人…ちゃんとしてよ…って……ぅおぉ…静寂が広がり始めた。


「才花、どうぞ」

「どうぞ、サイサイ」


二人が半歩下がると私は窓に向かって


「羅依、いるんでしょ?」


と普通より僅かに大きく言う。

ギャラリーの目も上へ向きざわめきが広がる中で、窓が開けられた。


キャァャァー

ィヤァー

キングー


の声が重なり合ってのすごいボリュームに、くらくらして羅依の姿がぼやけそうだ。

上半身が見えている羅依の後ろで、タクがしーっと唇に指を当てると


キャァー


何でもキャァーだね…でも何とか静かになった。

よし、10秒ね。


「羅依、フロアも曲もありがとう。気持ちは受け取った…ここまで手を貸してくれた人みんなに感謝して、私はここから始められる気がする」

「そうか」

「だから羅依、私に第二の人生の名前をちょうだい。私と結婚して」

Kingの寵愛 ~一夜のお仕事だったのに…捕獲されたの?~

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

86

コメント

3

ユーザー

オトコマエすぎるよ才花ちゃん💕

ユーザー

才花ちゃん、私も言葉はないよ…👏🏻✨👏🏻✨👏🏻✨👏🏻✨👏🏻✨ お兄ちゃんのハグと、緒方先生のまたその上からハグに涙が止まりません😭 そしてそのまま無言で立ってるだけでギャラリーを静寂にさせる2人…ヤバいです✨ そしてそして才花ちゃぁ〜ん!逆プロポーズ✨カッコよ〜😭😭😭 どう?羅依!かなわないでしょ?さすが『俺好み』でしょ!!!

ユーザー

才花からのプロポーズ🩷🩷 第二の人生の名前をちょうだいだって😍😍

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚