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#転生
コシ
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耀聖(ようせい)
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『偽りの無能、真の覚醒〜転生皇女はすべてを奪い返す〜』
魔王ディルクの魔力を削ぐため、最初の『封印の楔』を破壊した私たちは、次なる情報を求めて帝都へと戻っていた。
しかし、魔王の残党やその復活を目論む裏切り者貴族たちは、帝国の心臓部であるこの帝都の裏で、すでに不穏な動きを見せていたのだ。
「ローゼマリー様、本日の潜入用のドレス、完璧に仕上がりました。……ふふ、今日のローゼマリー様は、いつも以上に妖艶で、見る者すべてを狂わせてしまいそうなほどお美しいですわ」
いつものように私の黒髪を丁寧に結い上げながら、専属侍女のリンがおっとりとした、どこか楽しげな声で微笑みかけてくる。
今夜私たちが乗り込むのは、魔王の復活を信奉する裏切り者の帝国貴族たちが夜な夜な集うという、帝都の地下深くに存在する『闇の夜会』。
私はいつもの清楚な雰囲気とは一転し、夜の闇を溶かしたような深い漆黒に、血のような真紅の薔薇が刺繍された、背中の大きく開いた妖艶なドレスに身を包んでいた。
「ありがとう、リン。……それにしても、今夜はあなたも付いてきてくれるなんて、とても心強いわ」
私が鏡越しに視線を送ると、リンはいつものエプロンドレスではなく、動きやすさを重視した漆黒のタイトなメイド服を纏い、スカートの奥に無数の暗殺用の投擲ナイフを忍ばせて、ふふっと上品に微笑んだ。
そう、私の専属侍女であるこのリンは、ただのおっとりしたメイドではない。
かつて大陸全土の裏社会を恐怖に陥れ、その後私に命を救われたことで絶対の忠誠を誓った、帝国元最強の伝説的暗殺者なのだ。
「ローゼマリー、準備はいいかい? ……おや、そのドレスは……。正直、他の男たちに君のそんな美しい姿を見せたくないな。今すぐ僕の結界で隠してしまいたいくらいだ」
部屋に入ってきたアルベルトお兄様は、豪奢な漆黒の夜会服を完璧に着こなし、相変わらず過保護すぎる視線で私を見つめてため息をついた。
「ふふ、お兄様。今夜は裏切り者たちを油断させるための『罠』ですから、我慢してくださいね」
私たちは腕を組み、リンを影に従えて、欲望と悪意が渦巻く闇の夜会へと静かに足を踏み入れた。
◇
帝都の地下に隠された広大な秘密サロン。
そこは、魔王の復活によって帝国の現体制を覆し、新たな権力を握ろうと画策する強欲な貴族たちや、彼らに雇われた無数の武装暗殺者たちで溢れ返っていた。
「おい、見ろ……。アルベルト皇子と、あの『無能』から覚醒したというローゼマリー皇女だぞ……!」
「ククク、わざわざ自分から死地に飛び込んでくるとはな。好都合だ、ここで二人まとめて始末してしまえ!」
私たちが会場の中央へと進むと、周囲の貴族たちが卑しい笑みを浮かべ、合図と共に壁際や天井裏から、総勢100名を超える一級の暗殺者集団が音もなく飛び出してきた。
抜き放たれた刃には、かすり傷一つで即死するという禍々しい毒が塗られている。
「ローゼマリー皇女、ここで死ねぇ!」
一斉に襲いかかってくる暗殺者たち。しかし、私とお兄様は、手に持ったシャンパングラスを傾けたまま、眉一つ動かさなかった。
「お兄様、お茶会を邪魔された遺跡の時と、全く同じ展開ですわね」
「そうだね、ローゼマリー。本当に、どこの組織の羽虫たちも学習能力がない」
私たちが冷徹に微笑み合ったその瞬間。
二人の影から、文字通り『死神』のような、冷たい殺気が爆発的に膨れ上がった。
「――主(あるじ)たちの美しい夜会を汚す不届き者は、ここで全員、お掃除(間引き)させていただきますね」
おっとりとした声とは裏腹に、リンの瞳が、獲物を屠る絶対的な捕食者の輝きへと切り替わる。
次の瞬間、リンの姿が空間から完全に消失した。
シュババババババッ!!!
暗闇を切り裂く、無数の銀光。
リンがスカートの裾から放った投擲ナイフが、寸分の狂いもなく暗殺者たちの手首や急所を正確に撃ち抜いていく。
「ぎゃあぁぁぁっ!?」
「な、何だこの速さは……! 姿が見えな……ぶふっ!?」
天井裏から奇襲を仕掛けようとしたベテランの暗殺者たちも、いつの間にかその背後に音もなく立っていたリンの手によって、次々と首の骨を折られ、物言わぬ肉塊となって床へと転がっていく。
常人には残像すら見えない神速の体術と、一切の無駄がない完璧な殺しの技術。
襲撃してきた100人以上の暗殺者集団は、私とお兄様が指一本触れるまでもなく、元最強の暗殺者リンただ一人によって、わずか数十秒で完全に全滅させられたのだ。
床に転がる大量の死体の中、リンは何事もなかったかのようにパッとメイド服の埃を払い、いつものおっとりとした笑顔に戻って私たちの後ろへと控えた。
「お待たせいたしました、ローゼマリー様。お怪我はございませんか?」
「ええ、完璧なお仕事ね、リン。さすがだわ」
◇
「ひ、ひぃぃぃぃっ……!? ば、化け物め……っ!」
自分たちが大金で雇った最強の暗殺者集団が瞬殺され、会場に残された裏切り者の貴族たちは、恐怖で顔を真っ青に染めてガタガタと震え出していた。
「さて、裏切り者のネズミたち」
私は一歩前へと歩み出た。
私の全身から溢れ出したのは、会場全体の空気を一瞬で凍りつかせる、圧倒的な絶対強者の魔力圧。
あまりの重圧に、貴族たちはバタバタと床に膝をつき、呼吸をすることすらできずに泡を吹いて這いつくばる。
「あなたたちのバックにいる魔王ディルクの、2つ目の『封印の楔』はどこにあるのかしら? ……素直に吐けば、一瞬で楽にしてあげますわ」
私の紫の瞳が冷酷に細められる。その美しくも残酷な姿は、まさに帝国の誇る高貴な『毒薔薇』そのものだった。
隣に立つアルベルトお兄様も、冷たい笑みを浮かべながら彼らを見下ろしている。
「あ、あそこだ……っ! 東の国境を越えた先にある、不帰(かえらず)の『奈落の割れ目』の底だ……! 頼む、助けてくれ……っ!」
恐怖に耐えかねた主謀者の貴族が、涙と鼻水を流しながら叫んだ。
「ありがとう。……でも、帝国を裏切り、魔王に魂を売った大罪人が、許されるとでも思ったのかしら?」
私がパチンと指を鳴らした瞬間、会場全体を包み込んだ極限の氷が、裏切り者貴族たちの身体を容赦なく包み込んでいく。
彼らは悲鳴をあげる暇さえなく、生きながらにして美しい氷像へと変わり、その傲慢な野心ごと、永遠に闇の底へと封印された。
「これで帝都市内の膿(うみ)は一掃できたね、ローゼマリー」
「ええ、お兄様。そして、次の目的地も決まりましたわ」
光を失った地下サロンで、私はリンが差し出してくれたハンカチでそっと指先を拭い、次なる深淵――『奈落の割れ目』へと向かうため、
不敵な笑みを浮かべるのだった。
コメント
5件
世界観広がってきたね!?(???) 私は読み取り方が独特だからなんかウチ色んな意味ですごいけどなんかすごい!(???)
読了しました。第16話、闇の夜会の潜入シーン、とても印象的でした。特にリンが「元最強の暗殺者」としての真価を発揮する場面、あの一瞬で100人以上の暗殺者を全滅させる神速の動きが鮮やかで、普段のおっとりした雰囲気とのギャップがたまりませんでした。ローゼマリーの冷酷な判断(裏切り者を氷像に変える)も、彼女の強さと覚悟を感じられて好きです。次なる場所「奈落の割れ目」への布陣も気になります。お疲れ様でした!