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染みついた癖は、そうそう抜けない。
方言民が方言禁止縛りをしても秒でボロが出るように。
左利きに憧れた小学生が一日も経たず右利きに戻るように。
癖は、その人自身が積み上げた生活を表すのだと思う。
だから、ボクには気づけなかった。
あいつはいつも通りだったから。
最後まで、普段をなぞったみたいにずぅっと。
急に癖がなくなったらそれはそれで怖いし、死ぬ間際で癖が抜けるなんて話、聞いたこともないけど。
不思議なもので、癖は人に伝染ったり、他の人にもまた、癖を作ったりする。
朝早く起きる人と暮らしたら、朝自然と早く起きるようになったり。
この人と話す時は、なぜかこのテンションで毎回話す、とか。
関西人の子供が親から学んだ関西弁を使うようになって、関西弁が続いていく、みたいに。
あいつの話し方、結構前から…あいつが死ぬ全然前から、もう伝染されてたらしい。
人に言われなきゃ気づかない、小さな変化。
あいつが死んでも、周りの人にあいつの癖が残ってる。
だから、さ。
癖はその人だけじゃなくて、周りの人とそいつが積んだ時間の表しだったんだ。
ボクはきっと、大嫌いだったあいつに。
抜けない癖を、忘れられない話し方を、最後に一つ残されたんだよ。
コメント
2件

初コメ、失礼します。 作者さんの書かれる物語大好きで、いつも拝見させてもらってます。私、あまり泣くことはないんですけど、作者さんの小説には毎回と言っていい程泣かされます。 これからも頑張ってください。