~💛~
康二のスマホに、目黒から電話がかかってきた。
用件は、阿部を助けたいなら今すぐ来いと。目黒はそれだけ言って電話を切ったらしい。
昨日、目黒は明らかに様子が変だったし、心がすっかり弱ってしまっている康二を一人で行かせるわけにもいかないので、俺もついていくことにした。
呼び出されたのは廃ビルの地下。
🧡「ほんとに、ここなんやろな…」
💛「大丈夫。俺がついてる。何かあったら警察も呼ぼう」
🧡「せやな。ほんまありがとう、照兄…」
泣きそうな顔で抱き付いてくる康二を抱き締め返して、俺達は阿部を探すことにした。
階段を下りていると、阿部の凄まじい悲鳴が聞こえた。急いで声の方へ駆けつけ、扉を開いた。
🧡「阿部ちゃん!!!!?」
💚「う”うっ…康、二?」
💛「阿部!?」
そこには、血塗れの阿部が椅子に座らされていた。床には腕らしきものが落ちている。隣には、ナイフを持った目黒が立っていた。
🖤「あー。岩本くんも来ちゃったんだ」
あまりの光景に驚き、声が出ない俺達に、阿部が力無く叫んだ。
💚「だめだ、逃げろ…!康二っ、照…!」
🖤「逃がさないよ」
俺がドアを開けようとすると、鍵がかかっているのか、どうしても開かない。
🧡「嘘やろ!出られへんの!?」
💛「っお前!何する気だ…!」
🖤「何って?こうするだけだけど」
目黒がいきなり俺を突き刺し、脇腹に鋭い痛みが走った。
💛「ぐっ…う”あ”ぁぁぁぁ!」
🧡「照兄!?照兄!!」
ナイフがズブズブと音を立てて俺の体内に侵入してくる。必死に目黒を引き離そうとするが、ナイフを抜かれた痛みに勝てず、俺はその場に倒れた。
体に力が入らない。全身が痙攣して血と涙が溢れ出る。
さらに顔を真っ青にして康二が駆け寄ってきたが、直ぐに目黒に動きを封じられて倒された。
🧡「なんで、、めめ」
🖤「これ見て」
そう言って目黒が見せてきたのは、康二と阿部が性交している動画。康二と阿部の顔が青くなる。
🖤「俺はさ、阿部ちゃんと付き合ってたんだよ。なのに、何?これ」
🧡「そんなの、知らんかったんや。だからってこんなこと!」
🖤「だから…何?」
🧡「あ”ぁぁっ!!!!」
💚「康二ぃ!!蓮!もうやめて!(泣)」
💛「こう、じ…!」
康二も脇腹にナイフを突き立てられ、服が真っ赤に染まった。呻く康二の耳元で目黒が囁いた。
🖤「康二くんってさ、岩本くんとも付き合ってるの?さっき電話したときも一瞬にいたよね」
💚「えっ!?!」
🧡「そんなん、言わへん…」
💛「康二、お前…」
🧡「すまん、照兄、でも違うんや…」
🖤「ふーん。君も浮気してたんだ。そんなとこまで阿部ちゃんとお揃いなんだねぇ」
皮肉めいた言い方で目黒が唾を吐いた。それから床に這いつくばっている俺に、馬乗りになった。
🖤「まあ、岩本くんには力じゃ勝てないから、ごめんね?」
💛「うぐっ…あ”あ”ぁぁぁぁ!!」
そう言って目黒は俺の胸から腰にかけて何回もナイフを刺した。狂気的な笑顔で、愉しそうに。
どくどくと脈が速くなり、血流と共に心まで流れ出ているようだった。
せっかく康二と恋人になりたいという俺の願いが叶ったのに、こんな形で潰えてしまうのか?
俺は、こんなところで…。
俺の名前を泣きながら叫んでいる康二の顔を見たのを最期に、俺は静かに瞼を閉じた。
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