俺が作られた理由は姉の代わり。
そう気づいたのは、小学校低学年の時。
赤いランドセルに黒のローファー、三つ編みにひらひらのワンピース、流行っていたぬいぐるみ形の筆箱
どれもこれも クラスの女の子達だけが持っている物
クラスメイトの男の子達の服装や髪型、ランドセルを見て
周りの子や大人からの変だとおかしいという言葉で「あぁ、俺って変なんだ」と思った、知った。
クラスメイトや近所の子供には揶揄われたり避けられたり、教師や保護者達からは腫れ物を触る様な当たり方をされる毎日で
俺は日に日に考えるのが、人と関わるのが怖くなった
だからと言って辞める事は出来ない。
だって、母さんが悲しむと思ったから。
毎朝俺を起こして髪をとき結ってくれ、服も可愛らしいから似合うからとたくさん買って貰い…
「私の可愛い葵ちゃん…可愛い可愛い、私の自慢の子…愛してる」
…なんて言われたら…、何も言えない…
ただ一度だけ、かっこいいキーホルダーが欲しいと言ってみた
けど本当はキーホルダーなんていらなかった、ただ少しだけ「俺」を見てほしかったんだ
でも母さんは
「何で?どうして?そう言うの‼︎‼︎葵ちゃんは可愛いくてキラキラしてるからもう充分じゃない、何でそんなの欲しがるの⁇どうして隣のうさちゃんを選ばないの⁉︎葵ちゃんはそんなの好きじゃないじゃない!!可愛い服に可愛い髪型に可愛いキーホルダーでしょ!?」
とヒステリックになって、俺の肩をガッシリ掴み
まるで化け物でも見たかの様な鬼気迫る顔で俺を見た
怖かった、何もかもが。
俺はさっきの発言を訂正して、冗談、本当は隣のうさちゃんがいいと言うしかなかった。
そういうと母はほっと胸を撫で下ろし、俺を抱きしめこう言った…
「良かった、葵ちゃんまでお父さんみたいに変わっちゃったかと思った…葵ちゃんは変わったりしないわよね、そうよね…葵ちゃんはいつまでも、ママの可愛い葵ちゃんよね…」
俺の中で、何かが引き千切れる様な音がした。
「…葵ちゃんは、ママの味方よね?…」
「…うん、」