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#バディーズ
𝓞𝓵𝓲𝓮💛🍅🐵
41
にこにこ
970
一緒に暮らし始めてから
愁斗は少しずつ変わっていた。
朝の挨拶。
食事の時間。
何気ない会話。
全部が当たり前になってきた。
でも まだ一つだけ。
慣れないことがあった。
誰かに頼ること。
⸻
その日は朝から少し体が重かった。
熱があるわけじゃない。
咳もない。
ただ なんとなく疲れている。
以前の愁斗なら。
「大丈夫。」
そう言って終わらせていた。
でも キッチンへ向かう途中 ひでと目が合った。
『……。』
「……。」
『どうした?』
「え?」
『今、何か言おうとしただろ。』
愁斗は少し驚く。
「分かるの?」
『分かる。』
即答だった。
少し迷って 小さく言う。
「……ちょっとだけ。」
『うん。』
「体、重い。」
ひで は一瞬目を丸くした。
そして。
優しく笑った。
『言えたな。』
「……。」
その言葉に。
愁斗は少し照れる。
「そんなことで?」
『 そんなことじゃない。』
『愁斗にとっては大きいこと。』
⸻
ソファに座る。
ひでが温かい飲み物を持ってくる。
「ごめん。」
口にした瞬間。
ひでが見る。
『今のなし。』
「……。」
『なんで謝る?』
「だって 何もできてない。」
『違う。』
ひでは静かに言う。
『体が休みたいって言ってるだけ。』
『それを聞くのも大事。』
愁斗は黙る。
⸻
「にぃに。」
『ん?』
「俺 昔から 迷惑かけないようにしてきた。」
『うん。』
「でも。」
「迷惑かけないって。」
「誰にも頼らないことじゃないんだね。」
ひでは頷く。
『そう。』
『頼るって、相手を信じることだから。』
その言葉。
愁斗の中にゆっくり入っていった。
⸻
午後。
少し眠った。
目を覚ますと リビングにひでがいた。
「まだいたの?」
『いたら悪い?』
「いや。」
「なんか 安心する。」
ひでは笑った。
『ならよかった。』
⸻
夜。
布団に入る前。
愁斗は少し迷ってから言った。
「にぃに。」
『ん?』
「明日 元気だったら 一緒に出かけたい。」
ひでは嬉しそうに笑う。
『もちろん。』
「でも。」
『ん?』
「無理だったら。」
言葉を探す。
「言う。」
ひでは静かに頷いた。
『約束な。』
「うん。」
⸻
部屋へ戻ったあと。
愁斗は思った。
まだ完璧じゃない。
まだ「助けて」とは言えない。
でも 少し辛いと言えた。
それだけで
昨日までの自分とは違った。
一人で耐えることだけが強さじゃない。
誰かを信じることも
強さなのかもしれない。
コメント
1件
愁斗くんが「ちょっとだけ」って自分の不調を伝えられたの、すごく大きな一歩だよね……。ひでくんの「言えたな」がめちゃくちゃ優しくて、こっちまでじんわりした。「迷惑かけない=頼らない」じゃないって気づく場面、本当に泣ける。一人で抱え込まなくていいんだって、読んでて自分も安心した。にこにこさん、こういう心の動きを丁寧に描くの本当に上手です🤍🌙